革のあれこれ豆知識帖 #7 「コバ処理」はなぜ必要?地味だけど奥深い仕上げ作業
レザークラフトの作品作りで、意外と時間がかかるのに見落とされがちな工程が「コバ処理」です。今回はこの「コバ」とは何か、そしてなぜあの手間のかかる作業が必要なのかをご紹介します。
「コバ」とは、革の断面部分のこと。革を裁断すると、表側の滑らかな銀面とは違い、切り口には繊維がむき出しになった状態が現れます。この断面をそのまま放置すると、毛羽立ちが目立つだけでなく、そこから水分やホコリを吸いやすくなり、使っているうちに断面がボロボロと傷んでいってしまいます。この切り口を整えて美しく仕上げる作業が「コバ処理」です。
コバ処理の基本的な流れは、まず「コバ磨き(ヘリ磨き)」と呼ばれるやすりのような道具で断面を整え、次に「トコノール」や「CMC」といった仕上げ剤を塗って、木の棒やガラス板で丹念に磨き上げていきます。この工程を数回繰り返すことで、断面がツヤのある滑らかな仕上がりになり、耐久性もぐっと上がります。仕上げにロウを塗ってさらに磨く「ロウ引き仕上げ」を行う作家さんも多く、この仕上げ方によって作品の印象がかなり変わってきます。
面白いのは、同じ革・同じ形の作品でも、コバ処理の丁寧さひとつで「手作り感のある作品」にも「プロの仕上がり」にも見えるという点です。実際、革小物を選ぶときに断面をじっくり見てみると、その作り手がどれだけ丁寧に作業をしているかが伝わってくることがあります。
地味で根気のいる作業ではありますが、コバ処理は作品の完成度を大きく左右する、レザークラフトの奥深さを感じられる工程のひとつです。
次回は、革の保管方法について、やってしまいがちなNG例を交えてご紹介します。
