Claudeに仕事を任せる前に決める4つ|Cowork・Codeへ引き継ぐ依頼書
前回の記事では、ClaudeのChat、Claude Cowork、Claude Codeは、AIへ任せる仕事の深さが違うと書きました。
では、実際に仕事を渡すとき、何を伝えればよいのでしょうか。
長いプロンプトを毎回書いても、前提が間違っていれば、AIは間違った方向へ進みやすくなります。
先に用意したいのは、目的、正本、境界、完了条件の4つです。
この4項目をClaudeとの対話で作り、Claude Coworkへ渡して成果物にし、繰り返す部分だけをClaude Codeで仕組みにする。一枚の依頼書を三つの製品へ引き継いでいくイメージです。
今回は、この記事を作る途中で本数を間違えた実例から、その流れを紹介します。
「4本目です」は、公開ページを見たら違っていた
私が最初にAIへ送った依頼は、ほぼ一行でした。
「AIネタのNote4本目です。」
そこへ参考にしたい長文を一つ添えただけです。文字数も、構成も、想定読者も書いていません。
ところが、公開中のマガジンを確認すると、すでに5本の記事がありました。つまり、いま作っている原稿は6本目です。最初に伝えた私の本数が間違っていました。
これは単なる数え間違いですが、AIへ仕事を任せるときの問題がよく表れています。
依頼者が「4本目」と書けば、AIは通常、それを前提として扱います。プロンプトだけを丁寧にしても、元の前提が誤っていれば正しい成果物にはなりません。
今回は、公開ページを本数の正本として照合し、5本公開済み、現在稿は6本目と訂正しました。さらに既存稿を読み直すと、公開済み5本目と新しい原稿には、文章の完全一致がなくても、意味の重なる箇所があると分かりました。
ファイル名や数字の一致は機械でも確認できます。しかし、「前回と同じ話を別の言葉で書いていないか」は、読者への約束まで見なければ判断できません。
一行の依頼でも仕事を始められたのは、AIが私の考えを読んだからではありません。公開ページ、既存稿、執筆ルール、参照資料という、戻って確認できる場所があったからです。
短い依頼と、曖昧な依頼は同じではありません。
一行の依頼を、4項目の依頼書へ変える

今回、AIへの依頼を次の4項目へ分けました。
1.目的
目的には、作るものの先で誰にどうなってほしいかを書きます。
「note記事を書く」は作業です。今回の目的は、Claudeを使い始めた人が、自分の仕事をAIへ渡せる依頼書に変え、CoworkやCodeへ進む条件を判断できるようにすることです。
2.正本
正本とは、情報が食い違ったときに戻る基準です。
今回なら、公開本数は公開ページ、本文は指定した最新稿、製品の機能はAnthropicの公式情報を優先します。それぞれの資料の用途と、矛盾した場合の優先順位まで決めます。
3.境界
境界は、変更してよい範囲、禁止する操作、人間の承認が必要な操作の線引きです。
新しい版は作ってよい。しかし、既存稿は削除しない。著者の体験や数字は創作しない。noteへの貼り付け、公開、外部送信は、本人の確認なしに行わない。ここまで書けば、AIが迷ったときに止まる場所ができます。
4.完了条件
「高品質になったら完了」では、あとから確かめられません。
公開済み5本の焼き直しになっていない。4項目が具体例とともに説明されている。Claude、Claude Cowork、Claude Codeへの引き継ぎ方が分かる。重要な製品情報は公式資料で確認されている。このように、合否を確認できる言葉へ変えます。
4項目を並べると、依頼書の最小形は次のようになります。
目的:
正本:情報が食い違った場合、何を優先するか
境界:変更可/禁止/人間の承認が必要な操作
完了条件:何を確認できれば終わりか最初から一行ずつに収める必要はありません。一度詳しく決め、変わらないルールを次回も読める場所へ残していけば、その場の依頼は短くできます。
まずClaudeで、依頼書の空欄を見つける
