『「両親のことは任せるわ」――私を追い出した姉が、5ヶ月の我が子を抱く私に放った身勝手な一言』第2部①
「二度と実家の敷居は跨げない。その覚悟をしなさい」
母親からそう冷たく言い放たれ、21年暮らした我が家を追われるように飛び出したあの日。
私は親を捨て、お腹の子と彼の手だけを握って、何もないゼロからの新婚生活をスタートさせた。命がけで臨んだ出産も無事に終え、生まれた我が子が5ヶ月になった頃。それなりの平穏を築きつつあった私たちの元に、大嵐の使者がやってきた。
事前の連絡もなく、突然アパートのドアを叩いたのは、あの実家での別れの日、私の荷造りを後ろから無言で見つめていた「姉」だった。
「久しぶり」
1年数ヶ月ぶりに会った姉は、悪びれる風もなく、信じられない言葉を口にした。
「私ね、遠くに嫁ぐことにしたの。ずっと自分の側にいて欲しいと望むお母さんの期待を、裏切ることにした」
頭の中が「?」で一杯になった。
私の実家の母は、自分の言うことを忠実に守る姉のことが大好きだった。周りから「一卵性親子だね」と言われると、嬉しそうにご機嫌に語るのが母の口癖だったのだ。そんな母にとって、姉の遠方への結婚は、心を引き裂かれるような裏切りだったに違いない。
案の定、母は大反対。逆に父親は姉の結婚に賛成した。それをきっかけに両親は大揉めし、実家は一瞬にして「会話ゼロ」の家庭内別居状態に陥ったという。
そこまでは、実家の自業自得だ。勝手に揉めていればいい、とすら思った。
しかし、わざわざ私を訪ねてきた姉の目的は、ここからだった。
「だから、これからは両親のことは、ひろこ、あなたに任せるわ」
姉は、言いたいことだけを言い残すと、嵐のように去っていった。
抱き上げた我が子の重みを感じながら、私は激しい腹立たしさと悔しさで、全身の血が逆流するような感覚を覚えていた。
(なんなの!? あんな残酷な形で私たちを拒んで追い出しといて、自分が逃げ出すからって、何を勝手なこと言ってるの!?)
散々お父さんに「ひろこを許さないで」と吹き込んで私を破門に追い込んだ姉が、自分の幸せのために親を捨て、その介護や面倒の後始末だけを私に押し付けにきたのだ。
あまりにも理不尽な家族の裏切り。
だけど、この姉の逃亡劇こそが、冷え切った実家から行き場を失った母親を狂わせ、あの「毎日の訪問」へと繋がっていく恐怖のカウントダウンの始まりだったのだ!
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サポート本当にありがとう!結婚36年、夫に働くのを止められ自分の物も買えなかった私が、夜中に18歳ワンコの介護をしながら紡いだ言葉で初めて自力で稼げました。頂いたお祝いは、大切な家族とワンコの介護費に充てさせて頂きます。私と同じように戦うあなたを応援しています!ひろこ