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Turbo Rで童心爆速!大人のMSXリベンジ

3,000円(税抜)の小さな冒険

書店にで見つけた見慣れたロゴ、無意識に手に取った『MSX-BASICでゲームを作ろう 懐かしくて新しいMSXで大人になった今ならわかる』──帯には“本体3,000円+税”とある。お小遣いでなんとか購入できる額とはいえ、迷いに迷う。一度に家に帰る、しかし気になってオンラインで調べると「特典:公式エミュレーター MSXPLAYer ダウンロード権付き」の一行を見つけた瞬間、心の天秤は一気に傾いた。しかも Turbo R モードまで動くというではないか。少年時代には手が届かなかったPanasonicの上位機種が、令和のいまノートPCの中で息を吹き返す──その事実に胸が高鳴る、気づいた時にはポチってたのだ。

書籍情報:
MSX-BASICでゲームを作ろう 懐かしくて新しいMSXで大人になった今ならわかる | 技術評論社

子どもの頃の“挫折”へ、時を超えた再挑戦

あの頃、雑誌に載っていた長い BASIC リストを、がむしゃらに打ち込んでは “Syntax error in line 120” で心を折られた。きっとそういう経験はみんなあったと思う。訂正も分からず、結局気持ちは空回り、デバッグに心は折れる。あの悔しさを抱えたまま大人になった僕は、本書のキャッチコピー「当時は挫折した人に贈る入門書」に吸い寄せられた。そうMSXの借りはMSXで返す以外ないのだ。そういう意味のない理屈が思考を支配し、VS codeを静かに閉じ、MSXエミュレータを起動させる。

驚き――大人になると「すっと」分かる

読み進めてまず驚いたのは、“FOR~NEXT ループ” や “変数” といった概念が、かつてよりもはるかにクリアに頭に入ってくることだ。数学で言えば九九が身体に染みついた後に方程式を学ぶように、社会人生活で養った論理的思考が BASIC のシンプルな文法と見事に噛み合う。そうか、このために僕はIT業界でエンジニアになったんだ、そんな人生目標を突然捏造するくらいの興奮を覚えたのだ。

MSX BASIC は“最短距離で本質に触れる”言語

すこし真面目な話をしよう。JavaScript や Python は確かに万能で便利だ。しかし豊富なライブラリは、ときに「なぜそう動くのか」を隠してしまう。現代のテクノロジーはあまりにもユーザインターフェースが進み使う人間の99%にはもうブラックボックス化しているし、それを誰も気にしていない。その点、プリミティブなMSX BASIC には余計な抽象化レイヤーがない。画面モードを変える SCREEN、座標を指定して文字を置く LOCATE──命令一つひとつがハードウェアとほぼ一対一で結びついているから、アルゴリズムと結果が地続きだ。だからこそ “当たり判定” や “ゲームループ” といったゲーム開発、もっと言えばプログラミングの核を、迷いなく学べる。あと数式的なパズルに対する脳力を刺激してくれる。

いざ、第3章「ブロックくずし」に着手

本書の最初のハイライトが第3章。「テキストベースのブロック崩し」を題材に、ラケットやボールの表示、当たり判定、スコア管理までを段階的に組み立てていく。テキストだけで壁が崩れていく様子は、最新エンジンの派手なエフェクトとは別種の快感だ、そこには自分作ったコードが人間の視覚にどういう理屈で錯覚を起こさせ、動いているように見させているかを今一度体感させてくれる。コードは200行足らず――“短いのに動く” という手応えは、現代の巨大フレームワークでは得難い醍醐味である。業務アプリばかり作っているというこういう感動から縁遠くのなるので心のオアシスと言っても過言ではない。

Turbo R モードで走る“自作ゲーム”の感動

そして本日のハイライト、エミュレーターを Turbo R 設定に切り替え、RUN を叩く。R800 CPU の滑らかなスクロールと高速ループで、自分のブロック崩しが軽やかに動く。実機は幻でも、当時夢見た“速さ”をいまの指先で確かめられる──この瞬間だけで3,000円の価値はプライスレス、昭和の人間なのでいつかは実機に手を出しそうな予感はするが、今はこれで大喜びである。

おわりに――“懐かしさ”より“学び”が勝る一冊

すこしふざけて思いを綴ってきたが、本書は“郷愁”を呼び水にしつつも、プログラミングの核心を再発見させてくれる素晴らしい実践書だ。複雑なツールチェーンに疲れたすべての開発者へ、昔の自分にリベンジしたい大人へ、そしてコンピューターサイエンスの世界へまず第一歩を踏み出したい全ての人へお勧めできる。そして何よりも僕と同じくMSX2止まりだったあなたも一緒に、かつての夢を Turbo R のスピードで塗り替えてみませんか?

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