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姉のおっぱいで生きる

大学を卒業してからこれまでの10年余りの間、私は姉のおっぱいで生きてきた。と、敢えてセンセーショナルな書き出しにして興味を引いてみた。おっぱいインフルエンサーである姉の運営を手伝ってきたという話である。

姉はそれはそれは見事なおっぱいを持っている。サイズはHカップ〜Iカップあり、形も綺麗に整っていて左右のバランスも良く、真っ白できめ細かい肌質で、垂れずに張りがあり、それでいて柔らかく、太っているわけでもなくスタイルもいい。身内の贔屓目はあるかもしれないが、姉のおっぱいは私の知る限り誰にも引けを取らない完璧なおっぱいだった。姉は新卒で入った出版系の会社に馴染めず半年で辞めたあと、SNSにおっぱいの自撮り写真を載せたり、おっぱいの動画や画像を販売して稼ぐようになった。活動が軌道に乗って姉一人で運営していくのが難しくなり始めた時期にちょうど大学を卒業するタイミングだったのが2つ下の私だった。就活はせずに私の仕事を手伝ってくれないかと言われた私は、それを引き受けたのである。

私は芸術大学の放送学科でテレビ制作を専攻していた。元々就職の第一志望はテレビ業界だった。高校時代からカメラが趣味で、プロとまではいかないがそれなりにカメラを扱う技術と、大学で学んだ動画編集のノウハウを持ち合わせていた。経営のあれこれや企画プロデュース的な才覚は姉と二人三脚で活動しながら学んできたものだが、元々向いていたのもあるのだろう。私がサポートするようになってから姉のおっぱいの売り上げは飛躍的に伸びた。今でこそこういう活動をするインフルエンサーは増えたが、我々はその先駆者であると自負している。

とは言え、ここまでの成功を収めることが出来たのはタイミングと幸運、環境の助けもあったと思う。まずは前述の通り活動を始めたタイミングが早くてライバルが少なかったこと。こういう活動の肝はいかにマメにコンテンツを更新出来るかにあるが、ちょうどフォロワーが増え更新頻度を求められるようになったタイミングで私という専任スタッフが入れてコンスタントな供給が出来たことも大きかった。加えていくつかの幸運である。初めてのオフ会イベントで、顔出しはしたくないという姉のために苦肉の策で作ったのが、映画館の上映前の『NO MORE 映画泥棒』のCMに出てくるカメラ頭のキャラクターに着想を得た炊飯器の頭の被り物だったが、その間の抜けた頭と完璧なおっぱい、スタイルとのバランスが大いにバズり、コスプレ界隈、とりわけ人外の頭と人間の体を持つキャラクターやコスプレを指す『異形頭』というジャンルを好む人たちに大きくリーチすることが出来た。それから呼ばれるようになったコスプレ系のイベントでは大きく知名度を上げられたし、コミケ等即売イベントでのコスプレ写真集の販売は大きな利益をもたらした。3rd写真集『家電頭とおっぱい』のダウンロード販売は今でも我々の主な収入源のひとつである。胸やデコルテをケアする専用美容液のプロデュース、下着メーカーとのコラボなど、いくつかの大きな企業案件をこなすことが出来たのもタイミングと運。我々がファーストペンギンだったからこそだと思っている。地味だが2人とも田舎の実家暮らしで、改築した離れをスタジオとして活動拠点に使えたのも大きかった。離れの持ちスタジオは特にコロナ禍の活動継続に大いに役に立ったし、実家が富士山にほど近い場所だったのも野外撮影にうってつけだった。両親が亡くなって相続した遺産と農地を手放して得た金とで生活資金に余裕があったのも大きかった。たとえ一時的に売り上げが落ち込んでも、焦って過激なコンテンツに走ったりAVに転身したりすることなく(実際にオファーは山ほどあった)マイペースに活動を継続することが出来た。まったく有り難いことだ。

そんなこんなで10余年、である。姉も私も30半ばに差し掛かるところだが、姉はまだまだいけると豪語している。ここ数年は我々以外にも同じようなコンテンツで稼ぐライバルたちも増えて全盛期ほどの売り上げは出せなくなってきたが、私も姉にとことん付き合ってやろうと考えている。姉の信念と、姉のおっぱいの素晴らしさを誰よりも分かっているのは私だ。姉と、姉のおっぱいと共に走り続けたいと思っている。

……さて、ここまで敢えて明言せずに書いてきましたが、『私』は『妹』でしょうか?それとも『弟』なのでしょうか?どっちの方がよりこの物語は魅力的になるでしょうね。どうぞどちらでも、あなたのお好きな方でお読みください。

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