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「手術が上手い外科医」よりも、「困ったときに強い外科医」を選びたい

もし、自分や家族が手術を受けることになったら。

私は、

「手術が一番上手い先生は誰だろう」

と考えると思う。

当たり前だ。

誰だって、上手な外科医に手術をしてほしい。

手術経験が多い。

難しい手術ができる。

手先が器用。

出血が少ない。

手術時間が短い。

そういう外科医は、間違いなく魅力的だ。

でも。

外科医として働いていると、少し違うことを考える。

もし自分や家族が手術を受けるなら。

私は、

「この先生は、困ったときにどうするだろう」

を知りたい。

手術は、予定通り進むとは限らない。

血管の位置が予想と違う。

癒着が強い。

組織が思ったより硬い。

出血する。

解剖が分からなくなる。

予定していた方法では、最後までできない。

手術室では、

「何も起こらないこと」

よりも、

「何か起こったときに、どう対応するか」

のほうが、外科医として重要になる場面がある。

もちろん。

手術が上手いことは大切だ。

しかし。

私が本当に見たいのは、

手術が順調なときの姿だけではない。


手術が上手い人は、順調な手術だけで決まらない

手術動画を見ると、驚くほど美しい手術がある。

視野がきれい。

出血が少ない。

操作が速い。

迷いがない。

見ているだけで、

「上手いな」

と思う。

私もそう思う。

しかし。

動画には、映っていないものがある。

うまくいかなかった場面。

迷った時間。

剥離層を見失った瞬間。

予定を変更した判断。

そして、

「このまま続けるのは危ない」

と判断した瞬間。

実際の手術では、

そういう時間がある。

むしろ。

難しい手術ほど、

何も起こらないことのほうが少ない。

そこで、外科医の本当の力が出る。

私はそう思っている。


「うまくいかないとき」に、その人が見える

外科医にも、いろいろなタイプがいる。

順調な手術は、とても上手い。

しかし。

予定通り進まなくなった途端に、焦る人がいる。

逆に。

普段は派手ではない。

手術も決して華やかではない。

でも、

出血したとき。

予想外のことが起きたとき。

急に手術が難しくなったとき。

その人は、むしろ落ち着く。

一度、手を止める。

視野を作る。

何が起きているのかを確認する。

そして、

次の手を考える。

私は、そういう外科医を強いと思う。

外科医の価値は、

順調なときだけでは分からない。

「困ったときに、その人が何をするか」

に出る。

では。

患者さんや家族は、

どうすればそんな外科医を見分けることができるのだろうか。

正直に言えば。

手術室の中を見られない患者さんに、

外科医の技術を正確に評価することは難しい。

でも。

診察室でも、

ある程度は分かることがある。

そして、

外科医として働いている私が、

自分や家族の手術なら確認したいことがある。


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