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SNS求人詐欺が招く「現代奴隷制」 タンザニアで人身売買被害者160人を救出、容疑者57人逮捕

人身取引反対世界デー(7月30日)に合わせ、タンザニア政府は2025年7月から2026年2月までに人身売買被害者160人を救出し、容疑者57人を逮捕したと発表した。SNSを使った求人詐欺による勧誘の増加が、被害拡大の背景にあるという。


発表の概要

タンザニア首相府(政策・議会・調整担当)のパスカル・カタンビ国務大臣は、2025/26会計年度の人身売買対策の実績として、国内で救出した126人と海外から帰還させた34人を合わせ計160人の被害者を確認したと明らかにした。逮捕された容疑者57人のうち45人はすでに検察に送致・訴追され、残る12人については捜査が続いているという。被害者は国内外で強制労働や劣悪な環境での就労、性的搾取などにさらされていたとされる。カタンビ大臣は「救出された一人ひとりの命が取り戻された。タンザニア国民を守り、犯罪者の責任を追及し続ける」と述べた。

対面勧誘からSNS勧誘へ

タンザニア当局が特に警戒を強めているのが、勧誘手口の変化だ。従来、人身売買業者は対面での接触を通じて被害者を勧誘してきたが、近年はSNSやスマートフォンを介したオンライン上の求人詐欺が主流になりつつあるという。国内外で「高収入の仕事」を装った投稿で若者を誘い、実際にはオマーン、マレーシア、エジプトなどへの渡航後に搾取的な労働環境に置かれるケースが報告されている。今年の同世界デーのテーマも「オンライン詐欺による現代奴隷制に注意を」とされ、デジタル空間での勧誘リスクが世界的な課題であることを反映した設定となった。

政府の対応策

政府はこれまでに、通報用のフリーダイヤル(195番)を備えた「人身取引通報センター」を設置したほか、被害者を支援するための新たな基金を創設した。被害者向けのシェルター(セーフハウス)は建設が73%まで進み、2026年11月の稼働開始を目指しているほか、ペンバ島にも人身売買被害者専用の第2のシェルターを設ける計画が明らかにされた。さらに警察はSNS上での勧誘活動を監視する「デジタルパトロール」を導入し、これまでに対策担当者314人への研修、一般市民1万9076人への啓発活動を実施したという。

なぜ重要か

タンザニアの事例が示すのは、人身売買の勧誘手口が対面からデジタルへと急速に移行している現実だ。SNSやメッセージアプリを介した勧誘は匿名性が高く、国境をまたぐ形で行われるため、単独の国家機関だけでは捕捉が難しい。一方でタンザニア政府が救出数・逮捕数・訴追状況を具体的な数字とともに公表し、通報窓口や被害者支援基金、シェルター整備を制度化して発表した点は、被害者保護の実効性を高める取り組みとして注目される。

まとめ

求人詐欺を入り口とする人身売買は対面勧誘からSNS勧誘へと手口を変えつつあり、東アフリカでも例外ではない。捜査・訴追の強化と並行し、通報体制や被害者支援の制度化を進めることが、被害の早期発見と再発防止の鍵となる。

出典


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