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全国水族館の旅【75】東京のミニ水族館5選

東京の水族館と言えば、池袋のサンシャイン水族館のように「人だらけの都会にあるビルの中の施設」というイメージが強いかもしれません。ですが、郊外に目を向けると、様々な発見に満ちた学習施設がいくつも存在しているとわかります。
今回は「東京都内のミニ水族館」「水族展示のある学術施設」を紹介させていただきます。大都市から少し離れた郊外での自然学習は、地球を感じられる素晴らしい体験となります。


多摩川自然情報館 ~生命豊かな多摩川を探究する環境教育基地~

多くの人々のイメージとは裏腹に、東京都内には生物観察・自然学習スポットがたくさんあります。中でも水棲生物の観察場所の筆頭にあがるのは、山梨県から東京湾へと流れる一級河川・多摩川です。山梨県や神奈川県の流域はもちろん、東京都内の流域においても、多様な生き物たちが暮らしています。

山梨県の笠取山を水源地とする一級河川・多摩川。自然情報館の訪問に際し、調布市の流域で生物観察をしました。
流木や倒木の近くは、絶好の生物観察スポット! 生き物に詳しい方ならご存知のように、水棲生物は身を隠せる物陰や石の隙間などに潜む傾向があります
岸辺の草地でも、多くの生き物たちと出会えます。水辺の近くには、様々な種類の動植物が集まってくるのです。

調布市の多摩川流域にて、さっそく生物観察を開始。水辺はとにかく生き物が集まりやすく、流れの緩やかな場所・倒木や石の隙間・岸辺の草地などを中心に探していれば、高確率で生き物と出会えます。また、岸に繁茂している植物の種類を同定し、当地の植生を分析してみるのも生態系の理解へとつながります。

多摩川を泳ぐ野生のコイ。日本に生息しているコイは、在来のノゴイ(マゴイ)と、ユーラシア大陸からやってきたヤマトゴイの2種類です。
岸から伸びる木の枝の先にて、シオカラトンボ類を発見。周囲に細かく目を凝らせば、川辺ではすぐに生き物たちを見つけられます。
河川でよく見かける水鳥カワウ。水面上から助走をつけ、勢いよく飛び立っています。
川岸の草地でも、たくさん生き物を探しました。この写真の中には、「ある昆虫」が隠れています。

多摩川の生態系への理解をさらに深めるため、筆者は川沿いに位置する自然情報館へと向かいました。
本館は、多摩川の水域環境を中心に、調布市内の自然と生命を学べる環境学習施設! 定期的に一般向けの環境教育イベントも開かれており、まさに調布市民の自然学習基地となっています。

多摩川自然情報館。水域生態系を中心に、調布市内の自然を学べる環境学習施設です。
入口は2階にありますので、階段をあがって入館しましょう。なお、自然情報館は1階の福祉施設の方々が定期的に清掃されています

本館では、展示室・学習室・通路にわたって解説資料や生体展示コーナーが設置されています。超間近で水棲生物を観察できて、水族館ファンの方々も大歓喜すると思います。当地の施設ならではの専門的な多摩川の生態系学習、本当に楽しみです。

本館のメイン展示室。「おさかなコーナー」を中心に、多摩川の水棲生物が飼育展示されています。
隠れ家から頭だけ出したヌマチチブ。水生昆虫や藻類を食べる雑食性の淡水魚です。
同じく頭だけ出したニホンウナギ。夜行性であり、日中は砂の中や岩の隙間に潜んでいることが多いです。
ミナミメダカ。国内のメダカ類は個体数が減少しており、生息環境の保全が重要視されています。
淡水甲殻類モクズガニ。ハサミの付近に柔らかい毛を備えています。

本館の生体展示の種類は多岐にわたります。水域と陸域における無脊椎動物と脊椎動物を、展示室内で観察できます。彼らの美しい姿を拝みつつ、多摩川流域の生態系をイメージしてみましょう。

可愛いニホンアマガエル。多摩川の岸辺を歩くとき、植物体の上を注視すると小動物と出会えるときがあります。
カタツムリ類オナジマイマイ。右巻きで平べったい殻を備えています。
「こんちゅうコーナー」では、我々の身近に棲む昆虫たちが生体展示されています。ゴマダラカミキリは日本の広い範囲に分布しており、私たちにとって最も身近なカミキリムシ類の1種です。

