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映画感想など「ヴィヴァルディと私」修道院育ちの親を知らぬ少女が代償を払い自由を獲得するまでを描く快作

ヴィヴァルディはあくまで脇役だ。

主人公は「私」の方である。

舞台は18世紀のベネチア。赤ちゃんポストに捨てられた少女チェチリア。親の顔も知らず修道院で育った。

このピエタ院という修道院で作曲家ヴィヴァルディは、長年に渡りバイオリンなどの音楽を教えたという(なお、あの名曲四季が発見されたのは彼の死後である。よって生前の彼は修道院で孤児の少女たちに音楽を教え生活費を稼ぐ清貧の中にあった)。

チェチリアは音楽の才能に恵まれていた。彼の指導もあり、メキメキと頭角を表す。

しかし彼女に縁談話が持ち上がる。

そう、修道院の少女たちは金持ちに見染められて嫁ぎ、そのいわば結納金で修道院は金銭を賄っていたのだ。ある意味人身売買である。ほとんど会ったこともない見知らぬ男の元に嫁がされる。それだけが唯一この修道院から脱出する方法であった。

そして、当時は結婚した女性は人前で音楽を奏でることは許されていなかった。

だから嫁ぐとはイコール音楽を捨てるということだった。静かな抵抗を試みるチェチリア。そしてひどいしっぺ返しを喰らう。

登場人物の男たちが、ヴィヴァルディも含め、いろんなものに縛られ、うだつが上がらず情けない感じで、ため息が出る。

それに比べて、チェチリアはじめ、女性たちは逆境の中でも真摯で軽やかである。

チェチリアを演じた、テクラ・インソニアが密やかな美しさではっと目を引く。派手な感じはないのだが、ちょっとした表情や目線が美しく思わず何度も静かに見惚れる。

ペネロペ・クルスの若い頃にちょっと似てる。

次回作があればきっと私は彼女を見るために、その作品を観るだろう。

ラストは悲しくも清々しい。

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