膝が痛いのは加齢のせいじゃない?かつての日本人が持っていた「膝を曲げる歩き方」
いきなりですが、ひとつ質問させてください。
あなたは今、膝を伸ばし切って立っていませんか?
実はこの「膝を伸ばし切る」立ち方・歩き方、もともとの日本人の身体にはなかった習慣だと言われています。
今日は、明治維新前後に失われてしまった「膝を曲げる」文化と、そこに隠れていた膝の痛み・股関節・血流にまつわるヒントをお話しします。
文明開化で消えた「膝を曲げる歩き方」——日本人の身体はここから変わった
明治維新前、日本人は「膝を伸ばし切らない」のが当たり前だった
前回のメルマガでもお話ししましたが、明治維新の前後に入ってきた西洋文化によって、古くから受け継がれてきた多くの習慣が一新されました。
いわゆる「文明開化」です。
歩き方が変わり、牛肉を食べるようになり、そしてもうひとつ、身体に関わる大きな変化がありました。
それが「膝を伸ばして歩く、立つ」ことです。
これも、本来の日本人のものではなかったと言われています。
昔に描かれた絵を見ると、人も動物も膝を軽く曲げて立っていますよね。あれは多少誇張されているとは思いますが、日本人はもともと膝を伸ばし切らず、軽く曲げた状態で立ち、歩く習慣を持っていたようです。
膝は本来「曲がる関節」——伸ばし切ることで起きる負担
膝は本来、前に曲がるためにある関節です。膝まわりの筋肉も、前に曲がる動きに合わせてバランスを取るように働きます。
ところが膝を伸ばし切ると、関節の中では思っている以上に色々なことが起きています。
まず、膝が伸び切る直前、脛(すね)の骨がわずかに外側にねじれて、関節がカチッとロックされるような仕組みが働きます。
これ自体は本来、立っているときに筋肉を使わず楽に骨で支えるための、身体に備わった機能です。
ただ、このロックがかかった状態では、膝まわりの靭帯や関節を包む膜に、常に張った状態のテンションがかかり続けることになります。
つまり、膝を伸ばし切って立つというのは、「筋肉で支える」代わりに「靭帯で支える」姿勢に切り替わっているということなんです。
一見、楽に立てているように感じるかもしれませんが、実際には靭帯に慢性的な引っ張りストレスをかけ続けている状態と言えます。
これが長年積み重なると、後ろ側の靭帯や関節包がゆるみやすくなり、膝が本来の角度よりもさらに反ってしまう「反張膝(はんちょうしつ)」と呼ばれる状態につながることもあります。
加えて、膝のお皿(膝蓋骨)と太ももの骨が接する面積も、伸ばし切った状態では狭くなるため、荷重が一点に集中しやすくなるとも言われています。
私が指導してきた経験の中では、このわずかな「反り」と、靭帯に頼った立ち方の積み重ねが、膝を痛める一因になっているように感じることが多くあります。
着地衝撃・股関節の停止・踵着地……膝を痛める現代人の歩き方パターン
膝を伸ばした歩き方には、こんな特徴が見られます。
・着地の際に衝撃が膝に集中しやすい
・股関節がほとんど動かない
・踵からドスンと着地する
これらが重なることで、膝への負担が積み重なっていくと感じています。「年齢のせいで膝が痛い」と思われがちですが、実は歩き方そのものに原因が隠れているケースも少なくありません。
「膝を曲げて立つ」がもたらす下半身への恩恵——昔の日本人が持っていた驚異のパワー
細身の日本人が持っていた驚異のパワーの秘密
もともと身体が細い日本人は、関節や筋肉の使い方が上手な民族だったと言われています。
西洋人ほどの筋肉量を持ち合わせていないのに、西洋人顔負けのパワーを発揮していたという話も残っています。
そのパワーの出どころが、下半身にあったと考えられています。
立つ・歩くが自然な筋トレになっていた昔の暮らし
膝を軽く曲げて立つ、歩く習慣は、それ自体が自然な下半身の筋トレになっていました。
膝を伸ばし切らずに姿勢を保つには、太ももやお尻まわりの筋肉を常に使い続ける必要があるからです。
言い換えると、靭帯に頼るのではなく、筋肉を使って膝を支え続けていたということ。
膝まわりのセンサー(固有受容感覚と呼ばれるものです)も鍛えられ、ちょっとした地面の凹凸やバランスの崩れにも反応しやすい身体になっていたと考えられます。
わざわざジムに通わなくても、日常の「立つ」「歩く」が下半身を鍛える時間になっていた。
これは現代の私たちからすると、なんとも羨ましい話です。
床の生活と股関節の可動域——失われたもう一つの習慣
さらに、床に座る生活習慣も、股関節を大きく動かすことに役立っていました。立つ、しゃがむ、座る。
この一つひとつが、椅子中心の暮らしに比べてはるかに大きな動作だったのです。
今、これら全てが失われてしまっています。
このたった100年余りで、日本人の身体は力を失い、膝を痛める人が多くなってしまったと言われています。
今日からできる「膝を守る歩き方」の始め方
まずは"意識するだけ"でいい、軽く膝を曲げて立つ
今日からほんの少し、膝を曲げて立つことを意識してみてください。それだけで、あなたの将来の膝を守ることにつながります。
膝が痛くて杖をつかないと歩けない。そんな状態から膝を守る第一歩は、「膝を曲げて立つ、歩く」ことです。
太ももが疲れるのは正しいサイン
ただ、正直に言うと最初は太ももが疲れます。これは、今まで靭帯任せになっていた分の仕事を、筋肉が引き受け始めたサインです。私が指導する中でも、「最初はしんどいけれど、続けるうちに歩くのが楽になった」という声をよくいただきます。
膝と一生付き合っていくために、今日から変えられること
膝は一生使い続ける大切な関節です。
だからこそ、痛みが出てから慌てるのではなく、今日から少しずつ歩き方を見直していくことが、将来の自分への一番の贈り物になると私は感じています。
まずは、立っているときに膝を軽く曲げてみる。
それだけで大丈夫です。あなたの膝の未来を、今日から一緒に守っていきましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
わたしはスノーボードをしていて、今から20年前近くに左膝の前十字靭帯を断裂しました。
再腱手術をして、スポーツをするにあたっては問題なくできますが、半月板も半分ほど損傷して切除しています。
やはり無理したり、体調がよくないと左膝に特徴的な感覚が現れます。
将来、杖をつかないように、今からでも立ち方、歩き方を意識してみてくださいね。
アスリートに向けたからだの使い方に関する書籍を出しました。
難しいことは書いてません。
ぜひお手に取ってみてください。
Kindle Unlimitedでも読めます。
ではまた!
fromさかいん