展示室内の標本や解説資料も、たくさんの知識を与えてくれます。1つ1つの資料に多摩川の自然の知が秘められており、生態系の秘密を我々に語りかけています。多摩川には底知れぬ神秘が宿っていると改めて感じます。

スッポンの幼体の液浸標本。次に多摩川に行ったときは、水棲爬虫類をターゲットに生物観察してみたいと思います。
多摩川に生息する淡水カメ類の資料。身近なカメたちは、実は驚異的な生態を有しています。
調布市の小学生の方が作成された解説資料。アユの生活史が、とてもわかりやすく説かれています。

展示室での学習の後は、通路を戻って「学習室」へと移動しましょう。こちらには多数の生物図鑑や環境学習図書がそろっており、専門書から膨大な知識を身につけられます。
さらに、なんと淡水性の水生植物の生体展示も見ることができます。小型容器で育っている水草の形態を観察しながら、河川で繁茂する姿を想像してみてください。

図鑑などの図書資料で生態系を学べる「学習室」。実は、こちらでも生体展示を拝むことができます。
沈水性の水生植物セキショウモ。全国の淡水環境で広く見られる水草です。
水生植物マツモ。浮遊性の水草ですので、根を備えていません。

展示室と学習室だけでなく、通路にも多摩川の生態系の解説資料があります。流域全体の環境を学ぶと、実地での生物観察がさらに充実します。知れば知るほど、河川環境や淡水生態系への関心が爆上がりして、多摩川の生き物に会いたい気持ちが強くなりますね!

調布市の多摩川流域に生息する生き物たちの資料。河原にはホンドタヌキも現れることがあり、遭遇したら遠目で観察してみましょう。
多摩川の調布市の流域で見られる魚たち。生物観察・採集を長く続けていけば、これらの魚たちを目視同定できるようになります。

自然情報館での学習を通して、多摩川をもっともっと探究してみたいという気持ちが強まりました。私たちの愛する多摩川は何ものにも代えがたいほど尊く、生命を育む偉大な環境なのです。
流域の自然がいつまでも美しく在り続けられるように、私たちで多摩川を守っていきましょう!

たくさんの生命を育む偉大な多摩川。昔も今も、大地と海に恵みを運び続けています。

所在地:東京都調布市染地3-8-26

アクセス面:施設内に一般向けの駐車場はなく、公式HPでも公共交通機関の利用が推奨されていますので、JR調布駅より路線バスもしくはタクシーを利用しましょう。どうしても車で来訪しなくてはならない場合、事前に施設にご連絡すれば、車を停めさせていただけます。近隣にコインパーキングもありますが、土日は満車になっている場合がありますのでご注意ください。

外来種の植物オオキンケイギクの乾燥標本。学習を通して、自然情報館は私たちに様々な環境問題を教示してくれます。

水元かわせみの里 ~23区屈指の大水郷公園で生物観察へ繰り出そう!~

「東京23区はビルばかりでまったく自然がない?」と思われがちですが、郊外に目を向ければ野生動植物の生息に好適な環境があるとわかります。葛飾区が有する大型水郷公園ーー水元公園もその例の1つであり、園内にはカワセミをはじめとする多くの美しい生き物たちが棲んでいます。
生物観察に適した好天の日に、筆者は水元公園に出かけてみました。23区内の公園としては珍しく、水元公園には大型駐車場が設けられていますので、東京都内・他県の方々も安心して車でアクセスできます。

広大な水と緑を擁する、葛飾区の水元公園。東京23区では屈指の規模を誇る大型水郷公園です。
水元公園には、野生動植物を保全するための区画があります。天気の良い日に園内を歩いて、生き物たちを探してみましょう。
水元公園は自然観察の場であると同時に、人々の憩いの場でもあります。敷地内にはキャンプ場が設けられていますので、東京23区内で新鮮なキャンプ体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

目的地の「水元かわせみの里」は、水元公園の北西部に位置しています。駐車場からでも少し長めの距離を歩くことになりますので、公園内の自然を観察しながらのんびり目指しましょう。たくさんの生き物たちと出会いたいのであれば、春~初秋の暖かい時期の散策がオススメです(もちろん冬でも探し方によっては多くの生き物を見つけられます)。

