真夏の心霊特集読者様から届いた体験談 第五夜
こんばんは。
今夜も、読者様からお預かりした大切な体験談を、一つご紹介させていただきます。
今回も、投稿者様や関係者が特定されないよう、場所や年代、人物設定などは一部変更しております。
ですが、その夜に感じられた恐怖や出来事は、できる限りそのままお伝えいたします。
それでは…。
今夜のお話です。
「鳴り続ける電話ボックス」
これは、ある男性の読者様から届いたお話です。
仮にEさんとしておきます。
今から数年前。
仕事の帰り道、山道を車で走っていた時のことでした。
その日は雨。
ワイパーが一定のリズムで雨を払うたび、ヘッドライトが濡れたアスファルトを照らしていました。
時計は午前零時を少し回った頃。
山道には街灯もなく、対向車も一台も通らない。
エンジン音だけが、静かな山へ吸い込まれていくようでした。
しばらく走っていると…。
一つだけ、明かりが見えたそうです。
古い電話ボックス。
今ではほとんど見掛けなくなった緑色の電話ボックスが、ぽつんと立っていました。
その中の電話が…。
鳴っていたんです。
リン…。
リン……。
誰もいない山の中で。
受話器はちゃんと置かれている。
なのに…。
鳴り続ける。
「こんな時間に?」
そう思いながら通り過ぎたそうです。
その日の夜は、それで終わりました。
ですが…。
翌週。
同じ道を通ることになった。
また…。
電話が鳴っている。
時計を見る。
午前零時十五分。
前回と、ほぼ同じ時間でした。
「偶然かな。」
そう思いながら走り去ったそうです。
三度目。
やはり鳴っている。
四度目。
また鳴っている。
不思議なことに…。
昼間その道を通った時には、電話ボックスはあるものの、何の異常もありません。
夜中の、その時間だけ。
必ず電話が鳴る。
ある日。
会社の先輩へ、その話をしました。
すると先輩は真顔になり、
「もし鳴ってても、絶対出るな。」
そう言ったそうです。
理由を尋ねても、
「昔から言われてる。」
それだけ。
ですが…。
人間というのは、不思議ですね。
止められるほど、気になってしまう。
数日後。
Eさんは車を停めました。
雨は降っていません。
山の空気だけが、妙に冷たい。
電話は鳴っている。
リン…。
リン……。
誰もいない。
勇気を出して、ボックスへ近付く。
ガラス越しに中を見る。
誰もいない。
受話器を持ち上げました。
ザー……。
雑音だけ。
「もしもし?」
返事はない。
その時でした。
ザー……という音が止まり、
小さな声で。
「やっと出てくれた。」
背筋が凍ったそうです。
声は若い女性。
ですが…。
電話の向こうからではありません。
耳元。
受話器ではなく…。
自分の真後ろから聞こえた。
振り返る。
誰もいない。
山の木々が揺れているだけ。
もう一度前を見る。
電話ボックスのガラスに…。
自分の後ろへ立つ、白い服の女性が映っていたそうです。
振り返る。
誰もいない。
ガラスを見る。
まだいる。
笑っている。
その瞬間。
受話器の向こうから。
「振り向いちゃった。」
そう聞こえたそうです。
Eさんは受話器を放り投げ、夢中で車へ飛び乗りました。
エンジンを掛ける。
バックミラーを見る。
電話ボックスの前に…。
白い服の女性が立っている。
そのまま見送るように。
ずっと…。
こちらを見ていたそうです。
翌日。
気になって昼間にその場所へ向かいました。
電話ボックスは、そのまま残っていました。
ですが…。
電話機だけが撤去されていたそうです。
中には何もない。
もちろん…。
電話が鳴るはずもありません。
それなのに…。
Eさんは今でも、雨の日の夜になると、あの電話の呼び出し音が聞こえることがあるそうです。
しかも…。
自宅で。
昔から、電話というものは「誰かと誰かを繋ぐ道具」です。
もし…。
その”誰か”が、この世の人ではなかったとしたら。
鳴っている電話には、理由があります。
ですが…。
その理由を知る必要は、ないのかもしれません。
最後になりますが、大切な体験談をお寄せくださった読者様、本当にありがとうございました。
今回も、投稿者様や関係者が特定されないよう、一部内容を変更しております。
それでも、その夜に感じた恐怖だけは、できる限りそのままお届けしました。
あなたにも、誰にも話せなかった不思議な出来事がありましたら、ぜひコメントやメッセージでお寄せください。
それでは…。
また、次の夜に。
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