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美容師30年。お客様の「大丈夫です」の奥にある本音を、今日は代わりに言います

美容師30年。お客様の「大丈夫です」の奥にある本音を、今日は代わりに言います

美容室の鏡の前で、本当は少し気になっているのに、「大丈夫です」

と言って帰ったことはありませんか。

前髪が、あと少しだけ短かったら。

顔まわりが、もう少し軽かったら。

思っていた色と、少し違う気がする。

でも、美容師さんが一生懸命やってくれたから、言いにくい。

もう仕上げまで終わっているのに、やり直してもらうのは申し訳ない。

そんな気持ちから、笑顔をつくって、

「はい、大丈夫です」

と言ってしまう。

そして家に帰って、もう一度鏡を見る。

美容室では言えなかった違和感が、家の鏡では急に大きく見えてくる。

前髪を触りながら、

「やっぱり、もう少し言えばよかったな」

と小さくため息をつく。

その気持ちを、私は何度も見てきました。

嬉しそうに帰ったはずなのに、どこか心に引っかかりを残したままの背中を。

「大丈夫です」が、本当に大丈夫とは限らない


美容師は、仕上がりを確認するときに聞きます。

「長さは大丈夫ですか?」

「気になるところはありませんか?」

そのとき、多くのお客様が、「大丈夫です」と答えます。

もちろん、本当に満足している方もいます。

でも、言葉は「大丈夫」でも、手がずっと前髪を触っている。

鏡の中の顔まわりを、何度も確認している。

笑ってはいるけれど、最初より少しだけ表情が硬い。

そんな瞬間があります。

美容師は髪を見ています。

でも、お客様は髪だけを見ているわけではありません。

その髪で、明日から仕事に行く。

その髪で、人に会う。

その髪で、毎朝鏡を見る。

美容師にとっては一回の仕上がりでも、お客様にとっては、その日から始まる毎日の髪です。

だからこそ、ほんの少しの違和感でも、我慢しないでほしいと思っています。

本当は、静かに過ごしたい日もある


美容室では、会話を楽しみたい日もあります。

でも、誰とも話さず、ただ静かに過ごしたい日もあります。

仕事で疲れている日。

家族のことで頭がいっぱいの日。

少し気持ちが落ちている日。

そんなときでも、美容師から話しかけられると、

「無視したら感じが悪いかな」

と思って、頑張って話してしまう。

笑わなくてもいい日に、笑ってしまう。

話したくない日に、話題を探してしまう。

でも、

「今日は静かに過ごしたいです」

と言われても、美容師は嫌な気持ちにはなりません。

むしろ、

「今日はゆっくりしてもらおう」

と分かるので助かります。

美容室では、会話まで頑張らなくて大丈夫です。

髪を整えに来たのに、心まで疲れて帰る必要はありません。

「もう少し短く」は、わがままではありません


仕上がったあとに、

「本当は、あと少し短くしたい」

と思っても、言い出しにくいものです。

美容師さんを困らせたくない。

面倒なお客さんだと思われたくない。

もう一度ハサミを入れてもらうのは申し訳ない。

そう考えてしまう方もいます。

でも、美容師にとっては、その場で言ってもらえる方がずっとありがたいです。

お客様が遠慮して帰り、そのあと毎朝鏡を見るたびに後悔する。

そして次から、その美容室に来なくなってしまう。

美容師にとって本当に残念なのは、少し直すことではありません。

本音を言えないまま、関係が終わってしまうことです。

「あと少しだけ短くできますか?」

その一言で大丈夫です。

遠慮よりも、正直な言葉の方が、髪型はきれいに仕上がります。

商品を断ることに、罪悪感を持たなくていい


シャンプーやトリートメントを紹介されたとき、

必要ないと思っていても、断りにくいことがあります。

せっかく説明してくれたから。

買わないと、感じが悪いかもしれない。

次回来たとき、気まずくなるかもしれない。

そんな心配をする方もいます。

でも、必要がなければ断って大丈夫です。

今使っているものが残っている。

今日は予算を決めて来ている。

一度考えてから決めたい。

どれも、当たり前の理由です。

「今日は大丈夫です」

「一度考えてみます」

それだけで十分です。

商品を買うかどうかで、お客様との関係を変えるような美容師であってはいけないと、私は思っています。

うまく説明できなくても大丈夫


お客様から、よく聞く言葉があります。

「どう言えばいいか分からないんですけど……」

でも、本当はそれで十分です。

髪の悩みを、専門用語で説明する必要はありません。

「何となく重く見える」

「朝、ここだけうまくいかない」

「前より老けて見える気がする」

「この辺が、何となく気になる」

その「何となく」の中に、大切なヒントがあります。

うまく言葉にできない部分を、一緒に探すのも美容師の仕事です。

説明が下手なのではありません。

髪の違和感は、もともと言葉にするのが難しいのです。

美容師も、お客様の心をすべて読めるわけではない


美容師は、表情や声の変化を見ています。

鏡を見る目。

髪を触る手。

返事をするまでの、ほんの少しの間。

そこから本音を感じ取ろうとします。

でも、美容師30年でも、お客様の心をすべて読み取れるわけではありません。

「分かってくれると思った」

「プロだから気づいてくれると思った」

そう思わせてしまったとしたら、美容師側にも責任があります。

それでも、言葉にしてもらわなければ分からないことがあります。

だから、少し勇気を出して言ってほしいのです。

「本当は、もう少しこうしたいです」

その言葉を、迷惑だと思う美容師ばかりではありません。

少なくとも私は、言ってもらえた方がうれしいです。

お客様の本音は、クレームではありません。

よりよい仕上がりを一緒につくるための、大切な情報です。

保存して使ってほしい、美容室での5つのひと言


言いにくいときは、難しく説明しなくても大丈夫です。

次の言葉を、そのまま使ってください。

静かに過ごしたいとき


「今日は少し疲れているので、静かに過ごしてもいいですか?」

もう少し切ってほしいとき


「すみません、あと少しだけ短くしてもらえますか?」

仕上がりに違和感があるとき


「うまく説明できないのですが、この辺が少し気になります」

商品を断りたいとき


「ありがとうございます。今日は一度考えてみます」

以前の失敗を伝えたいとき


「前回ここが扱いにくかったので、今回は相談しながら決めたいです」

この5つは、わがままな言葉ではありません。

自分の髪と時間を大切にするための言葉です。

次に美容室へ行く前に、見返せるように保存しておいてください。

美容室では、もう少し自分を優先していい


美容室に来るお客様は、優しい方が多いです。

美容師に気を使い、

忙しそうだからと遠慮し、

少し気になっても我慢してしまう。

でも、本来、美容室で一番大切にされるべきなのは、お客様の気持ちです。

静かに過ごしたい。

少し直してほしい。

今日は買わない。

何となく気になる。

どれも、言っていいことです。

美容師に気を使いすぎて、自分の気持ちを後回しにしなくて大丈夫です。

髪型は、美容師の作品ではありません。

お客様が毎日を過ごすためのものです。

美容師30年。

たくさんのお客様を担当して、最後に思うことがあります。

「大丈夫です」と笑って帰ることより

「本当はこうしたい」と言ってもらえる関係の方が、ずっと大切です。

その一言があるだけで、髪はもっと似合う形に近づきます。

そして何より、お客様自身が少しだけ軽くなります。

美容室では、もう少し自分を優先してください。

あなたの本音は、迷惑ではありません。

より似合う髪型に近づくための、一番大切な言葉です。

次回は、

「美容室で失敗しないために、最初の5分で伝えてほしいこと」

を、美容師30年の経験から具体的にお話しします。

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