水辺でアオサギを発見。彼らは長い首とクチバシを活かし、魚や無脊椎動物を巧みに捕食します。
ウチワヤンマを発見。清らかな水環境があれば、多くのトンボ類が繁殖できるのです。
メダカではなくカダヤシだと思います。水辺に目を向けると、多くの小型魚類を見つけられます。

北へ歩み進めていくと、植生豊かな池に面した学習観察施設「水元かわせみの里」に到着します。ここは水元公園の生物の保全と調査を担う学びの基地であり、私たちに素晴らしい環境教育の機会を提供してくださっています。我々が園内でカワセミを観察できるのは、たくさんの人々の保全活動のおかげなのです。

カワセミ観察ポイントの1つである池。筆者は園内で何度もカワセミを目撃していますので、水元公園に通い続けていれば、必ずカワセミとの遭遇のチャンスがあります。
園内の学術基地の1つ「水元かわせみの里」。水環境に恵まれた水元公園の生態系について、たっぷり学習させていただきます。
施設内の窓からは池の広範囲を眺められます。運を味方につけたなら、きっとカワセミを目撃できると思います!

水郷公園である水元公園には、多種多様な水棲生物が息づいています。よって、かわせみの里の生体展示は水の生き物たちがメインであり、水域環境を感じながら観察学習できます。水元公園を流れる水域の中の世界、本館の展示を見ながらイメージしてみましょう。

施設内の水族展示の一角。水元公園の水域生態系を構成する生物たちが飼育展示されています。
水元公園の水域に棲む中~大型魚類。ゲンゴロウブナは琵琶湖・淀川水系の固有種ですが、移入個体が日本各地に生息しています。
モツゴとタイリクバラナタゴ。カワセミにとって、小型魚類は重要な食糧となります。
底生の淡水魚クロダハゼ。旧名の「トウヨシノボリ」という名前は、魚類マニアにとって馴染み深いのではないでしょうか。
筒から頭を見せるニホンウナギ。成魚は淡水環境でよく見かけますが、彼らは日本から遠く離れた南方の海で産卵します。

本館では、淡水魚の他にも、実に様々な水棲生物たちと対面できます。非常に多くの生命が密接に関り合って、水元公園には豊かな生態系が築かれているのです。動植物に恵みをもらたす環境が東京23区内に存在するーーその事実に改めて感動しました!

雑食性の甲殻類テナガエビ。前から2番目のハサミがとても長いです。
両生類アカハライモリ。驚異的な再生能力を有しており、四肢や尾はもちろん、眼球を失っても完全に再生させることができます
アズマヒキガエル。のんびりしているように見えますが、目の後ろの耳腺に毒液を溜め込んでいるので、天敵に襲われる頻度は少ないです。
淡水カメ類の飼育水槽。ミシシッピアカミミガメ、クサガメ、ニホンイシガメを上方から観察できます。
屋外の水槽では水生植物のマツモが育てられています。浮遊性の水草であり、植物体の隙間は小魚やエビ類にとって絶好の隠れ家となります。

本施設では、水元公園の生き物たちの学術標本も多数展示。解説資料と共に学習することにより、生態学の知識が一気に高まります。水元公園は素晴らしい環境教育のフィールドであると強く思いました。

カワセミの剥製標本。自然界で彼らの姿を見たとき、あまりの美しさに感動以上の情動を感じることでしょう。
カワセミが吐き出したぺリット(骨や体毛など消化できなかったものの塊)。ぺリットを詳しく調べることは、鳥類の食性の解明につながります。
ニホンジネズミの剥製。水元公園の近くを流れる、江戸川の河川敷で発見された個体です。
糞を食べる昆虫クロマルエンマコガネ。彼らが動物の糞を食べて分解することによって、さらに小さな生き物たちに養分が供給されます。

陸と水に多くの生命が暮らす水元公園は、身近な自然と生態系を学べる葛飾区の聖域です。多くの人々が力を合わせて環境保全に取り組み、生き物たちが営々と命をつないでいくーーその奇跡が葛飾区に存在しています!
ぜひとも観察道具を持って、カワセミの舞う水元公園に出かけてみてください。

かわせみの里では、生態系の解説資料も超充実。生き物や環境について不思議に思った点があれば、施設のスタッフさんに質問してみましょう!

