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【読書レビュー】銀座「四宝堂」文房具店Ⅱ/著:上田健次〜今回も文具店の"優しいお節介"が心に火を灯す〜

本も好きだけど、万年筆を始め文房具大好きな私が愛してやまない作品「銀座四宝堂文房具店Ⅱ」読みました!
今回も馴染みの文房具をテーマに優しい時間が流れていきます。
号泣はしないまでも、心にじんわりくる作品です。

作品の要約(ネタバレなし)

銀座のきらびやかなメインストリートから少し外れた路地裏。
そこにひっそりと佇むのが、文房具店「四宝堂」です。
若き店主・宝田 硯(たからだ けん)が営むこの店には、人生の迷子になった人々が、吸い寄せられるようにやってきます。

本作は、そんな四宝堂を舞台にした連作短編集の第2弾。
単語帳、ハサミ、名刺、栞、色鉛筆。
店主の硯さんが差し出す「文房具」は、ただの道具ではありません。
それは、訪れる客が自分自身の本当の声に気づくための、静かなきっかけとなるのです。

前作で多くの読者を虜にした、あの穏やかで品のある空気感はそのままに、今作では登場人物たちの背景がより深く、鮮やかに描き出されています。

文房具が繋ぐ「記憶」と「再生」の物語

前作『銀座「四宝堂」文房具店』を読み、私はその優しい世界観に深く感銘を受けました。
私自身も万年筆を愛用する文房具好きとして、「書くこと」や「道具を慈しむこと」の大切さを再確認させてくれた一冊だったからです。

今回の第2巻を読み終えて感じたのは、「道具を通じて、人は過去を肯定し、未来への一歩を踏み出せる」という確信でした。

組織の「顔」から「自分自身」へ

第2巻の中で、特に強く惹きつけられたのが「名刺」の章でした。
長年、総務部として組織を陰から支え続けてきた男性が定年退職を迎えました。
高卒の彼は入社したてのころに、お世話になった会長との思い出を語ります。
会長から教わった社会人としての、人間としての大切にしなければいけないイロハ、そして長年勤めた会社を定年退職するの日の寂しさは、多くの社会人にとって身につまされるテーマではないでしょうか。

店主・宝田 硯という「光」の理由

そして、本作の最大のハイライトといえるのが「栞」の章でついに明かされる、硯さんの背景です。

これまで、彼はなぜあんなにも穏やかに、そして絶妙な距離感で客に寄り添えるのか、不思議に思っていました。
本作で彼の過去の一端に触れた時、「そういうことか〜」と深い納得感に包まれました。

硯さんの優しさは、単なる性格ではありません。
彼自身が痛みを知り、喪失を乗り越えようとしてきたからこそ滲み出る、「強さを秘めたお節介」なのです。
強引に問題を解決するのではなく、客が自分で答えを見つけるまで、文房具を介して静かに横に立ち続ける。
その「待ちの姿勢」の理由が分かり、読み終えた時はどこか腑に落ちる感覚と、彼への愛着がより一層強くなりました。

読み終わった後の変化とおすすめしたい人

この本は、読み進めるうちに心が洗濯されていくような、そんな極上の読後感を約束してくれます。

  • 作品の魅力:

    • 癒やしの連作短編: 一つ一つのエピソードが独立しつつも、硯さんの過去や周囲の人々との繋がりが深まっていく構成が見事です。

    • 安心感: 悪い人物が出てこず、静かな夜や心が疲れた時にゆっくりページをめくりたくなります。

    • 銀座の情景: 銀座の路地裏という設定が、物語の品格とマッチしており、実際にその場所を探してみたくなります。

  • こんな人におすすめ:

    • 文房具を愛してやまない方

    • 「最近、少し心がトゲトゲしているな」と感じる方

    • 仕事や人間関係で、一つの区切りを迎えようとしている方

    • 硯さんの「優しいお節介」にそっと背中を押されたい方

銀座「四宝堂」文房具店シリーズは7巻まで出ているようなので、全巻読破したいと思います。


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