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【推薦図書】「癒し」の1編(前編) #34

こんにちは、のっちです😄

今回は本をテーマにした読書感想とは別のベクトルへのチャレンジです👍

それは…シーン別でのおすすめ本を紹介していきたいと思います!

今回のテーマは「癒し」

書き上げてみると2,000文字近くなったので、前後編の2回に渡りお送りします。

それでは皆さん、日々お疲れ様です😌
少し行き詰まりを感じてはいませんか?

そうでなければ良いのですが、もし少しお疲れ気味の方がいれば、おすすめの1編をご紹介したいと思います💡

📖芥川龍之介「蜜柑」🍊

※以下本編の内容に触れますので、ネタバレを避けたい方はご注意下さい🙇



まあ私が今更とやかく言う必要のない文豪芥川の名作短編です。

決して長い作品ではなく、3,500文字程度の列車内での1コマを描いた、短編というよりはむしろ掌編といってもいい長さのストーリーです。

その短時間の内に起こる語り手の心情の変化が、読みどころとなります。

冒頭から語り手の陰鬱とした心情を表す描写が続きます。

発車を待つ列車内から見るプラットホームには人影もなく、唯一もの悲しげになく子犬の鳴き声だけがこだまします。

もう情景が寂しすぎて、イメージを色で表すと雪曇りのような深いグレーです。

やがて発車の笛がなると、駆けてくるゲタの音がしてきます。

車室の戸が開くと、今でいう中学生くらいの歳の少女が乗車してきました。

語り手はその少女に対して、いかにもみすぼらしい田舎娘という風に見て、良い印象を持ちません。

本来乗るべき車両とは違う切符を持っていることも、そういった思いに拍車をかけます。

語り手はそんな気を紛らわそうと夕刊に目を通しますが、どうにもこの暗いトンネルの中を走る列車と、目の前の愚鈍そうな田舎娘と、平凡な夕刊の記事に自身の退屈な人生を投影してしまい、何とも暗澹たる気持ちになるのでした。

その後少女が突然車内の窓を開けようとするシーンに移ります。

間もなくトンネルに差し掛かろうとしているにも関わらずです。

どうにかこうにか窓は開きましたが、当時は蒸気機関車でしょうか。

案の定黒い煙が車内に充満し、語り手は激しく咳き込みます。

語り手のイライラはMAX😡

しかし少女は気にする素振りもなく、ひたすら列車の進行方向に注意を向けています。

やがてトンネルを抜けると、景色に見える踏切の奥側に3人の男の子がいるのが見えました。

彼らは列車に向かって手を振ったり、何事か歓声を上げています。

すると車内の少女は彼らに向かって、手持ちのミカン🍊を5、6個宙へ投げ渡したのです。

そして語り手は全てを理解します。

本編最後の一文を引用します。

私はこの時始めて、云いようのない疲労と倦怠とを、そうしてまた不可解な、下等な、退屈な人生を僅に忘れる事が出来たのである。

芥川龍之介「蜜柑」

この掌編は芥川の作品の中でも1、2を争うほど好きです。

それはなぜかと考えてみたところ、短い中にも五感に訴える描写の多さが琴線に触れるからだという結論に至りました。

次回後編では、その辺りを深掘りしてみましょう。

今回はこの辺りで。
それではまた次回、ありがとうございました👋



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