所在地:東京都葛飾区水元公園8-3(水元公園内)

アクセス面:レンタカー・自家用車・公共交通機関のどれを選んでも、スムーズにアクセスできます。水元公園には大きな駐車場がありますので、他見の方もぜひ車で来訪していただきたいと思います。ただ、花火大会などのイベント開催日は駐車場が満車になる可能性もありますのでお気をつけください。公共交通機関をご利用の方は、JR金町駅から路線バスやタクシーに乗って向かいましょう。金町駅から水元公園まではそれほど遠い距離ではありませんので、猛暑日や悪天候の日でなければ徒歩で向かうことも十分可能です。

水元公園には、もう1つ生物学習施設があります。またの機会に、本館についての詳しい記事を書きたいと思います。

板橋区立熱帯環境植物館 ~板橋区には最大級の淡水エイがいる?~

ミニ水族館を擁する、板橋区高島平の熱帯環境植物館。生物マニアの間では有名な学術施設であり、麗しい熱帯性の植物だけでなく、多種多様な水棲生物とも出会えます。というわけで、筆者は都営三田線に乗って、熱帯環境植物館の最寄りの高島平駅にやってきました。
高島平は駅前の大型団地の中にスーパーやクリーニング屋やドラッグストアが入ってるうえに、公共施設や病院が団地の近くに集中しています。さらに、自然観察のできる赤塚公園もありますので、個人的には「東京都23区内でもトップクラスに住みよい街」だと思います

都営三田線に乗って、高島平駅に到着。板橋区の北部にあたり、埼玉県の和光市は目と鼻の先です。
駅周辺には団地・スーパー・公共施設・病院が集まっていて、街の利便性はとても高いです。個人的な見解ですが、高島平は東京の中でも抜群に住みよい郊外の街だと思います
生物多様性保全区を有する赤塚公園。緑豊かな高島平では、大型公園で様々な種類の動植物を観察できます。

熱帯環境植物館は高島平駅から徒歩およそ5分ほどの距離であり、アクセスは環境はとても良好です。北口から出て高島平八丁目交差点を通り、川の方へ向かって北方向に歩いていけばすぐに到着します。なお、施設内に駐車場はありませんので、車でお越しの方は周辺の有料駐車場を利用してください。

高島平駅の北口より出て、案内標識を見ながら北方向へ歩いていきます。駅から徒歩5分ほどで、目的地の熱帯環境植物館に到着します。
板橋区立熱帯環境植物館。車で来訪された方は、周辺のコインパーキングを利用してください。

本館の広大な温室空間では、熱帯地域の様々な自然環境が表現されています。潮間帯・低地林・集落地域・高山地帯ーー個々の環境で植生がどのように異なっているのかを見てみましょう。はるか遠くの熱帯の国々の生態系を、全身の感覚で学べることが植物園ならではの強みと言えます。

広大な温室内で育てられている熱帯性の植物たち。南国の森を歩いている気持ちになって、五感を研ぎ澄ませながら植物について深く学びましょう。
立派なルンフソテツ(ナンヨウヨテツ)。ソテツ類は裸子植物の仲間であり、太古の中生代からほとんど形態を変えていません。
食虫植物セファロタス。植物体は袋状の構造になっており、内部の蜜腺で昆虫などの小さな生き物を誘き寄せて捕まえます。

それでは、お待ちかねの水族展示を観覧してまいります。本館のミニ水族館は地下1階に位置しており、東南アジアの水域生態系の生き物たちを観察できます。熱帯の海に舞う生命の姿は、我々に強烈な感動を与えてくれます。

地下1階のミニ水族館。熱帯の水域環境に棲む生き物たちの姿を観察できます。
東南アジアの海をイメージした水槽。サンゴ礁・岩礁地帯は身を隠せる場所が多いので、小型魚類にとって生息しやすい環境なのです。
ベラ類の仲間では最大級の体サイズを誇るメガネモチノウオ。乱獲や環境破壊によって個体数が減少しており、ワシントン条約の保全対象となっています。
褐口クラゲ類のカラージェリーフィッシュ。体内に褐虫藻を有しています。
干潟環境を好むミナミトビハゼ。皮膚呼吸の能力を有しており、水上でも活動することができます。

