Photo by
sakura098
【掌編小説】星のカケラ
その星では、食料が足りなかった。
作物は育たず、水も少ない。
人々は飢えて、死ぬ者も多かった。
そんなある日。
空から、小さな光が降ってきた。
それは、透明な石だった。
拾った者が掌に乗せると、ほんのり
温かかった。
「何だろう、これ」
研究者が調べても、正体は分からなかった。
ただひとつだけ、不思議なことが分かった。
その石を土に埋めると、翌朝には芽が出る。
芽はみるみる育ち、実をつけた。
しかも、その実は驚くほど美味しかった。
人々はその石を「星のカケラ」と呼んだ。
やがて、星のカケラは世界中に広まった。
飢える者はいなくなった。
その頃。
空に、奇妙な黒い影が現れ始めた。
ひとつ。
またひとつ。
黒い影は、夜空をゆっくりと進みながら、
遠くの星をひとつずつ消していった。
人々は恐れた。
そしてある夜。
巨大な宇宙船が現れた。
中から降りてきたのは、異星人だった。
彼らは地面に落ちている「星のカケラ」を
見つけると、ひどく驚いた。
「……まだ残っていたのか」
人々は尋ねた。
「これは何なんです?」
異星人は、しばらく黙っていた。
そして、空を漂う黒い影を見つめた。
「それは、星喰い。星を喰らう植物です」
「……え?」
「私たちの星は、もうありません」
異星人は悲しそうに笑った。
「あなたたちの星は、食料を得るために、
それを育てているのですね」
人々は、言葉を失った。
空を見上げると、またひとつ、星が消えた。
そして地面では、星のカケラから育った果実が、ただ静かに実っていた。
いいなと思ったら応援しよう!
「不運だけど不幸じゃない」をテーマに、頭の中の考えや記憶、気持ちなどをぽこぽこと形にしています。ひとりじゃないんだなと思っていただけたら嬉しいです!