ひとくちどう?の話
そもそも「ひとくちどう?」は平和な言葉
みなさんも、一度は言ったことありますよね?
「ひとくちどう?」
友達と。
パートナーと。
家族と。
お子さんと。
プリンだったり。
ゼリーだったり。
カレーだったり。
アイスだったり。
私はこの「ひとくちどう?」という言葉、けっこう平和で好きです。
なんか優しい。
なんか仲良し。
なんか人類がまだギリギリ争っていない感じがする。
もちろん
「ひとくち?いや、これは私のものです」
という鋼のメンタルを持った人もいるでしょう。
それはそれで正しい。
食べ物の恨みは、筋肉痛より長引くことがありますからね。
私はそこまで気にしません。
……と言いたいところですが。
今日のテーマはそこじゃない。
問題なのは
“ひとくち”とは、どこまでがひとくちなのか。
という、地味なのに妙に深いテーマです。

私の考える「ひとくち」の基準
私は昔から思っています。
「ひとくち」という言葉には、暗黙のルールがある。
味が分かる程度。
食感が楽しめる程度。
渡したあとも
「あ、まだちゃんと残ってるな」
と思える程度。
これが私の考える
“ひとくち”です。
つまり、ひとくちとは
“相手の優しさを試すための小さな儀式”
ではないのです。
ところが。
世の中には、そのルールを軽々と飛び越えてくる人がいます。
そう。
我が家にもいました。
ジャイアントコーン事件
減量中の男にとって、アイスは敵でありご褒美でもある
私は現在、減量中です。
減量中の男にとって、アイスは敵です。
でも、完全に敵にすると心が折れるので、
私は週末だけ許可しています。
しかも土曜日限定。
ロング走を終えて。
シャワーを浴びて。
「今日もよく走った、えらい。俺、えらい!」
と自分を全力で褒めたあとに食べるアイス。
これが私の小さなご褒美です。
言っておきますが、私は毎日アイスを食べるタイプではありません。
そんなことをしたら、減量どころか体重計が家出します。

祝勝会のつもりで開封したのに
その日も私は、ロング走を終え、シャワーを浴び、冷凍庫からジャイアントコーンを取り出しました。
紙をゆっくり外しながら、心の中ではもう祝勝会です。
「今日も頑張ったなぁ」
「この一口のために走ったんだよなぁ」
「いや、走った距離よりアイスの存在感のほうが強いなぁ」
そんなことを考えながら、私は静かに幸福を噛みしめていました。
すると。
背後から視線を感じる。
……
……
妻です。
獲物を狙うライオンのような目で、私のジャイアントコーンを見ています。
いや、正確にはジャイアントコーンではなく
“私の幸せ”を見ています。
妻
「あれ?昨日食べなかったの?」
私
「うん!走ってから食べようと思ってた」
すると妻が、間髪入れずに一言。
妻
「いいなぁ」
この一言に弱い。
私は優しい。
いや、優しすぎる。
ランニングで脚は鍛えても、こういう場面での断り方は全然鍛えられていません。
私はつい言ってしまいました。
「ひとくち食べる?」
この一言が、すべての始まりでした。

ひとくちのはずが、ほぼ本体
妻は
「うん!!」
返事の「う」の時点で、もう手が伸びています。
速い。
スタートダッシュが速すぎる。
100m走ならかなり有望です。
そして。
ガブッ!!
……
……
返ってきたジャイアントコーンを見て、私は固まりました。
チョコが…
無い。
上のチョコが。
全部。
綺麗さっぱり。
消えている。
え?
そこ全部いく?
ジャイアントコーンで言うチョコ部分って、かなり大事ですよね。
ショートケーキで言えばイチゴ。
モンブランで言えば栗。
カツ丼で言えばカツ。
ラーメンで言えばチャーシュー。
筋トレで言えば、最後の1回。
ランニングで言えば、
ゴール前のラストスパート。
それを全部持っていくって、どういうこと…
「ひとくちどう?」
と言われて、メインを丸ごと持っていく人…
います?
いませんよね?
私は思わず言いました。
「えっ?チョコ無いやん」
すると妻は
「あー!ごめーん笑」
いや。
その笑顔。
初犯じゃない。
絶対に常習犯だ。
しかも、悪気がない顔をしている。
これは一番強い。
悪気があるならまだ戦える。
でも、悪気ゼロでやってくるタイプは強い。
私は確認しました。
「他の人にも、こんな食べ方するの?」
すると妻は
「そんなわけないじゃーん笑」
……
……
え?
私限定?
私はどうやら
“身内だから許される枠”
に入っていたようです。

文句は言う。でも怒らない。
少しショック。でも、笑顔には勝てない
もちろん、少しショックでした。
だって。
一番楽しみにしていたところです。
ロング走のあとに食べるジャイアントコーン。
あれはただのアイスではありません。
私にとっては、努力の証であり、週末のご褒美であり、精神安定剤であり、ちょっとした人生の報酬です。
それを一番おいしいところから持っていかれたら、そりゃあ心も揺れます。
でも。
目の前で
「美味しい!」
と笑っている妻を見ると、まあ、いいか。
そんな気持ちにもなります。
甘い。
私はアイスより甘い。
だから結婚生活が続くのでしょう。
……たぶん。
いや、きっとそうです。
たぶんですけど。
そして夕方
スーパーで始まる静かなリベンジ
その日の夕方。
スーパーへ買い物に行きました。
もちろん向かった先は、アイスコーナーです。
私は迷わず
チョコミント。
そしてもう一つ。
ジャイアントコーン。
完全にリベンジです。
いや、復讐ではありません。
これは補給です。
減量中でも、心の栄養は必要ですからね。
妻が不思議そうに聞きます。
「パパ、2個も買うの?」
私は朝の出来事を思い出しながら、ニヤッと笑って言いました。
「朝、誰かさんに食べられたからね。」
すると妻。
「チョコのとこだけやん笑」
……
……
そこ。
そこがメインやろ。
私は心の中だけで全力ツッコミ。
声に出したら負けだと思いました。
大人ですから。
ここで感情を爆発させるのは簡単です。
でも私は、走って鍛えた脚と同じくらい、心も少しずつ鍛えているのです。
たぶん。
いや、まだ全然です。
でも、カゴには入れました。
しっかり2個。
遠慮なく2個。
これが大人の対応です。

今日の教訓
「ひとくちどう?」には家庭ごとのルールがある
「ひとくちどう?」
この一言には、家庭ごとのルールがあります。
味見程度なのか。
本気食いなのか。
それとも、相手の優しさを試すための心理戦なのか。
ぜひ一度、ご家族やパートナーと話し合ってみてください。
もしかすると、あなたが思う“ひとくち”と、相手が思う“ひとくち”は、想像以上に違うかもしれません。
ちなみに我が家では、妻の“ひとくち”は
ほぼメインディッシュです。
もはや「ひとくち」ではなく「ひと皿」です。
でも、それで笑えるなら、それも悪くない。
……とは言いつつ。
次からは最初にチョコだけ食べてから
「ひとくちどう?」
と言おうと思います。
先に守るべきものは守る。
学習能力だけは、少しずつ身につけています。
今日はそんな、どうでもいい話。

今日も皆さんが笑顔で過ごせますように♪
いってらっしゃい♪