そして、熱帯地域と言えば淡水環境も魅力的! ミニ水族館には多様な淡水生物が飼育展示されていて、ミステリアスでかっこいい魚類や爬虫類の姿を拝めます。熱帯のジャングルとつながる河川や湖沼には、想像を超える生命の楽園があるのだと実感します。

淡水環境の水族展示。鮮やかな熱帯の淡水魚たちの姿、誠に美しいですね!
「ミルクで子供を育てる魚」ことダンヤモンドクロマイド。親は体からミルク状の粘液を分泌し、稚魚はミルクを食べて育ちます。
スポッテッドナイフフィッシュ。古代から存続する系統の淡水魚であり、ミステリアスな雰囲気を放っています。
大型の淡水カメであるジーベンロックナガクビガメ。「ロッキー」という愛称で呼ばれて親しまれています。
インドシナウォータードラゴンの「グリちゃん」。水辺の森に棲む爬虫類であり、水中を巧みに泳ぎます。

ミニ水族館の奥の扉を開けて大温室に入ると、目の前に大きな淡水生物の飼育水槽が出現! マングローブやニッパヤシが生える河口域をイメージした、「潮間帯植生」エリアの水棲生物の展示です。
この水槽では、世界最大の淡水エイであるヒマンチュラ・チャオプラヤが飼育されています。成体の全長は4 mに達する例もあり、熱帯環境植物館の個体(愛称チャオちゃん)は全長およそ2.7 mに及びます。初めてチャオちゃんに会う方は、彼女の大きさと美しさに圧倒されることでしょう。

温室の「潮間帯植生」の大型水槽。もうすでに巨大なエイの姿が見えています
世界最大の淡水エイであるヒマンチュラ・チャオプラヤ(愛称チャオちゃん)。大きい、とにかく大きいです!
悠然と泳ぐチャオちゃん。さすが世界最大の淡水エイ、何度見ても「でっかい!」と感じてしまいます。

そして、土曜日に公開給餌タイムが実施されており、チャオちゃんをはじめとする多くの飼育生物の食事に立ち会えます。世界最大の淡水エイの食べっぷりは、とても優雅でダイナミック! 生物の摂食行動を観察できる機会はとっても貴重ですので、日程が会えばぜひとも生き物たちの食事をご覧になってください。

土曜日に実施される公開給餌タイム。チャオちゃんが魚の切り身をおいしそうに食べています。エイ類の口の形や摂食様式をじっくりと観察してみましょう
本水槽では、チャオちゃんに負けないほど力強くてかっこいい淡水魚がいっぱい! 大型魚類のパワフルさを味わえるのが大水槽の強みと言えます。

水族展示が超魅力的な熱帯専門の植物園。神秘的な動植物との出会いに、生物マニアなら誰もが大興奮することでしょう。この感動を味わい、熱帯の生態系への理解を深めるために、生き物好きの方々はぜひとも高島平に足を運んでみましょう!

熱帯環境植物館では、陸棲の生き物も数多く飼育展示されています。この子はリクガメ類のビルマムシアシガメ(愛称むっちゃん)です。

所在地:東京都板橋区⾼島平8-29-2

アクセス面:本館に駐車場はありませんので、公共交通機関の利用を推奨します。最寄り駅は都営三田線の高島平駅であり、北口から徒歩5分ほどで熱帯環境植物館に到着します。ただ、他にも板橋区の名所を観光するならレンタカーや自家用車を使う方が断然楽ですので、その場合は付近のコインパーキングに車を停めて熱帯環境植物館へ歩いて向かいましょう。

ヒマンチュラ・チャオプラヤの撮影用パネル。世界最大の淡水エイは、高島平のスターとも呼べますね!

