【読了】犬のかたちをしているもの
女性だからって子供を必ず望んでるというわけではない。
子供が好きな人も嫌いな人も、普通の感覚。
子供がいない、子供を望んでない、子供を可愛いと思えない、子供が難しいかもということを勝手に周りが憐れんでるのはなんでだろう。
それって無意識にそういう人を下に見てるからできる態度では?
勝手に自分自身の物差しで他人を測って可哀想だと決めつけて寄り添ってくるのって、最大級の偽善だと思う。
「しなくなって結構経つけど、大丈夫?」
郁也がわたしの方を向く。目が合う。おれは大丈夫だよ、と言ってわたしの頭をなでた。
「大丈夫、かなあ」
「薫のこと、好きだから大丈夫」
薫は大学生の時に卵巣の手術をして、それからセックスをしてるとこの人は自分の切り取られた臓器のことどう思ってるんだろう。縫われたこと、失ったこと。と考えてしまう。
薫にとってネガティブな場所だから、どうしても行為の最中に大切にされてないと感じてしまって、我慢の時間になって、いつしか好きじゃなくなってしまう。
だから今までの彼氏とも3ヶ月くらいで行為は無くなった。
郁也には付き合う前に言った。
それでもいいと言った。
けど郁也は外で大学の同級生のミナシロさんにお金を払ってしていた。
そしたらあろうことかミナシロさんは郁也の子を妊娠した。
「子ども、もらってくれませんか?」
何を言い出したのかと思った。
もらう?って?
「子どもを育てたくない。産むのだってこわいし、痛いから本当は嫌だけど、堕すのはもっとこわい。だけど育てる気はありません。育てられない。もともとこんなはずじゃなかったんです。子どもなんてできるはずじゃ。」
この女正気か?って思った。
というか郁也は薫に行為がなくても好きだから大丈夫って言ったのに、大丈夫ではないんかよと。
結局郁也もミナシロさんも薫のことを女性としてちょっと可哀想だし、むしろ巡り会えなかったであろう幸運を自分たちが運んできてあげたよみたいな顔してて異様だと思った。
ていうかだからこそできた提案なんだろうな。
好きとは?愛とは?
考えれば考えるほどただそれだけでいたらダメなのかと思う。
ダメなはずないのに。
「だいたい毎日、どこかで女性が性暴力にあったって報じてるんですよね。そういうの見ると、あ、気持ち悪いな、って思って、気分の問題じゃなくて本当に気持ちが悪くなって、その時食べてるパンとか、飲み込めなくなって、ティッシュに吐き出しちゃうんですよね。」
私もここに首が痛くなるほど頷いた。
わかる。
なんか普通に、気持ち悪いってなる。
なんかすごい動物的だなって思う。
けどこれも考えすぎって思われるんだろうな。
薫は薫の感覚が正しくて素敵なのに、周りがまっすぐに自分のしていることが正しい顔をしているから、自分がおかしいのかと思ってしまうのかもしれない。
実家の犬のロクジロウへの愛と同じくらい人を好きになれるか不安になってるけど、同じじゃなくてもいい。
周りがそうじゃないといけないと思わせてくるけどそうじゃなくていい。
どうしても20代後半くらいから結婚しててもしてなくてもどこかしらで何故か子供について焦る時期ってある。
産んだほうがいいのか?子供が欲しいのか?
私も現に27歳でここに立ってるわけだけど、
薫は薫の人生が大事だし、私は私の人生が大事だ。
誰かに勝手に憐れまれて干渉されて先の人生を決められる必要はない。
多分郁也もミナシロさんも悪いやつではない。
みんなみんな、幸せになれ。
けどお互いを巻き込むな!!!
