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#097 ドーナツはなぜ丸いか

なぜドーナツは丸いのか

——欠けていることについて、あなたと考える

ドーナツは、なぜ丸いのか。

そして、なぜ穴が空いているのか。

前に少し笑いながら考えてみたけれど、
今回はもう少しだけ、真面目に向き合ってみたい。

…とはいえ、難しい話をするつもりはない。

ただ、あなたに問いをひとつ預けたいだけだ。


その穴は「欠陥」なのか

ドーナツの真ん中には、何もない。

当たり前のことだけど、よく考えると不思議だ。

商品として売られているのに、
最初から「欠けている」。

もしこれが他のものだったら、どうだろう。

●真ん中が抜けたコイン
●途中が空白の本
●一部が消えた時計

たぶん、多くの人は「不良品」と感じる。

でもドーナツは違う。

あの穴があることで、むしろ完成している。

ここで一つ、立ち止まりたくなる。

欠けていることは、本当に“不完全”なのだろうか。


形は目的に従う、というけれど

ドーナツの穴には、もちろん理由がある。

火の通りを均一にするため。
それは合理であり、機能だ。

でも、その“機能から生まれた形”が、
今では意味を超えて、象徴のように見えてくる。

つまりドーナツは、こう言っているようにも見える。

「欠けているのは、必要だからだ」

この視点に立つと、少し世界の見え方が変わる。


丸いものは、なぜ安心するのか

もうひとつ、考えてみたい。

なぜドーナツは“丸い”のか。

丸という形は、どこにも角がない。
始まりも終わりも曖昧で、境界がやわらかい。

だから人は、丸いものに安心する。

強く主張しない。
どこから触れても拒まれない。

そしてドーナツは、その丸さの中に
あえて“空白”を抱えている。

完全な円ではない。
少しだけ、欠けている。

このわずかな欠落が、
どこか人間的に見えるのかもしれない。


埋めることだけが、正解ではない

少しだけ、あなた自身のことを考えてみてほしい。

何か足りないと感じることはないだろうか。

  • できないこと

  • 持っていないもの

  • 満たされない感覚

それらを見つけるたびに、
人は「埋めなければ」と思う。

もちろん、それは自然なことだ。

でもドーナツは、少し違う立場を取る。

最初から空いている。
そして、それを埋めようとはしない。

それでも成立しているどころか、
むしろその形が愛されている。

ここに、ひとつの別解がある。

欠けていることは、直すべきものではなく、
活かすべき“構造”かもしれない。


穴があるから、バランスが取れる

もしドーナツに穴がなかったらどうなるか。

おそらく、少し重たい。
中心が詰まりすぎて、どこか単調になる。

でも穴があることで、

  • 軽やかさが生まれ

  • 食べやすくなり

  • 印象が柔らぐ

つまり、欠けていることで全体のバランスが取れている。

これは人にも似ている。

完璧に詰め込まれた人よりも、
どこか余白がある人の方が、話しやすい。

入り込む余地があるからだ。


最後に、静かな結論を

ドーナツは丸い。
そして、穴が空いている。

それは単なる調理の工夫かもしれないし、
ただの偶然かもしれない。

でも、そこから読み取れることがあるとすれば——

人は、欠けたままでも完成できる。

いや、もしかすると。

欠けているからこそ、完成に近づくのかもしれない。

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