足立区生物園 ~ミニどころではない! 足立区が誇る生命のオアシス~

この度ご紹介する足立区生物園は、水域・陸域問わず数多くの生物を飼育展示する学術施設。昆虫などの無脊椎動物から大型脊椎動物まで多種多様な生き物たちが育てられているうえに、チョウ類や熱帯植物を飼育する大温室までも備わっています。総合的な生物展示を見ると、かなりの規模と超濃密な学習内容を誇っており、まさに「足立区の生命のオアシス」と呼ぶにふさわしいと思います
生き物好きならば、誰もが絶対に行ってみたい施設! さっそく筆者は、生物園を擁する足立区の元渕江公園へ向かいました。

足立区の元渕江公園。大通りの日光街道に近く、車でのアクセスが容易です。
公園の東側に立つ足立区生物園。こちらの施設では、かなり膨大な種類の生き物と出会えます

目の前に生命のオアシスがありますで、筆者は即行で突撃。入館すると、さっそく立派なオオサンショウウオがお迎えしてくれました。エントランスホールの生体展示からすぐに、生物マニアの心は生物園に引き込まれていきます。

入館直後、目の前にオオサンショウウオが出現。現代の地球では、世界最大の両生類です。
本館の展示では、オオサンショウウオの形態が明瞭に観察できます。野生個体は水底にて獲物を待ち伏せているので、自然界の水域で彼らを見つけるのは至難の技です。
エントランスホール奥に位置する、金魚たちの舞う大水槽。写真撮影ポイントとして人気です。

生物展示のメインとなるのは、エントランスからまっすぐ進んですぐの位置にある「観察展示室」。こちらでは、水棲生物を含めて、多種多様な分類群・生息環境の生き物たちと対面できます。徹底的に観察学習して、足立区生物園での学びを最高の時間にしましょう!

多様な生き物が飼育展示されている「観察展示室」。もちろんたくさんの水棲生物たちとも出会えます。
汽水域をイメージした水槽。テッポウウオやヒメツバメウオなど、マングローブの水域環境の代表種が飼育されています。
マナマコにちょっかいを出すカゴカキダイたち。ときに水棲生物は、我々の想像以上に感情豊かな面を見せてくれます。
底生の軟骨魚類ドチザメ。卵ではなく、自分と同じ姿の子供を出産する「胎生」のサメです。
アメリカカブトガニ。本個体は脱皮がうまくいかなかったようで、尾部が曲がっています(現在経過観察中のようです)。

本館には、チョウ類や熱帯植物が育てられている大温室があります。温暖な大空間の奥の水槽には、大型淡水魚のピラルクーやジャウーが来館者を待っています。彼らのように強く麗しい巨大魚がアマゾンの大河を泳ぎ回っていると想像すれば、自然環境のスケールに改めて圧倒されますね。

熱帯植物が育てられている大温室。こちらでは多のチョウ類が放飼されており、生命を間近で感じられます。
大温室を奥まで歩いていくと、熱帯淡水魚の飼育水槽が現れます。こちらでは、アマゾンの大型淡水魚が来館者を待っています。
世界最大の淡水魚ピラルクー。大型の個体は全長3 mクラスに達し、とても頑強な体を誇ります。
1階の大温室出入口で対面できるピラニア・ナッテリー。危険な魚には間違いないですが、実はとても臆病な性格であり、フィクションで描かれる姿は実際の生態とはかけ離れています。
水族展示で学びながら、温室内を舞うチョウ類もしっかり観察しましょう。全ての個体が足立区生物園で生まれた子たちであり、スタッフの方々の高度な飼育技術によって育て上げられたのです。

足立区の自然学習施設に来たのなら、足立区の自然環境についてもっと知りたいと思うのが生物マニアの性。もちろん、足立区生物園は当地の生物探究のプロフェッショナルです。
正面エントランスからして右手の展示室「あだちの生きもの観察室」では、水棲生物を中心に足立区の地域自然に棲む生き物たちが飼育展示されています。いくつもの河川を有し、豊かな水辺環境を擁する足立区には、どのような生命が息づいているのでしょうか。

足立区の水棲生物の展示を中心とする「あだちの生きもの観察室」。室内には、過去と現在の足立区の自然環境についての解説資料も設置されています。
足立区の水域環境に棲む淡水魚たち。足立区には荒川・隅田川・中川などの大きな河川が流れており、多くの水棲生物が生息しています。
かっこいいクロゲンゴロウ。かつては身近で数多く見られた水生昆虫ですが、近年では生息地の減少によって絶滅が危惧されています。
背中で卵を守り育てるコオイムシ。なお、卵を背負っているのはオスであり、まさにイクメンの昆虫です。
バットの中で飼育されているのは、ヘイケボタルの幼虫たち。保全・環境教育のために、たくさんのホタルが生物園で育てられているのです。

