ぼくは足軽兵
歴史上の人物、特に戦争で名を挙げた人。
源頼朝、織田信長、徳川家康、ナポレオン、幕末の英雄たち・・・。
彼らが栄光を手にするまでに、何万人もの人が死んでいる。
英雄と名も無き戦士たち、彼らの間に何の差があったのだろうか。
ぼくはしがないサラリーマンだ。
時々、思うことがある。
ぼくが勤める会社の役員に、給料をもらって奉仕している。
給料は生活するために、カツカツの金額
どんなに身を粉にしても、大幅アップなんて期待できない。
ぼくは何のために仕事をしているんだろうか。
家族を養う大義名分はある。
しかし、役員たちに忠誠を誓った覚えはない。
役員と平社員、ぼくらの間に何の差があったんだろうか。
人を束ねる才能、巧みな戦略家、大胆な行動力、確かにどれをこれもぼくには備わっていない。
しかし、サラリーマンになって40年余り。
何の才覚もないのに、成り上がりたいと思わなかったことはなかった。
そう、何の才覚もないのに・・・。
戦国時代には戦場で、何万人もの足軽兵たちが死んでいった。
みんな、武将になることを夢見て、戦場で殺し合いを繰り広げたのだろうが、頂点に立てたものはほんの数人だ。
余程の才覚がなければ、誰も彼もが成り上がれるわけではない。
そんなことわからなかったのか?
わかっていたら、無駄に死ぬことなんてなかったのに。
でもわからないから、戦争が成り立っていたんだろうな。
ぼくも自分の才覚のなさがわからなかったのか?
はっきり言ってわかっていなかった。
頑張れば、どうにかなると思っていた。
必死でもがいてきたけど、所詮は平凡な人間でしかなかった。
定年退職するまで気が付かなかったなんて、自分で自分に呆れる。
しかし、世の中は足軽兵で成立している。
足軽兵がいなければ、戦争なんてできやしないし、企業は成長しない。
ぼくは足軽兵、それでよかったのかもしれない。
ぼくが武将になっていたら、もっと多くの兵を死なせていたかもしれない。
才覚がないから仕方がない。
でも、サラリーマンでよかった。
本物の足軽兵みたいに命を落とすことはない。
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