「いつか死にますよ」仕事仲間に本気で怒られた夜の話
若い頃の私は、
「頑張ればなんとかなる」と本気で思っていた。
休まず働く。
移動中も仕事。
寝る時間も削る。
それが「努力」だと思っていた。
でもある雪の日、
その考えは危険だと身をもって知ることになる。
仕事仲間から言われた一言を、
今でも忘れない。
「ルーティンさん、いつか死にますよ」
笑い話のようだが、
実はかなりリアルな話だ。
「ルーティンさん、いつか死にますよ!」
10数年前。
仕事仲間に、少し怒った口調で言われた言葉だ。
その頃の私は、
仲間と会社を立ち上げたばかりで、
とにかく忙しい日々を送っていた。
全国を飛び回る毎日。
朝から晩まで何件も企業訪問。
夜は夜行バスで次の都市へ移動。
到着したらネットカフェでシャワー。
少し仮眠して、また企業訪問。
そしてまた夜行バス。
今思えば、
完全に働きすぎの状態。
夜行バスは最初こそ寝られなかったが、
人間は環境に慣れる生き物だ。
そのうち普通に熟睡できるようになる。
しかも当時は
東京ー大阪間で2,000円以下のバスもあった。
「安い!最高!」
などと言いながら、
身体を酷使していた。
若いから大丈夫。
体力は無限。
そう思っていた。
そんな生活の中、
大雪が降った冬のある日。
目的地には朝4時頃に到着した。
その日はなぜか
疲れが抜けていなかった。
頭が少しぼんやりしている。
バス停から
雪の中を歩いてネットカフェへ向かう。
慣れない雪道。
何度も転ぶ。
それでも仕事は待ってくれない。
その日も企業訪問をこなし、
なんとか予定していた仕事を終えた。
夜。
仲間と軽く食事をして、
夜行バスの乗り場まで車で送ってもらう。
ありがたい。
だが問題はここからだ。
そのバス停は、
東京や大阪のような大きなターミナルではない。
高速道路の途中に
ポツンとあるタイプのバス停。
このタイプは厄介だ。
バスは数十秒しか停車しない。
遅れたら終わり。
容赦なく置いていかれる。
しかも高速バスの停留所は、
だいたい長い階段を上った場所にある。
疲れた身体を引きずりながら
なんとか階段を登る。
そして念のため
時刻表を確認する。
・・・あれ?
自分が乗るバスの時間が
どこにも見当たらない。
もう一度見る。
ない。
嫌な汗が出る。
よくよく見ると
衝撃の事実がわかった。
乗り場を間違えていた。
関西方面のバスに乗るはずが、
関東方面の乗り場に立っている。
完全に逆方向だ。
逆の乗り場は
高速道路を挟んだ向こう側。
雪の夜。
時間はギリギリ。
どうする。
階段を降りて
歩いて回るか。
いや、間に合わない。
その瞬間、
疲れた頭が出した結論。
「高速道路を横切ろう」
今考えると
完全にアウトだ。
だが当時は
判断力が完全に鈍っていた。
私は高速道路を横切り、
雪の中を走った。
クラクションが鳴る。
走る。
「何してんねん自分」
と思いながらも走る。
なんとか反対側の乗り場に到着。
駅にいた乗客が
ギョッとした顔でこちらを見る。
そりゃそうだ。
高速道路を横断してきた人間など
見たことがないだろう。
なんとかバスに乗り込み、
そのまま泥のように眠った。
後日、
この話を仕事仲間にすると、
少し呆れた顔で言われた。
「ルーティンさん、
いつか死にますよ」
その通りだ。
大いに反省した。
努力は大事だ。
だが、
無理と無謀は違う。
若い頃は、
「頑張ればなんとかなる」と思いがちだ。
でも実際は違う。
身体には限界がある。
判断力も落ちる。
そして、
その瞬間に事故は起きる。
仕事は長い。
20代で無茶をして
燃え尽きる必要はない。
大事なのは、
続けられる働き方だ。
もし今、
少し無理をしているなら、
一つだけ試してほしい。
今日は
30分だけ早く休む。
それだけでいい。
長く戦う人は、
ちゃんと休む人だ。
