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バス無料化、ベトナムの青空に向かって。

■全市民を対象にバス全面無料化を検討。
・最新のニュース、「渋滞対策の切り札か、ホーチミン市が約413億円の財政支出を想定、全市民を対象にバス全面無料化を検討」。
・この方針は同市党委員会のクアン書記が4月1日の会議で「交通費負担の軽減と公共交通の利用拡大を通じて、渋滞や大気汚染の抑制を図る狙いである」ことを示したものである。実現すれば「現在は一部対象者に限られている無料制度を全市民へ拡大する初の取り組みとなる見込みである。ホーチミン市は年間約413億円の財政支出を想定している」。
・対象は「市内約135のすべてのバス路線であり、補助金対象路線と非対象路線の双方を含む」。一方で「運営体制や財源構造が異なる省間路線は対象外となる見通しである」。現状では「年間約88億5000万円がバス補助に充てられており、無料化により財政負担は大幅に増加する」。

■市内のバス利用者25年約9700万人、前年比6%増。
・利用状況の把握と適切な予算配分のため「乗客数の計測やデータ管理にはデジタル技術を活用する方針である」。無料化により「利用者数は2025年比で約3割増加する可能性があると試算されている」。現在のバス網は「約179路線、車両数は2100台超で、運行効率は平均で約5割にとどまっている」。
・一定の余力はあるものの「需要の急増に対応するためには車両の増強や運行頻度の見直しが課題となる。特に学校や工業団地を結ぶ路線では増便が検討されている」。ホーチミン市では近年「電動バスの導入やキャッシュレス決済の拡大、祝祭日における無料運行などの施策を試行しており、利用者数は増加傾向にある。2025年の利用者は約9700万人で、前年比6%増となった」。
・専門家は「無料化が低所得者層や学生の負担軽減に寄与し、需要喚起の効果も期待できると評価している。一方で、安定的な財源の確保が課題であり、段階的導入や時間帯限定の無料化といった柔軟な運用も選択肢となる」。さらに「利用拡大には運賃以外の要因も重要である。車両の老朽化や遅延、接客態度、停留所へのアクセスの不便さなど、サービス品質の改善が不可欠である」。ホーチミン市は「路線網や停留所の整備を進め、公共交通の利便性向上を図る必要がある」。

■事例、世界の公共交通無料化。
・余談、世界を眺めてみると、既に100を超える都市や地域で何らかの形で公共交通の無料化が実施されており、渋滞緩和・大気汚染削減・低所得者支援を主な目的とした取り組みが広がっているようだ。特に欧州では、以下のような先進事例が多く、成功・課題の両面が見えてくる。
【事例:世界の公共交通無料化】
 1. エストニア・タリン市(2013年開始、世界初の欧州首都規模無料化)。
  背景:
  ‐人口約45万人の首都で、住民投票(75%賛成)を受けて住民登録者限定でバス・トラム・トロリーバスを完全無料化
  ‐旧ソ連時代からの「車=ステータス」文化を崩し、住民負担軽減と交通渋滞緩和、地方からの移住促進を狙った
  ‐財源は市税約1500万ユーロ/年で賄う
  成功・失敗事例:
  ‐利用者数は着実に増加し、2024年には約1億3000万人の乗客を記録するなど長期継続中
  ‐一方で、期待された「車離れ」は限定的で、乗客シェアは向上したものの多くは歩行からのシフト
  ‐車利用全体への影響は小さく、「無料だけでは不十分」との評価もある
  持続可能社会への大切なポイント:
  ‐無料化は「社会的公平性」を高める強力なツールだが、モーダルシフト(車→公共交通)を本格的に起こすには路線網の拡充や運行頻度向上などのサービス品質改善が不可欠
  ‐税収依存の安定財源確保と、データ活用による需要予測が長期持続の鍵となる
 2. ルクセンブルク(2020年開始、世界初の全国無料化)。   
  背景:
  ‐人口約69万人の小国で、バス・トラム・2等列車を住民・観光客問わず完全無料化
  ‐高所得国としての財政力を活かし、深刻な渋滞(特に国境を越える通勤者)と環境負荷軽減を目指した
  ‐元々運賃収入が運用費の約3分の1程度だったため、移行のハードルは比較的低かった
  成功・失敗事例:
  ‐乗客数は着実に増加(列車は2025年に過去最高を更新、バス・トラムも平日14万人超/日規模)   
  ‐気軽な利用促進で利便性は向上したが、即時的な大規模車離れは見られず、路線によっては交通量が増加したケースも
  ‐COVID-19の影響も重なり、短期的効果は限定的との分析がある  
  持続可能社会への大切なポイント:
  ‐富裕国・小規模国では全国規模無料化が現実的で、観光振興や社会的包摂に寄与する
  ‐ただし「安さ」だけで車への置き換えは難しく、快適性・定時性・他交通手段とのシームレス連携が長期的な成功を左右する
  ‐財源の透明性と、無料化をきっかけとした「交通行動の文化変革」が持  続可能性の鍵
 3. フランス・ダンケルク市(2018年開始、中規模都市での成功モデル)
  背景:
  ‐人口約20万人の港湾都市で、車依存が強く汚染が課題だった中、バス全路線を住民・訪問者問わず無料化。ポスト産業都市の再生と、気候変動対策として「摩擦ゼロ(現金・カード不要)」の公共交通を目指した
  成功・失敗事例:
  ‐明確な成功例。導入後、バス利用者は平日60%増・週末2倍超、全体で165%増加
  ‐利用者の約半数が「以前は車だった」と回答し、10%が車を手放すなど車利用が大幅減
  ‐駐車場利用も30%減少し、中心市街地の活性化と若者の「車離れ」文化変革にも寄与。汚染低減効果も顕著   
  持続可能社会への大切なポイント:
  ‐無料化+サービス改善(路線増・頻度向上)の組み合わせが、実際のモーダルシフトを生む好例
  ‐低所得者支援だけでなく、都市全体の魅力向上や環境負荷削減に直結し、持続可能なモビリティ社会のモデルケースとなっている
・三つの事例を背景・成果・課題・教訓の観点でまとめると、共通して言えるのは「無料化は強力なきっかけになるが、それだけで完結しない」という点が見えてくる。成功のカギは①安定的な税財源確保、②デジタル技術を活用した需要管理と運行効率化、③車両増強・利便性向上などの補完投資、④車利用抑制策(駐車料金や環境税)との連動が求められていることと捉えられる。
・失敗例では「利用増=車離れ」にならず、歩行シフト止まりとなるケースが多く、サービス品質の向上が不可欠だろうーーーホーチミン市の無料化導入が、持続可能な都市づくりと次世代への美しいベトナムを紡ぐ、希望の象徴となり得るか。単なる渋滞対策を超えて、ベトナムの青空、空気が澄みわたり、遠くの景色までクリアにみられる未来を想う。

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