ウサギを見て喜び、うり坊に怯え、猫に謝る
野生のウサギ、というのを見たことがあるだろうか?
私は、ない。
いや、正確には、なかった。
先日ちらとnoteにも書いた、この夏のキャンプでのこと。
なかなかの急勾配の坂道をひいひい言いながら登りきった先。
そこに、今回利用した「Forest Camp 南伊豆」があった。
野生味あふれる「森の番人」のような風貌に穏やかな笑顔をにじませた管理人さんに出迎えられ、手作り感たっぷりのキャンプ場に足を踏み入れる。
当日、向かっている道中にも、丁寧にショートメールで案内をくださった。
到着予定時間が遅れそうだと返信し、さらに遅れそうだとまた訂正する。
いや、ほんと、寄り道しすぎた。大幅に遅れてしまい、申し訳ない。


おすすめ!
それでも、いやな顔(文字?)ひとつせず、何度も応じてくださった。
ああ、あのやりとりをしていた方がこの方かぁ、と妙な親近感を抱きつつ、説明を聞きながらサイトに向かう。
そこにいたのが、「ウサギ」だった。
……ウサギ?
飼われているのではない。
たぶん。
いや、もしかしたらどこかで飼われていたものが逃げ出したのかもしれない。
真相はわからない。
ただ、野生のウサギなんて見たことのない私には、そこにふらりと現れて、歓迎してくれるかのようにしばらく留まっているその姿が、面白くて仕方がなかった。
長女がケータイを構えていたのでてっきり撮れているだろうと期待していたのに、うまく撮れなかったらしい。
わかる。
私もかつて突然現れた鹿を慌てて撮ったけれど、決してうまく撮れたとは言えない。
管理人さんはその日の利用客のグループ構成をよく把握していて、私たちにぴったりなサイトを用意してくれていた。
きめ細かい。
おかげで、ファミリー層のサイトから少し離れたプライベート感たっぷりな区画で、ゆったりとした時間を過ごすことができた。
何度も到着時間を変更するから、離されただけか……?
いずれにしても、女ふたりキャンプとしてはありがたい。

急いで設営し、近くの温泉へ向かう。
あの急勾配の坂をまた往復するのかぁ、と尻込みしつつ、すっかり暗くなった砂利道を下る。
と、目の前をさっと黒い影が横切る。
「ひやあぁあ!」
声を上げつつ、ハンドルを持つ手にさらに力が入り、心拍数が跳ね上がる。
「なに、今の?!」
「う、うり坊?!」
「なにここ、イノシシもいるわけ?!」
……ワイルドすぎん?
一抹の不安がよぎる。
大丈夫? 今夜、クマとか、出ない?
と思っても、思わなかったことにして、脳内から振り払う。
そのとき、夜道を照らすヘッドライトの向こうに、黄色く浮かび上がるふたつの光る目が見えた。
声にならない声が漏れる。
ブレーキペダルを踏む足に力が入る。
ふたつの光る目は、一向に視線を逸らす素振りもない。
「なにあれ……」
そろりそろりと車間が詰まる。
……ん?
光る目。
あのフォルム。
あれって……
「ただの猫やん!」
彼、いや、または彼女は、「失礼なっ」とでも言いたげに不満そうに横切っていった。
ごめんね、ただの猫とか言って……
それにしても。
南伊豆でこんなサバイバル感味わうなんて思ってなかったよ。
ウサギを見て喜び、
うり坊に怯え、
猫に謝る。
南伊豆、忙しい。
あー、楽しかった。
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