マインドフルネスは、ランクをどう変える?|職場の見えない力学⑲
同じ出来事なのに、なぜ反応が違うんだろう?
同じ内容を言われても、
相手によって受け取り方が変わることがあります。
上司から言われると気になってしまうのに、
後輩から言われると平気だったり。
逆に、自分が何気なく言ったひと言で、
相手が急に黙ってしまうこともあります。
私たちは普段、その理由を「相性」や「性格」のせいにしがちです。
でも、本当にそれだけなのでしょうか。
ランクに気づくことが、変化の始まり
アメリカの心理学者アーノルド・ミンデルが提唱したプロセスワークでは、ランクとは、役職だけではなく、経験や専門性、人望、年齢など、その場で影響力を生み出すさまざまな要素を含む概念です。
ランクそのものが問題なのではありません。
問題になるのは、自分のランクや、その場で起きている影響力に気づかないことです。
自分では普通に話しているつもりでも、
相手は「言い返しづらい」と感じているかもしれません。
あるいは、必要以上に委縮してしまい、
本当は言えることまで飲み込んでいることもあります。
まずは、その場で何が起きているのかに気づくこと。
それが変化の第一歩になります。
マインドフルネスは「気づく力」を育てる
マインドフルネスは、
何か特別な状態になることではありません。
今、この瞬間に起きていることに気づく実践です。
「今、少し強く言ってしまったかもしれない。」
「今、この人の前だから緊張している。」
「今、相手が話しづらそうにしている。」
そんな小さな変化に気づけるようになると、
反応のままに話すのではなく、
一度立ち止まって選べるようになります。
だからマインドフルネスは、
ランクをなくすものではありません。
ランクとの付き合い方を変える実践手法の一つなのだと思います。
気づくだけで、場は少し変わる
私たちは、
場の空気を変えようとすると、
つい相手を変えようとしてしまいます。
でも、本当に変えられるのは、
まず自分の「気づき」です。
自分が与えている影響に気づくこと。
自分が受けている影響に気づくこと。
その小さな気づきが、
これまでとは違う言葉や態度を生み、
少しずつ場の空気を変えていきます。
今日の「なんで?」
あなたは、自分がその場に与えている影響について、考えたことはありますか。
ランクは、なくすものではありません。
大切なのは、それに気づき、どう使うかを選べること。
マインドフルネスは、そのための「気づく力」を育てる実践なのかもしれません。
次回予告
本当の影響力って、なんだろう?
私たちは誰もが、誰かに影響を与えています。
では、本当の影響力とは、自分の意見を通す力なのでしょうか。
それとも、誰もが安心して話せる場をつくる力なのでしょうか。
シリーズ最終回では、「影響力」の本当の意味について、一緒に考えてみたいと思います。
マガジン「職場の見えない力学」について
職場では、言葉そのものだけでなく、人との関係や立場、場の空気など、目には見えないものがコミュニケーションに影響しています。
このマガジンでは、そんな職場で感じる違和感を入り口に、アメリカの心理学者アーノルド・ミンデルが提唱したプロセスワークをはじめ、心理学やマインドフルネス、組織開発などの視点から、その背景にある見えない力学を一緒に読み解いていきます。
参考文献
アーノルド・ミンデル(2023)『対立の炎にとどまる――自他のあらゆる側面と向き合い、未来を共に変えるエルダーシップ』英治出版
※本記事は、本書で紹介されているプロセスワークの考え方を参考に、職場で起きる出来事を身近な例で紹介しています。