さて、本記事の趣旨は「ミニ水族館」ですので、水棲生物を中心にピックアップさせていただきましたが、せっかくですので水族展示以外の区画の生き物たちも紹介させていただきます!
ただ、足立区生物園の飼育生物の種数はとても多く、この記事だけで生物園のスターたちを全て紹介するのは不可能です。本施設から最大限の知識を得るには、ぜひとも直接この素晴らしい「足立区の生命のオアシス」を訪れてみてください。

屋外エリアで出会える有袋類オオカンガルー。実は、オーストラリアのベルモント市と足立区は姉妹都市であり、長い文化交流の歴史を持っています。
可愛いワライカワセミ。オオカンガルーと同じく、オーストラリアに生息しています。
齧歯目の小型哺乳類グンディ。本種の飼育のために、生物園のスタッフさんは勉強と努力を重ねられています。
頭だけ出したメラウケアオジタトカゲ。本館には数多くの爬虫類が飼育展示されていて、魅力的な生体との出会いにマニアの方には大興奮すると思います。

最後に皆様に知っていただきたいのは、「足立区生物園では希少なチョウ類の域外保全(生息地の外での保護・繁殖)が実施されており、絶滅危惧種を救うための飼育研究が行われている」ということです。
人々の環境と生命の大切さを伝える学術教育施設であり、絶滅の危機から生き物を救う希望の基地でもある生物園。地球の尊さを強く理解できる素晴らしい施設ですので、筆者は心から足立区生物園をオススメします!

ガラス越しに見えるチョウ類の飼育室。展示資料で学びながら、プロの飼育スタッフのお仕事を見学できます。
絶滅危惧種のチョウ類の域外保全についての資料。足立区生物園のスタッフの方々は、希少種を救うために、研究と創意工夫を重ねられています

所在地:東京都足立区保木間2-17-1(元渕江公園内)

アクセス面:鉄道路線から少し離れた立地にありますので、車での来館をオススメします。第1駐車場と第2駐車場がありますので、あらかじめ公式ホームページなどで駐車場の位置を確認していただくとスムーズにご来館できると思います。公共交通機関をご利用の方は、綾瀬駅・北千住駅・竹ノ塚駅・六町駅のいずれかの駅から路線バスに乗ってください。ただ、いずれも直通ではなく、最寄りのバス停から少々歩きますので、行き帰りの行程をスムーズにしたい方はレンタカーか自家用車の利用がベストだと思います

足立区生物園の第1駐車場。混雑していたら、第2駐車場の方へ車を停めにいきましょう。

多摩川ふれあい水族館 ~河川の自然観察の合間に水再生センターへ?~

生物観察・環境教育において多摩川はとっておきのフィールドです。生き物好きが多摩川に来たら、真っ先に水棲生物を探しに行くのが自然な流れです。
今回は、昭島市の「くじら運動公園」近くの流域を訪れました。さっそく、多摩川の水棲生物たちを探していきたいと思います。

マニアが多摩川に来てやるべきことは、水棲生物の観察です! 昭島市の河川敷の駐車場に車を停めて、さっそく水域へ向かいました。
くじら運動公園の側の駐車場にある重要な掲示物。多摩川で釣りをするには、遊漁証の購入が必要となります。
生物観察のポイントは、石や流木の隙間。生き物たちは、身を隠せる隙間を好みます

誰でも手軽にできる生物探しは、「流れの緩やかな水域で石や木片を引っくり返してみること」です。多くの生き物は、天敵から身を守るために、岩の割れ目などの隙間を好みます。特に、カゲロウ類・トビケラ類の幼虫といった昆虫が見つかりやすいと思います。

川の石を引っくり返してみると、さっそく昆虫が見つかりました。タニガワカゲロウ類の幼虫です!
円盤上の謎の生物を発見! この子はヒラタドロムシの幼虫です
水面上から目視調査で水生昆虫を発見。ヒメフタオオカゲロウの幼虫だと思います
河川の本流から少し離れ、止水域に目を向けてみましょう。流れの緩やかな水辺では、高確率で水棲生物を観察できます。
いました、ニホンアカガエルのオタマジャクシです! 背中の1対の黒い点が本種の特徴です。

