童話『ニワトリ 雲に乗る』
ぼくは誰よりも早起きさ
まっ赤なトサカもかっこいい
羽だって大きいと思うよ
でもぼくの羽は翼じゃないんだ
ああ 空を飛んでみたいなぁ
トンビだってカラスだって
ぼくより小さなスズメだって
みんな飛べるんだからね
「じゃあ乗りなよ
空へ連れていってあげるよ」
白い雲が空から下りてきて
ぼくを乗せてくれたんだ
町が小さくなっていく
他の鳥がいつも見ている景色
それはもう素晴らしいものだ
今 ぼくも同じものを見ている
山より高い 遠くの海が見える
水平線の向こうには何があるんだろう
行ってみたいな
「お安い御用さ」と雲は走った
空は楽しかった
空は素晴らしかった
ぼくはたくさんの町や村を見た
川が光るのも見た
いつも見ている夕焼けも
空から見るといつもより大きくて
沈んでいく太陽はまっ赤だった
ぼくのトサカと同じ色
そしてふと思った
なぜ空を飛びたいと思ったんだろう?
「またいつでも連れていってあげるよ」
雲はそう言ってくれたけど
一生分の景色を見てきたんだ
もう十分 お腹いっぱいさ
ぼくは自分で飛べないけど
コケコッコーといい声で鳴ける
他の鳥にはないトサカも持ってる
欲しいものなんて もうないよ
