見出し画像

ほたるのはなし

真夜中、濃紺のカーテンと黒い窓枠にはよく映えた。
室内の照明を受けてちらちらと輝く乳白色たち。
控えめながらも凛とした煌きをみせる10本、兄弟姉妹。
肩と指先だけを僅かに揺らし、様々に光の加減を変えつつ延々と眺め続けて遊ぶ。

夕闇に舞う姿を想像していた。
強弱をつけて、滑るように黒の中に点と線を描くところを。
確かに、反射する水面と濃い梅雨の夜にはよく映えた。
ちか。ちか。と明度高く明滅してみせる彼らはもうすぐ消えてしまう。

細かな銀箔がぼんやりと闇に浮かんでいる様がお気に入りで。
明日の陽が昇ったら剥がすエナメルを頬に寄せる。
儚いと感じるなんて。
作り上げた感傷に浸り、滑らかな爪、呆として日の出を待っている。





2011-06-26

いいなと思ったら応援しよう!