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東京マラソンでようかな?やめよかな?

“気づいたら、こちら側にいた”


ランナーは、ちょっとおかしい。

いや。
かなり、おかしい。

もちろん僕も含めてだ。


ランニングを始める前。

僕は走っている人を見ると、
「なんで走ってるんだろう?」

と思っていた。

駅まで走るなら分かる。
遅刻しそうなら分かる。

犬に追われているなら、
もっと分かる。

でも、何もないのに走っている。

しかも笑顔で。

意味が分からなかった。

走る理由なんて、
何かの目的があるからだ。

そう思っていた。

でも気づけば僕も、
何もないのに走っている。

走った。
また走った。
今日も走った。

休みなのに走った。

なんなら休みだから走った。

完全にこちら側である。

今日はそんな、
愛おしくも異常な人たちを、

自虐たっぷりにイジってみたい。

題して、

一般人には理解できない!
ランナーだけの常識ランキング


今回は10位から8位まで。

“第10位「5kmは近所」”


これはもう、
距離感覚の故障である。

一般人にとって5kmは、

「車で行こうかな」
という距離だ。

ランナーにとって5kmは、

「ちょっと行ってくるわ」
である。

ちょっとじゃない。
往復したら10kmだ。

さらに症状が進行すると、

「今日は軽く10km」

などと言い始める。

軽く10km

冷静に考えてほしい。

学校のマラソン大会で、
10km走らされたら、
たぶん生徒会が動く。

ところがランナーは、
10km走って帰宅して、
普通に朝ごはんを食べる。

僕も昔なら、

「10km走った!」だった。

今は、「10kmしか走ってない」
になる。

今なら分かる。

人間は慣れる。

良くも悪くも、
昨日の大冒険が今日の日常になる。

それはランニングだけじゃない。

仕事もそう。
人生もそう。

できなかったことが、
いつの間にか普通になる。


だから成長って、
案外自分では気づかない。

“第9位「朝5時集合が普通」”


これも怖い。

平日の朝。

目覚ましが鳴る。
「あと5分……」

起きられない。

ところが休日。

ランニング仲間から、
「明日5時集合ね」

と連絡が来る。

「了解!」

なぜだ。
仕事より早い。

なんなら、
目覚ましより先に起きる。

4時30分。
まだ暗い。

鳥も若干、
「早くない?」という顔をしている。

一般人が寝返りを打つ。
ランナーは着替える。

一般人が夢を見る。
ランナーはストレッチする。

一般人が布団を抱く。
ランナーはGPSを捕まえる。

そして朝5時。

「おはようございまーす!」

元気すぎる。

朝5時だぞ。

でも、少しだけ分かる。

僕らが早起きしたいんじゃない。

その先にある時間が、
楽しみなのだ。

子どもの頃、
遠足の日だけ早く起きられた。

あれと同じだ。

人間は義務では動けなくても、
楽しみなら勝手に動く。

気づけば僕も、

「起きなきゃ」ではなく、

「走りたいから起きる」

に変わっていた。

“第8位「雨は中止理由にならない」”


昔の僕なら、

カーテンを開ける。

雨が降っている。
「今日は無理だな」

終了。

ところがランナーになると、
会話がおかしくなる。

「雨だけど走る?」
「本番も雨かもしれないし」

出た。

本番理論。

雨でも走る。

寒くても走る。
暑くても走る。
風が吹いても走る。

もはや、
いつ休むんだ。

そしてランナー界には、

「シャワーラン

という言葉まである。
意味眼からない

ディズニーのアトラクション?

響きだけなら、
南国のリゾートである。

実際は、
雨の中を走っているだけだ。

しかも途中から、

「どうせ濡れたし」

という無敵モードに入る。

水たまりを避けなくなる。
靴が濡れる。
靴下も濡れる。
パンツまで濡れる。

もう失うものはない。

ちょっとした勇者である。

“僕らは何を目指しているのだろう”

こうして並べると、

ランナーは、
ずいぶん変な生き物だ。

距離感覚がおかしい。
時間感覚がおかしい。
天候への判断もおかしい。

僕も最初は、
走ることで強くなりたかった。

速くなりたかった。
遠くまで行きたかった。

でも今なら分かる。

本当に欲しかったのは、
数字だけじゃなかった。

昨日より少し進めた。

朝ちゃんと起きられた。

雨でも一歩踏み出せた。

そんな小さな自信を、
拾い集めていたのかもしれない。

大人になると、

「できた!」

って言えることが減ってくる。

だから僕らは走る。

5km走って喜ぶ。

朝5時に集まって笑う。

雨の中を走って、
びしょ濡れで笑う。

一般人から見れば、
ちょっと異常だ。

でも、
こんな異常なら悪くない。

“昨日の異常は、いつか日常になる”

最初は1kmでも苦しい。
朝5時なんて起きられない。
雨の日なんて走りたくない。

それでいい。

人生だって同じだと思う。

いきなり10kmじゃなくていい。
いきなり強くならなくていい。

今日できることを、
少しだけやってみる。

気づけば、

「あんなこと無理」

と言っていた自分が、

普通の顔でやっていたりする。

その変化を、
人は成長と呼ぶのだろう。


だから僕は今日も走る。

たぶん明日も走る。

そしていつの日か、

「今日は軽く20km」

とか言い始めたら、

その時は誰か止めてほしい。

いや。

たぶん止まらない。

ランナーとは、
そういう愛おしい生き物だから。

今日はそんな話。

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