見出し画像

HAMBURGER BLUES第13話          白銀農場の亡霊と、伝説のベーコン職人 RUST





雨だった

ベラ地区

珍しく静かだった

だが

WAGYU BURGERだけは

今日もうるさかった



ジュゥゥゥ……

肉が踊る

古代テクノブルース

【BLACK RAIN COWBOY】

低音が床を震わせる



Walker

「店長」

「昨日から逃げ続けてるけど」

「今日は絶対話してもらうからな」



beem

「何をだ」



Walker

「RUSTだよ!!」



bads

「そうよ!!」

「私まだ泣く準備できてないのよ!!」



cool

マルガリータを飲む



「懐かしいですねぇ」



noah

静かにポテトを並べている



「……」



「RUSTさんは」



「笑うと」



「左の犬歯が見えてました」



静寂



beem

手が止まる



Walker

「……」



「お前」



「本当に知ってるんだな」



noah

「覚えてます」



「雨の日でした」



「いつも笑ってました」



「でも」



「一人で煙草を吸う時だけ」



「悲しそうでした」



完全な沈黙



カランカラン!!





「ベーコンチーズ三つ!!」



全員

「いらっしゃいませェェェ!!!」



Walker

レジを打つ



「幻のベーコンの話してる最中に来んなァァァ!!!」





「何だよその接客」



bads

「嫌なら帰れ」





「怖ぇぇぇ!!」



cool

「まぁまぁ」



beem

肉を返す



ジュッ……



「……」



「RUSTは」



「ベーコンしか作れなかった」



Walker

「しか?」



beem

「バーガー作れない」

「接客できない」

「酒飲み」

「借金まみれ」

「喧嘩ばっか」



bads

「最低じゃない」



cool

笑う



「でも」



「銀河一だった」



静寂



beem

「誰よりも」



「豚を愛してた」



「肉じゃねぇ」



「豚そのものを愛してた」



Walker

「……」



beem

「命を食うなら」



「最後まで責任持てって」



「毎日怒鳴ってた」



noah

小さく笑う



「知ってます」



「豚に名前を付けてました」



bads

「え?」



noah

「全員に」



「ジョニー」



「マリア」



「サム」



「ベティ」



Walker

「食えなくなるだろ!!」



cool

「実際」



「泣きながらベーコン作ってましたねぇ」



beem

「馬鹿だった」



静かな笑い



雨が強くなる



ザァァァァァ……



Walker

「白銀農場って」



「どんな場所だったの?」



beem

長い沈黙



「……」



「宇宙で一番旨い豚がいた」



「銀河政府に潰された」



全員

「……」



beem

「効率」

「利益」

「遺伝子改造」



「全部RUSTは嫌った」



「生き物を数字にするなって」



cool

「毎日喧嘩してましたねぇ」



noah

「最後の日も」



静寂



beem

振り向く



「……」



noah

「雨でした」



「大人達が怒鳴ってた」



「RUSTさんだけ」



「笑ってた」



Walker

「何て言ったんだ?」



noah

ゆっくり

思い出すように



『旨いベーコンは』



『寂しい奴と』



『馬鹿な奴と』



『大切な奴のために作るんだ』



完全な沈黙



古代テクノブルースだけが流れる



cool

グラスを置く



「……」



「変わらないですねぇ」



beem

笑う



「アイツなら」



「今の店見て」



「うるせぇって怒る」



bads

「絶対怒るわね」



Walker

「でも」



「気に入りそう」



noah

静かに言う



「僕」



「ここ好きです」



「うるさいけど」



「寂しくないから」



全員

止まる



beem

肉を切る



「……」



「そうか」



カランカラン!!!



酔っ払い客

「酒入りバーガー十個ォォォ!!!」



Walker

「朝だぞォォォォ!!!」



bads

「頭おかしいの!?」





「普通だァァァ!!!」



cool

「ベラですからねぇ」



全員

笑う



その瞬間

beem

冷蔵庫を開ける





古い木箱



静かに取り出す



中には

一枚の古びた写真



若いbeem

若いcool

そして

カーキ色のジャケットを着た男

笑っている



RUST



写真の裏

手書きの文字



『腹が減った奴には食わせろ』



『独りの奴は座らせろ』



『仲間になったら』



『最後まで面倒みろ』



『ベーコンは焦がすな』



全員

笑う



Walker

「最後だけ軽いな!!」



cool

「RUSTさんらしいですねぇ」



beem

静かに

写真を戻す



「……」



「これで終わりだ」



Walker

「え?」



beem

「死人は」



「前向いてる奴の邪魔しねぇ」



「RUSTもそうだ」



noah

小さく頷く



雨が止む



太陽が差し込む



そして

WAGYU BURGERは

また

騒がしい日常へ戻っていく



RUST編 完結



次章

第14話

生意気な新入りと、世界一うるさい家族

いいなと思ったら応援しよう!

Ainexus 出来るだけ面白い小説を書いていきます よろしければ応援お願いします いただいたチップは物語の為に新しいハンバーガーの研究に使わせていただきます1000話まで目指して頑張ります。