水域で思いきり自然観察したら、くじら運動公園の河川敷を歩いて、多摩川上流水再生センターへ向かいましょう。本施設の無料開放エリア(平日限定)こそ多摩川ふれあい水族館なのです。
なお、この記事で紹介している施設の中では最もミニ水族館であり、観覧後かなり時間的な余裕が生まれると思います。ですので、東京西部の他の学術施設(トップにご紹介した多摩川自然情報館など)とセットで観覧することをオススメします。

多摩川方面から上流水再生センターに入るには、陸橋を通って向かいます。もちろん、道路側の正門から入場することもできます。
多摩川上流水再生センターの外観。建屋に魚のシルエットが描かれており、河川環境の保全への高い意識が伺えます。
1階のエントランスは無料学習エリアとして開放されています。このエリアこそ、今回の目的地「多摩川ふれあい水族館」です。
ふれあい水族館の水槽。上流水再生センターの処理水と清水が用いられており、多摩川に生息する水棲生物たちが各流域環境ごとに飼育されています。

多摩川ふれあい水族館の水槽には、センターの処理水と清水が用いられています。水族展示内容は多摩川の流域環境をイメージした構成となっており、最上流域から下流域までの水棲生物が飼育展示されています。愛しい多摩川に生きる彼らの生命を感じながら、ゆったりと生物観察に浸ってください。

多摩川の最上流域を表現した水槽。麗しいヤマメ・イワナ・ニジマスが飼育されています。
こちらは上流域の水槽。活き活きと泳ぐアユを見ていると、つい「おいしそう」と思ってしまいますね(笑)。
中流域に生息する淡水魚たち。この水槽では複数種の遊泳魚・底生魚を観察できます。
こちらのオープン水槽では、下流域の水棲生物が飼育されています。街の人々にとって身近な、流れの緩やかな水域となります。
青いアメリカザリガニ! 動物質の食糧(カロテン色素を含まない食べ物)を与え続ければ、彼らの体色は青くなります。

改めて申しますが、ミニ水族館ということで、ふれあい水族館での学習後も、他の学術施設の観覧やフィールドでの生物観察の時間を十分捻出できると思います
ぜひとも、本施設で学び得た知識を活かして、今後の自然探究や環境保全を充実させてください。上流水再生センターは、多摩川の水環境と生命を保全するため、今日も水を浄め続けているのです!

上流水再生センター内にある「ふれあいの小道」。こちらでは、センターで浄化された水を使って、ホタル類の生息できる水辺が創出されています。

所在地:東京都昭島市宮沢町3-15-1(多摩川上流水再生センター内)

アクセス面:車の利用を強く推奨します。東京西部の昭島市に位置する施設であり、都心から向かうならば高速道路の中央自動車道を通りましょう。そして多摩川上流水再生センターへ向かって下道を走って行き、くじら運動公園の近くの有料駐車場に停めるのがベストだと思います。公共交通機関をご利用の場合、JRの立川駅から路線バスに乗って「宮沢」で降りてください。本館の観覧後は、野外での自然観察や他の自然学習施設に向かう時間が十分とれると思いますので、ぜひ機動力に優れる車を活用しましょう。施設学習のみならず、東京西部の自然探究には車があると圧倒的に有利ですので、改めてレンタカーや自家用車の利用をオススメします

くじら運動公園の近くには、アキシマクジラの化石発掘地があります。多摩川から太古のクジラの骨が出土したという事実に、壮大なロマンを感じますね!

東京都内での生命との出会い、いかがでしたでしょうか?
大自然の中で本格的な自然観察を楽しみたい方は他県に向かわれると思いますが、東京にも生物と自然を学べる場所はたくさんあるのです。他の地方の超壮大な海洋や大森林に飛び込むとき、必ず学術施設での学びが活きてきます。

都内の自然環境を守るため、他の地域の絶滅危惧種の生物を域外保全するため、生命と環境の尊さを教育指導するため、多くの生物研究・生物飼育のプロの方々が活躍されています。全ての自然学習は、地球全体の環境とつながっていると改めて実感しました。

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