仕事の目的や完成形がまだ曖昧なら、いきなり実行を頼まず、まずClaudeとの対話で4項目を埋めます。
たとえば、次のように頼みます。
この仕事はまだ実行しないでください。
目的、正本、境界、完了条件の不足や矛盾を確認し、
必要な質問を一つずつしてください。
最後に、4項目の依頼書として整理してください。ここで作るのは、依頼書の初版です。
誰に何を届けるのか。どの資料を優先するのか。触ってはいけない場所はどこか。何を確認できれば終わりなのか。AIから質問されることで、自分の頭の中にしかなかった判断が表へ出てきます。
ただし、AIが整理した依頼書をそのまま正解にはしません。今回の本数や、6本目で何を伝えるかのような判断は、人間が根拠を見て承認します。
会話の中で答えや草案が完成し、自分で最終成果物へ反映できるなら、ここで止めても構いません。
Claude Coworkへ、依頼書と正本を一緒に渡す
依頼書ができたあと、複数のファイルや資料を読み、指定した場所へ成果物を残してほしいなら、次の候補がClaude Coworkです。
今回の記事づくりをCoworkへ渡すなら、「記事を書いて」の一言に、4項目の依頼書、公開ページ、既存稿、参照資料、出力先を添えます。
進めてもらう仕事は、公開本数の照合、既存記事との意味の重複確認、新しい版の作成、文字数やリンクの点検です。既存稿の削除や公開は境界の外なので、実行せず人間へ戻します。
大切なのは、Coworkが作った成果物だけを受け取らないことです。
作業中に「公開本数は5本だった」「完全一致はなくても意味が重なっていた」と分かったなら、その結果を依頼書へ戻します。依頼書の初版を固定せず、実際の仕事で判明した条件を反映して次の版にする。そうすれば、同じ誤りを次の作業へ持ち越しにくくなります。
一度だけ必要な文書なら、ここで仕事は完了です。
Claude Codeへ、再現できる条件だけを渡す
同じ仕事を何度も繰り返し、毎回同じ確認を人が行うようになったら、Claude Codeで仕組みにする意味が出てきます。
4項目のうち、機械で確かめられる完了条件を、スクリプトやテストへ変えます。
本文文字数と見出し数を数える
リンクやファイル名の形式を確認する
旧版を上書きしていないか調べる
禁止した表現や未記入の印を検出する
過去記事との重複候補を一覧にする
一方、「読者に新しい価値があるか」「著者の言葉に見えるか」「前回と意味が重なっていないか」は、数だけでは決められません。
今回、文章の完全一致検査は、5本目との意味の重複を見逃しました。Claude Codeで候補を絞ることはできても、最終判断は記事の目的を知る人間が行います。
Codeへ渡すのは、依頼書のすべてではありません。安定して繰り返せる部分だけです。正本の場所、変更可能な範囲、実行する検査、失敗したときの戻し方を残し、結果を人間が確認できる形にします。
まだ手順が固まっていない仕事や、一度しか行わない仕事を、無理にCode化する必要はありません。
同じ依頼書を、対話、実行、再現へ引き継ぐ
Claude、Claude Cowork、Claude Codeは、初心者、中級者、上級者という順番ではありません。
目的、正本、境界、完了条件が曖昧なら、Claudeとの対話で依頼書を作る。
複数の資料を使い、成果物まで進めるなら、Claude Coworkへ依頼書と作業場所を渡す。
安定した手順を繰り返すなら、Claude Codeへ再現できる条件を渡す。

前回の記事「Claudeデスクトップアプリ講義|『答えるAI』から『働くAI』へ」では、三つに任せられる仕事と、人間が決める境界を紹介しました。今回は、その境界を実際の依頼書へ変える方法です。
三つの製品ごとに、仕事の説明を最初からやり直す必要はありません。同じ4項目を、対話、実行、再現へ引き継いでいけばよいのです。
まずは、いま抱えている仕事を一つ選び、目的、正本、境界、完了条件を書いてみてください。空欄や矛盾が見つかったら、そこからClaudeとの対話を始められます。

