会社を辞めて、生活に彩りが戻ってきた【週刊・脱サラ作業日誌】#3
退職して3ヶ月。新生活にも慣れつつあり、振り返ればいくつかの変化がありました。毎日体を動かすようになったこと。新しい環境での人間関係。そして、もう一つ。それは食事との付き合い方。きっかけは、パートナーが言った「生活にもっと彩りをつけよう」という言葉でした。

◾️会社員時代を振り返って
元々食に関しては非常に関心が強い方でした。料理は好きで、学生時代はほぼ毎日自炊をし、多少凝ったものを作るような時間もありました。ただ、社会人になってから料理の時間はめっきり減っていき、また今振り返ると当時の食事には少し違う意味もあった気がします。
仕事を続けるための燃料。疲れを取るためのご褒美。ストレスを解消するための手段。忙しい日々を回すための時短。
もちろん、それが悪かったとは思っていません。日中は仕事のプレッシャーがあり、帰宅するのも夜遅くの当時の働き方の中では、とても合理的な選択だったと今でも思っています。限られた時間の中で仕事をし、疲れた体をどうにか回復させ、また次の日も働く。そのために、お金を使って時間を買う。そうやって生活を回していました。その一方で、知らないうちに諦めていた時間の使い方もありました。
食材を選ぶ時間。料理をする時間。自分達のための手作りの料理を、ゆっくり味わう時間。そういう時間は、どこか生活の優先順位の外に置かれていた気がします。ただ今は手作りのご飯を食べる機会が圧倒的に増えました。スーパーで食材を見ながら、今日は何を作ろうか考える。何よりも家に早く帰って少しでも自由時間を確保したいと考えていた昔からすると、これは非常に大きな変化でした。
◾️最近の料理例と食事への向き合い方




料理は不思議です。同じように作っているつもりでも、出来上がりは微妙に異なる。なぜなら食材の状態も、火加減も、その日の自分の感覚も違うから。ただ、そのような試行錯誤も含めて楽しく感じられます。
また、実習で特に体力を使った日は、食事が驚くほど美味しく感じます。ただ、決して食べているものが以前より豪華になったわけではありません。スーパーで買った食材を食べることが増え、食費は減りましたが、食事の満足感は以前よりかなり大きい。理由は、自分たちのためにちゃんと時間を使っていることだと思います。
出来合いのものではなく、自分たちで選び、自分たちで作ったものを食べる。次の予定を気にしながら急いで食べない。作った人に「美味しい」と言う。そういう当たり前のことが、今は少し贅沢に感じます。もちろん、会社員時代、忙しい中での外食やコンビニの惣菜などには救われ、感謝していました。だから、どちらが上という話ではありません。
ただ、退職してから初めて気付いたことがあります。私にとっての贅沢は、高いものを食べることだけではありませんでした。自分たちのために時間を使って暮らす。そういう生活の彩りそのものが、食事を美味しくしているのだと思います。
農業を学び始めたことも、少し影響しているのかもしれません。スーパーで野菜を見る時も、以前より少しだけ見方が変わりました。この野菜はどこで作られたのか。どういう時期のものなのか。どんな人が作ったのか。そんなことを考えるようになりました。それは、「作る側」に少し近づいたからかもしれません。
◾️最後に
退職して、生活は大きく変わりました。収入も、肩書きも、日々の予定も変わりました。でも、意外と大きかった変化が食事でした。
何を食べるか。
誰と食べるか。
どれくらい時間をかけて食べるか。
その一つ一つが、暮らしの手触り、彩りを作っているのだと思います。順調なキャリアを続けるために、合理的に使っていたお金。その代わりに、いつの間にか諦めていた時間。退職してから、その時間を少しずつ取り戻しています。
順調にいけば、来年からいよいよいちご農家としての生活が始まります。忙しくなれば、また時間に追われる日もあると思います。それでも今感じている、この暮らしの彩りだけは、できるだけ忘れずにいたい。
そんなことを考えた一週間でした。
