9.7万本の動画に使われた曲を、全部解剖しました : Forest Fairiesはなぜ米国でヒットし、収益の5%しか稼がなかったのか
みんなAI使ってる?
AI使いサトシです。
わたしはAIで音楽を作って、世界に配信しているデジタルクリエイターです。
まず、この記事の元になっている数字を3つだけ出します。
・わたしの曲「Forest Fairies」は、TikTokで9万7,000本の動画に使われています
・その動画の合計視聴回数は、7,795万8,000回
・2026年6月のわたしの音楽収益は、約74万7,000円
数字だけ見ると、成功談に見えると思います。
でも、この記事で書きたいのはそこではありません。
わたしがこの3つの数字を並べて、いちばん驚いたのはこれでした。
74万7,000円の83%を稼いでいたのは、9.7万本使われたこの曲ではありませんでした。
Forest Fairiesが稼いだのは、36,676円。全体の約5%です。
わたしは1年近く、稼ぎ頭を取り違えたまま投資を続けていました。
こんなことをしていませんか
わたしがずっとやっていたことを、正直に書きます。
・「良い曲ができた」という手応えだけで、出す曲を決めていた
・再生数や利用本数が多い曲を、そのまま「稼いでいる曲」だと思っていた
・売れなかった曲を「運が悪かった」で片づけて、原因を数字で調べたことがなかった
・とりあえず数を出せば当たると思って、似た曲を作り続けていた
・TikTokで使われれば、そのうちSpotifyの再生も増えるはずだと信じていた
5つとも、全部わたしのことです。
そして5つとも、データを開いたら間違っていました。
わたしが持っているもの
わたしにはひとつだけ、他の人が持っていないものがあります。
9.7万本が「誰に」「どこで」「どんな動画に」使われたのかの、生データです。
配信代理店(SoundOn)の管理画面の奥に「トラックインサイト」という画面があります。
ここには、自分の曲を使ったTikTok投稿者の性別・年齢・言語・地域・フォロワー規模まで、全部出ています。
ヒットを一度も出していないと、この画面には意味のある数字が入りません。
日本語でこのデータを見たことがある人は、ほとんどいないはずです。
この記事では、その画面の中身を全部開きます。
さらに、自分のカタログ145曲を音響解析して、売れた10曲と売れなかった135曲が何で分かれたのかを数値で出します。
この記事を読むと、こうなります
・自分の曲を出す前に「これは使われる音か」を数値で判定できるようになります
・「たくさん使われる曲」と「稼ぐ曲」を、別々に狙い分けられるようになります
・すでに持っているカタログの中から、埋もれている当たり曲を掘り出せるようになります
・作った曲を捨てる基準が持てます。これがいちばん大きいです
なぜわたしがこれを書けるのか
自慢ではなく、根拠として書きます。
・AIで作った楽曲を1,000曲以上、世界のストアに配信しています
・そのうちの1曲が、TikTokで9.7万本の動画に使われました
・2026年6月の音楽収益は約74万7,000円。内訳をストア別・曲別まで確認できる立場にいます
・毎週、自分の全指標を観測して記録しています。この記事の数字はその記録から出しています
そして、わたしは60代です。
英語も話せませんし、音楽の専門教育も受けていません。
だからこそ、感覚ではなく数値でやるしかありませんでした。
その方法をそのまま書きます。
この記事の前提(先に正直に書いておきます)
読む前に、3つだけ約束させてください。
1つ目。これは「こうすれば売れます」という記事ではありません。
わたしが持っているのは、ヒットした曲10曲と、売れなかった曲135曲のデータです。
サンプルは決して多くありません。
分かるのは「売れた曲にはこういう共通点があった」という相関までです。
「この通りにやれば売れる」という因果の証明ではありません。
2つ目。数字はすべて実測値です。
わたしの管理画面から取った生の数値だけを書きます。
盛りません。丸めるときは「約」と書きます。
3つ目。うまくいかなかったことも同じ分量で書きます。
この曲は、ある面では大成功で、ある面では完全な失敗でした。
その両方を書かないと、この記事は嘘になります。
では始めます。
第1章 起きたこと — 9.7万本・7,795万視聴の全体像
まず全体の数字です。
Forest Fairiesは、ピアノとアコースティックギター中心のインスト曲です。
尺は2分弱。歌はありません。
配信から2026年8月1日時点までの累計が、これです。
・TikTokでの動画利用数: 9万7,000本
・その動画の合計視聴回数: 7,795万8,000回
・直近7日間だけでも、新規で9,330本に使われている
・エンゲージメント率 0.06(管理画面上は「良い」判定)
数字の意味を補足します。
「動画利用数」というのは、TikTokの投稿者がこの曲をBGMとして選んだ回数です。
わたしが投稿した動画ではありません。
わたしがまったく知らない人たちが、9万7,000回、この曲を選んだということです。
そして重要なのは、これが「一度バズって終わった」数字ではないことです。
直近の7日間でも9,330本。
1日あたり1,300本ペースで、いまも増え続けています。
わたしがやったプロモーションは、ほぼゼロです。
広告費は1円も使っていません。
では、この9.7万本は誰が投稿したのか。
