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【創作大賞感想】いしも ともり作「あなたと逢って恋を知る」



 砂ぼこりが舞う高校のグラウンドに、一陣の風が吹いた。
その時、叶海は十六歳、望海は十五歳。望海の目の前に立ちはだかるのは、棒高跳びのバー。望海は新記録に向かって飛び続ける、その姿を叶海は美術室から見つめていた。

ねぇ、何故に人にはそれぞれ決められた寿命があるの?
ねぇ、どうして初恋は成就しないって、言われるの?誰が決めたの、そんなちっぽけな風化しそうな言い伝え⋯⋯。
 
 きっと、これを読めば、人を思い続ければ「初恋」は叶うと言う伝説が生まれるよ。



ともりんの昨年の「創作大賞」応募作品「歪な渇愛」で、私はともりんに恋をした。凄い書き手だと唸った。
 でもミステリー、ホラーが得意なんだと勝手に思い込んでいた。それが今年は青春、純愛小説を書くと聞いて、すぐさま飛んでいった。うるさいノイズのような「コメント」を一話一話に付けた。応援のつもりだったけど、今思えばかなり創作の邪魔をしていたような気がする(苦笑)
でも、あれは私の依怙贔屓(笑)だから、大目に見てね(苦笑)


ここからは、おもいきりネタバレ(笑)


始まりは、美しい二人が結ばれる美しい「初恋」だった。
 だが、若い二人には乗り越えられない障害が生まれる。生まれつき心臓に欠陥を持つ叶海は、両親の離婚によって遠く離れた地へ引っ越さなければならなくなる。これが、ある程度の歳をとった大人同士の恋なら、色々な手段を試みるだろう。「遠距離恋愛」でもなんとかしようと。
 しかし、叶海は若い上に心臓に持病を抱える自分に引け目を感じていた。自分よりも従兄弟の蒼生の方が、望海を幸せにしてくれるのではないか、と。
 切ない。
愛し合っている者同士が、運命の糸によって引き裂かれたのだから。
 「初恋」は儚くて切なくて脆いから、美しい「思い出」に変わるのかもしれない。
 だが、この「初恋」は二人にとって「一生の恋」だった。違う道を歩みながらも、お互いのことを忘れることは決して出来なかった。ここで、いしも ともりの筆が冴える。
 思い出の場所、思い出のプレゼント⋯⋯そして、熱い一夜が残した⋯⋯
「愛」の力の偉大さに魅せられ、感動し、私は何度涙をこぼしたことだろう。

「どんな姿になってもいいから、私の元へ戻ってきて」
十数年前、ICUの前で震えながら祈っていた自分の姿と望海が重なってしまった。
 だが違う。私なんかよりも望海は、もっともっと強かった。
 お互いの気持が一つだと確信した彼女は、たとえ叶海が自分を認識出来なかったとしても、一緒に居ようと決心する。
昭和に置いてきた古い言葉で例えるなら「献身」だろうか。それが報われたかのように叶海は、望海が望海だと分かるのだ(ここで、私の涙腺は崩壊した 苦笑)「愛の力」の偉大さに心を震わさずにはいられなかった。
 それなのにこの時、既に叶海が生きられるタイムリミットは迫っていた。何十年もの時を経て、やっと結ばれた二人なのに(号泣)
 「恋」も「愛」も時間の長さではない。四十二歳となった望海は、叶海と結婚を果たす。一緒に居られなかった時間を取り戻すかのように、蜜月を過ごすのだ。
 愛していたから、身を引いた叶海。それでも想い続けた望海。
 人の心に消しゴムはかけられなかった。最後の最期に、やっと叶海は自分の欲望のままに動いたのに。
「俺には、のぞみんしかいない」

 この物語は、お涙頂戴の物語ではない。壮大な「愛」の物語だ。
叶海、最期の時まで「アイシテル」と言える人と巡り逢えて幸せだったね。
望海、一生分の「恋」をして、一生分の「愛」を捧げ貰えて、良かったね。
 この数週間、私も望海と叶海と生きられて幸せだったよ。
 どうか多くの人々が、この二人の恋を見届けてくれますように。


勝手にお借りして、
ごめんなさい♡

エンドロールでは、二人に盛大な拍手を。







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