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特許翻訳って、実際どんな仕事?翻訳者の「ある1日」を見せます

「翻訳者って、家で英語を訳しているんですよね?」

だいたい、そう思われています。まぁそんな感じなので、半分は当たっていて、半分はちょっと違います。
最初に、大事なことを一つ。
特許翻訳は、1日では終わりません。 短いものは別ですが、ふつうは1件を何日もかけて訳していきます。だから今日お見せするのは、「きれいに完結する1日」ではなく、長い案件の途中にある、ある1日です。

朝5時すぎ、昨日の続きから

私は朝型で、5時すぎには机に向かっています。
といっても、特別な儀式はありません。昨日の続きを、淡々と再開する。それだけです。
(最近は、こうしてAIをいじったり、翻訳以外のことをしている時間も増えてきましたが……その話はまた別の記事で。)
特許翻訳は、派手さのない仕事です。私は他業種の方に自己紹介するときに、常に「キラキラな世界の翻訳ではありません」と伝えますww
長い明細書を、意味を1ミリも変えずに別の言語へ組み直していく。訳す前に「調べる」時間が長く、専門用語ひとつ確定させるのにも手間をかけます。昔から「1日2,500~3000ワードが平均」とよく言われる世界で、それくらい、1ワードずつ神経を使います。
特に気を抜けないのが、請求項(クレーム)の一語一語と、同じ用語を案件の最初から最後までブレさせないこと。ここを外すと、特許では大きな問題になりかねません。

日中、ふいに届く「打診メール」

黙々と訳していると、日中、取引先から新しい案件の打診メールが届きます。
(朝イチに待っているわけではありません。たいてい、取引先の営業時間に入ってから来ます。)
ここで一番、頭と時間を使います。
すでに抱えている案件の合間に、この新しい案件をどう挿し込むか。当たり前ですが納期は絶対に動かせない。でも、できれば引き受けたい。このスケジュールのパズルが、毎回いちばん神経を使うところです。
——実はこれがあまりに大変で、スケジュールを試算する道具を自分で作りました。 今抱えている案件に新しい案件を乗せたとき、無理なく回るのか回らないのかをひと目で見られるように。
そして、新しい案件の納期が、今の案件のちょうど後ろに収まるとき。
私は、ちょっとホッとします。 仕事が、途切れずにつながっているということだから。
たぶんこれが、個人事業主の根っこにある感覚です。
「次の仕事は、来るだろうか」——特許翻訳を始めてからずっと消えないこの不安が、打診メール1通ですっと和らぐ。AIが広がってきてからは、その気持ちは前より強くなったかもしれません。

たまに来る、ちょっと怖いもの

打診とは別に、取引先から「修正の戻し」が来ることが、ごくたまにあります。
頻繁ではありません。でも、来たときは少し身構えます。
戻ってきた内容しだいで、どれくらい時間がかかるかが読めないからです。場合によっては、他の案件のスケジュールまで少し組み直すことになる。だから受信箱にそれが届くと、一瞬「ギョッ」となります(笑)。

納品は順次行います

特許翻訳に、ドラマチックな「納品ボタン、ドンッ!」みたいな瞬間は、あまりありません。
仕上がったものから順次、納品していくので、1日の途中でそっと納品することが多いです。前の晩に訳したぶんを、朝もう一度だけ見直してから送る、ということもあります。
そして1日の終わりも、特別な区切りはなく、「進んだところまで」
明日もまた、5時すぎに机に向かって、続きをやる。その繰り返しです。


おわりに:派手さはないけれど

こうして書き出してみると、特許翻訳の1日には、ドラマも派手さもありません。
昨日の続きを淡々と訳して、ときどき届く打診メールにホッとして、たまの「修正の戻し」にドキッとする。その繰り返しです。
それでも、その淡々の裏側には、いつも「次の仕事は来るだろうか」という、個人事業主ならではの小さな緊張感があります。だからこそ、打診が途切れずに続いてくれることが、地味だけど、いちばんうれしい。
そして私は、その不安を少しでも軽くするために、スケジュールの道具を自分で作りました。
このnoteでは、そういう「翻訳の『まわり』」の話も、これからたくさん書いていきます。
次回もよかったら読んでください。フォローしてもらえると喜びます。

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