ここからが、この記事の本題です。

目次(全11章・構成は全部お見せします)
隠すのは中身だけです。何が書いてあるかは全部先に出します。
第1章 起きたこと — 9.7万本・7,795万視聴の全体像(← ここまで無料)
第2章 【解剖1】誰がこの曲を使ったのか
→ 性別・年齢・言語・地域の生データ。使っていたのは「TikTokの主役」だと思っていた層ではありませんでした
第3章 【解剖2】どんな規模のクリエイターが使ったのか
→ この記事でいちばん強い章です。フォロワー数の分布といいねの分布が、まったく違う形をしていました
第4章 【解剖3】何の動画に使われたのか
→ カテゴリー内訳。曲の用途が1行で分かります
第5章 【解剖4】音そのものを解剖する — ヒット10曲 vs 売れなかった135曲
→ 7指標の群間比較。売れる曲と売れない曲を分けていた、たったひとつの最大の差
第6章 【正直な章】7,795万回の視聴は、再生392回にしかならなかった
→ わたしの最大の失敗。なぜ変換が起きないのか、その理由まで書きます
第7章 【解剖5】そして、収益の83%はこの曲ではありませんでした
→ 曲別の収益内訳。「数のヒット」と「単価のヒット」の違い
第8章 【再現手順1】売れる音の窓と、Sunoプロンプト全文
→ 合格基準7項目の数値表。実際に使っているプロンプト2種を全文。各行がどの数値を狙っているかの分解つき
第9章 【再現手順2】この手順で3曲作って、3曲とも配信審査を通した工程
→ 6手順。生成AIのクセを後処理で潰す方法まで具体的に
第10章 【再現手順3】既存カタログから「埋もれた当たり曲」を掘り出す
→ 135曲から4曲を掘り出した手順。新曲を作らずにできます
第11章 明日からやる3ステップ
→ 実行できる形にまとめます
最後に — この記事の限界について
→ サンプル数、相関と因果、この方法が効かない場合を正直に書きます
この記事に含まれるもの
・管理画面の実データ(性別・年齢・言語・地域・フォロワー規模・いいね分布・動画カテゴリー)
・音響解析7指標の数値表(ヒット群と非ヒット群の比較)
・売れる音の合格基準7項目
・Sunoプロンプト2種の全文(数を取る型と、単価を取る型)
・姉妹曲を作って配信審査を通すまでの6手順
・曲別の収益内訳
・この記事をご自身のAIに読み込ませて活用する許可(個人利用に限ります。ご自身の曲の判定や制作にそのまま使ってください)
この記事に含まれないもの(正直な除外リスト)
・音源ファイルそのもの
・解析プログラムのソースコード(何を測るかは全部書いていますが、コードは配布しません)
・SNSの伸ばし方、フォロワーの増やし方
・「必ず売れる」という保証
こんな方には、買わないでください
・曲を1曲も作っていない方。判定する対象がないと、この記事の内容は使えません
・作業を全部だれかに代行してほしい方。この記事は自分で測って自分で判断するための道具です
・「この通りにやれば必ず稼げる」という保証がほしい方。わたしが持っているデータはヒット10曲分です。それ以上のことは言えません
・成功談だけを気持ちよく読みたい方。第6章と第7章は、わたしの失敗の記録です
価格について
980円です。
わたしがこのデータにたどり着くまでに使ったのは、1,000曲以上の制作と、1年以上の試行錯誤でした。
曲を1曲作って、配信して、反応が出るまで待つ。この1周に1〜2か月かかります。
その1周を1回減らせるなら、元は取れる価格にしたつもりです。
なお冒頭に書いたとおり、この解剖から作った姉妹曲3曲の実売データが出たら追記して、そのタイミングで値上げします。
いま買っていただいた方は、追記分も追加料金なしで読めます。
よくある質問
Q. Suno以外の音楽生成AIでも使えますか?
使えます。第8章の合格基準は「出てきた音の数値」に対する基準なので、何で作ったかは問いません。プロンプトの書き方の部分だけSuno向けです。
Q. 音響解析のプログラムがないと判定できませんか?
数値で測るのがいちばん正確ですが、第8章には「どんな楽器を避けるか」「どんな出だしにするか」という言葉での基準も書いています。プログラムなしでも8割は再現できます。
Q. 音楽ではなく、他のジャンルのコンテンツにも応用できますか?
第11章の3ステップの考え方は応用できます。ただし数値そのものはBGM固有のものです。
Q. 60代でも本当にできますか?
わたしが60代です。英語は話せません。楽譜も読めません。やっているのは、数字を並べて判断することだけです。
最後にもう一度
わたしはこの解剖をするまで、自分の稼ぎ頭を取り違えていました。
9.7万本という派手な数字に目を奪われて、収益の83%を稼いでいる曲を1年近くノーマークにしていました。
感覚で作って、感覚で選んで、結果が出ない理由が分からない。
これを何百曲も繰り返してきた人間が、数字を並べて何を見つけたのか。
その全部を、ここから先に書きます。
追伸。
この記事は、うまくいった話とうまくいかなかった話を、同じ分量で書いています。
第6章の「7,795万回が392回にしかならなかった」という話は、正直、書かずに済ませることもできました。
でもそれを書かないと、この記事は嘘になります。
わたしが読みたかったのは、そういう記事のほうでした。
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