「推しの殺人(第10話)」凄惨な話は、過去との結びつきがあるのか?
増田貴久が、劇中において連続殺人犯であり、脅迫状の送り主でもあったことは明らかになった。しかし、彼が何のためにそのような行為に及んでいるのかは依然として不明である。ただの狂人として解釈することも可能かもしれないが、それではドラマとしての厚みやドラマ性に欠ける。彼の半生やトラウマのようなものが背景にあるということなのだろうか。
もっとも、このドラマは、いわゆる深夜枠であるからこそ成立している側面もある。冒頭の血みどろの加藤ローサの場面も、最後に冷凍された加藤の姿も、いずれも相当にショッキングなシーンである。この種の表現について、放送コードはどこまでを許容しているのだろうか。これを見て模倣する者が出てくる可能性も否定できないし、やはりネット上のリアルやフェイク以上に、ドラマのなかで描かれる凄惨なシーンは、多くの人の心を強く揺さぶるように思われる。
いわゆる「これまでの真相」は、この回で一応明かされたわけだが、ここから田辺桃子たちはどのように動いていくのだろうか。その前段として、横田真悠が背中を押され、車に轢かれそうになった出来事もあったが、あれも増田の仕業なのか。必ずしもそうとは思えない。では、誰なのか。まだ解かれていない謎が残されているということになる。
さらに、最後には監禁されていた城田優が逃走する。彼が田村健次郎の殺害を知っていたように見えるのは、増田から何らかの情報を得ていたからなのだろう。しかし、増田は自らの犯罪についてすべてを語ったわけではなく、加藤までも殺害するとは城田も想定していなかったように映る。では、なぜ増田は加藤を殺したのか。彼女の娘が自分の娘だと言われたからなのか。これまでの彼の行動を総合すると、「誰も愛せないがゆえに、誰でも殺せてしまう」かのような空虚さが感じられる。
一方で、曽田陵介のもとには、かつて田辺が関わった事件に関する情報が入ってくる。その過去と現在は、ここからどのようにシンクロしていくのか。しかし、もしそうした構図になるのだとすれば、増田とは一体何者として位置づけられるのかという新たな問いも生じる。
視聴者としてのモヤモヤはひとまずいくらか解消されたものの、斧による殺害が繰り返し描かれるストーリーは、やはり陰鬱で恐ろしい。こうしたドラマは、どのような結末を迎えたとしても、視聴後感がさわやかになることはあまり期待できない。そして言うまでもなく、この展開の先に典型的なハッピーエンドが待っているとは考えにくい点も、ある種のやりきれなさを残す。
久しぶりに、しっかりとした芝居を見せていた加藤ローサも、この役柄では少々もったいない印象を受ける。個人的には、こうした類型の役をあまり担ってほしくない俳優の一人である。最近では、朝ドラで北川景子がおもらいさんの役どころを演じていて驚かされたが、昨今の女優像は、常に「美しくあり続ける」ことだけでは成立しなくなっているのだろうか。
最後に増田は逮捕されることになるのだろうが、その前に城田がどのような行動に出るのかが気になる。彼自身は直接的な犯罪を犯しているわけではなく、不倫が露見したとしても加藤はすでに死亡している以上、最終的には警察に行くのだろうか。その「始末のつけ方」がどのように描かれるのかも、注視したい点である。そして、アイドル三人による殺人は表面化するのかどうか。物語として回収されるべき要素は、なお多く残されている。
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