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【前編】新聞に載った8歳の訴え。はじまりは、お母さんが見せた“世界”だった

「この子のために、親として何をしてあげられるんだろう」


子育てをしていると、
そんな問いに何度もぶつかります。

勉強をさせた方がいいのか。
習い事を増やした方がいいのか。

もっと広い世界を見せてあげたいけれど、
何から始めればいいのか分からない。


アトムズアカデミーで学んでいた、
あるお母さんも、同じようにわが子の未来を見つめていました。


そのお母さんのお子さんが、えいと君。
東京・三鷹市に住む、当時8歳の男の子です。

ある夏の日。

えいと君は、駅前に立っていました。

手には、プラカード。

道行く大人たちに向かって、
まだ小さな体で、声をいっぱいに張り上げます。

「天文台の自然を守って」


その姿は、新聞にも載りました。

東京民放 24年8月25日

8歳の子どもが、
自分の住む町の自然を守るために
大人たちの前に立った。


なぜ、そんな行動ができたのか。
何が、彼の心をそこまで動かしたのか。

そのはじまりには、
ひとりのお母さんが、
わが子に「広い世界」を見せようとした時間がありました。


前編では、
えいと君が動き出すまでの「はじまり」の話を、
できるだけそのままお伝えします。

木漏れ日が差し込む雑木林。都市に残る貴重な森の生命感を写した一枚。アトムズアカデミーの保護者の子どもが守ろうとした自然と、子どもの探究心・環境への意識を象徴する写真。

森が消える、と知った日


東京・三鷹市にある国立天文台。

その北側には、約4.8ヘクタールの森が広がっています。
桜やムクノキ、エノキ。生い茂る木々の下では、
野生の生き物たちが暮らしています。


都心から三鷹のあたりまで、まとまった森はほとんど残っていません。
だからこの森は、とても貴重なものでした。


その森のなかに、学校などの施設を移す計画がある——。


えいと君が、そのことを知ったのは、
ある夏のことでした。


大人でも、見て見ぬふりをしてしまうような話です。


「自分には関係ない」
「どうせ何も変わらない」。


そう思うのが、
ふつうかもしれません。


でも、えいと君は違いました。

「ぼくにできることを、したい」。

そう言って、
動き出したんです。


なぜ、8歳の彼が、
そこまで自然を大切に思えたのか。


その答えは、
海の向こうにありました。

海辺でゴミを拾う子どもの後ろ姿。海外での体験を通して自然の大切さに気づいた小学生の姿と、親が世界を見せることで育つ子どもの感性を表現したアトムズアカデミーのイメージ。

カリフォルニアで、気がついた


えいと君はその夏、
アメリカ・カリフォルニアで、
ゴミ拾いのボランティアに参加していました。


そこで彼は、現地の人たちの姿を目にします。


自分たちの暮らす土地の自然を、
心から大切にして、行動している人たち。


その姿に、えいと君は感動したそうです。


そして日本に帰ってきて、
自分のまわりを見渡したとき
——気がついたんです。

「ぼくの住む場所にも、自然がある。
でも、それは当たり前じゃない。
とても貴重なものなんだ」と。

のちに新聞のなかで、
彼の言葉が、こう紹介されていました。

——「気がついたよ。自然は貴重だと」。


遠くの世界を見たから、
足元の大切さに気づけた。


これは、偶然ではないと、
私たちは思っています。


子どもがどんな世界を見るかは、
親がどんな世界を見せるかで決まります。


お母さんが世界を広げれば、
子どもの世界も広がっていく。


えいと君が海を越えて自然と出会えたのも、
そのうしろに、世界を見せようとしたお母さんの存在がありました。


アトムズアカデミーで学んでいたのは、
えいと君ではありません。


お母さんのほうでした。


親が学び、子に世界を見せる。
すると子どもは、親が思いもしない場所で、
自分の心を動かしていく。


えいと君は、その「気づき」を胸に、
いよいよ動き出します。


——その話は、後編で。


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