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点から面へ、ベトナム物流の現在地。

■独DHL、東南アジア最大規模の物流施設を着工。
・最近のニュース、「独DHL、フンイエン省で東南アジア最大規模の自社物流施設を着工、投資総額は約118億円」。
・ドイツの国際物流大手DHL傘下のDHLサプライチェーンはこのほど「北部紅河デルタ地方フンイエン省の第2イエンミー工業団地で、大規模な物流施設『DHLノース・ロジスティクス・キャンパス』を着工した」。投資総額は約118億円で「同社がベトナムで初めて直接投資し、開発を手掛ける物流プロジェクトとなる」。
・東南アジアにおけるDHL最大のA級物流施設となり「新施設の敷地面積は8万2500m2余りで、4つの区画で構成される。有効天井高11.9mを備えたA級水準の倉庫として設計されており、電子機器、自動車、工業生産、小売、日用消費財、医療・ライフサイエンスなど、幅広い業界の顧客にサービスを提供する」。

■港へのアクセスに優れた戦略的な立地。
・第1期は「2027年1~6月に完成する予定で、約4万1180m2の倉庫スペースが稼働する。その後、2028年7~12月に第2期の拡張工事を実施し、完成時には東南アジアにおける同社最大のA級物流施設となる見通しだ」。
・同施設は「ハノイ市と北部紅河デルタ地方ハイフォン市を結ぶ高速道路に直結し、ノイバイ国際空港、ハノイ市中心部、ハイフォン港へのアクセスに優れた戦略的な立地にある。施設内には、次世代の自動化技術やスマート貨物処理システム、デジタルサプライチェーン管理プラットフォームなどの導入に対応できるインフラを整備する」。また「出力350kWpの屋上太陽光発電システムや容量500kWhの蓄電池システム(BESS)、LED照明などを導入し、グリーンロジスティクスを推進する」。
・タイ・ベトナム地域を担当するウォーカー氏によると「ベトナムは域内で最も成長が速い市場に含まれ、企業の生産拡大に伴い物流ソリューションへの需要が高まっている」。DHLの報告書でも「ベトナムは貿易面での国際的な結び付きで世界9位に位置づけられており、地域の製造・輸出拠点としての重要性が高まっている」。同社は「最近、ハノイ市のゲートウェイセンターやハイフォン市のコンテナフレートステーション(CFS)の拡張も行っており、ベトナム市場での事業基盤を継続的に強化している」。

■高機能・大型物流施設(A級倉庫)の建設ラッシュ。
・余談、私は近年のベトナムにおける物流インフラの質的転換を実感している。現在、同国ではEC市場の年約20%超におよぶ急成長や、グローバル企業の「チャイナ+1」に伴う生産拠点移転を背景に、単なる保管庫ではない「高機能・大型物流施設(A級倉庫)」の建設ラッシュが相次ぐ。
・このトレンドを牽引しているのはDHLだけではない。シンガポール系大手SLP(GLP)や、米系ファンド等を背後に持つBWインダストリアル、ESRグループといったグローバル開発デベロッパーが、北部バクニン省やハイフォン市、南部ビンズオン省などの主要産業地帯において、数万m²規模の超大型ロジスティクスパークを続々と着工・運用している。また、日系でも住友商事や三井倉庫などが高精度な蔵置管理を強みに拠点を拡充している。
・こうした群雄割拠(ぐんゆうかっきょ=数多くの有力企業がしのぎを削る)の環境下において、従来は賃貸拠点を中心に展開してきた国際ロジスティクス巨頭のDHLが、ベトナムで「初の自社直接投資」として東南アジア最大級の施設を着工した意味は大きい。これは、同国を単なる通過点や一時的な生産代替地としてではなく、東南アジア全域を統括する永続的な中核物流ハブとして位置づけた、極めて強烈なコミットメントであると捉えている。
・市場が活況を呈する一方で、これまでベトナム物流の長年の構造的弱点として指摘されてきたのが「コールドチェーン(低温物流網)」の未整備であった。ベトナムの物流コストの対GDP比率は約16〜18%と、周辺国(タイの約12%など)と比較して高く、特に保冷管理の面では小規模事業者の分断や港湾・農園からの輸送分断(コールドチェーンの途切れ)が深刻視されてきた。
・同国では水産物や農産物の輸送過程における廃棄・劣化損失率が20〜30%に達するとされ、品質維持と輸出競争力の強化においてコールドチェーンの確立は急務であった。しかし現在、この課題も急速に解決へ向かい始めている。ベトナム政府が推進する「2025〜2030年物流サービス開発計画(首相決定第200等)」において、農産物・保冷インフラの整備や拠点化が国策として明確に位置づけられたほか、中間層の拡大やモダン・トレード(大型スーパー・コンビニ)の定着、医薬品ECの需要増が温調倉庫への投資を強力に後押ししているためだ。
・Lineage Logisticsなどの保冷専門大手に加え、今回着工されたDHLの新施設のように、医療・ライフサイエンスや消費財向けの高度な温調・管理機能を備えたメガ拠点が増加するーーーこれまで「点」であった保冷ネットワークは「面」として各地域へ広がりつつある。長年課題とされてきたコールドチェーンがベトナム全土に強固に確立される将来、先進技術と巨大資本が交差する、新しい物流シーンはもうすぐそこまで来ている。

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