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君の音はシャープなんだよ。

みなさん、こんにちは。
佐伯です。

本日はふと思い出した東京声優時代のお話です。

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「君の音はシャープなんだよ」

と、言われたことがある。

声優時代、 アフレコ収録をしていた頃の話。
デビュー直後だった私は、 毎回ガチガチに緊張しながらスタジオへ向かっていた。

その現場の音響さんは、 絶対音感を持っている人だった。

当時の私は、 少年役を必死に演じていた。
でも毎回、 かなり怒られていた。

そしてある日、 ついに言われたのが、

「君の音はシャープなんだよ」

だった。

当時の私は、 意味がまったくわからなかった。

「音が尖っているということですか?」

と聞き返した気がする。

でも違った。
語尾が音階のシャープの音で終わることが多くて、 それが気になるらしい。

そして、

「俺とは合わない」

とも言われた。

知らんがな、 が申し訳ないけど正直な感想だった。

音階なんて気にして生きていないし、 芝居中に急に言われても、 どう直せばいいのかもわからない。

当時の私はもう頭が真っ白で、 「気をつけます」 くらいしか言えなかったと思う。

だって、 音階なんて意識して芝居してなかったから。

でも、 あれからかなり時間が経った今なら、 ほんの少しだけ、 あの言葉の意味がわかる気がしている。

たぶん私のセリフって、 音響さんにとっては、 世にも奇妙な物語のテーマみたいな感じだったんだと思う。

無意識に、 毎回少し浮き上がる語尾。

振り返れば当時の私は、 現場で爪痕を残したくて必死だった。
覚えてもらえないと仕事をもらえない。

その結果、 ああいう“シャープな音”になっていたのかもしれない。

今でも、 その音響さんが担当している作品を見るたびに、

「この作品の演者さんたちの中に、 シャープな人はいないんだろうな」

と思うことがある。
カレーを作りながら、 そんなことを思い出した。

それでは、また。
佐伯ゆずこでした。

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