川口成彦ピアノリサイタル「ショパンのポロネーズ巡礼」
2026年5月16日。愛知県春日井市内のサロン「fantasie-impromptu」にて。常設の白いスタインウェイのほか、1886年モデルのプレイエルを搬入して、2台による演奏という贅沢なコンサート。
プログラムは重厚で、解説はプログラムに記述し簡単な楽器紹介のみで速やかにおこなわれた。それでも2時間に満ちた。
テーマは「ショパンのポロネーズ」、川口氏によれば、単なるポーランドの民族舞踊、というだけでない。彼は20歳でフランスに亡命し二度と祖国に帰れなかった。演奏は彼の精神深くに迫るものだった。つまりは、ショパンにとってポロネーズは彼の「アイデンティティそのもの」なのだ、と思った。
1886年モデルのプレイエルは、ハンマーが弦を打つ瞬間の木の音、打鍵後の音の伸び、量産型の現代ピアノに比べ何とも味わい深い音色を醸し出す。現代のスタインウエイが現代において洗練され切ったものだとすれば、やや武骨であり、しかし当時の製作家たちが心血を注いで、できうる限りの技術を用いて創り上げた楽器は当時では最高に精巧で、繊細で、且つまるでホール自体が鳴るような物凄い「鳴り方」をしていた。
客層は多くがピアニスト、また愛好家でもかなり博識な方が多いと見受けられた。お客様方が終演後に川口氏に尋ねる質問などはかなり専門性の高いものばかりだった。私も、量産型ピアノと違い数多種類のあるピアノフォルテを多く弾かれることについてお訊ねしてみたが、やはり楽器によって、解釈も、つまりはテンポも弾き方も変わってくる、とのことだった。3月の明治村の時もそうだったが、質問を投げかけると川口氏はとにかく一生懸命に応えてくださるのだ。ほんとうにどのお話も興味深い!





