見出し画像

【バカSF】ロッカーの謎│ショートショート

俺は、“ロッカーの管理係”をしている。

某巨大企業のロッカールームを専門に管理しているのだ。
 

32階建ての自社ビルの各フロアにロッカールームは1つずつ、そして、各ロッカールームには、200個のロッカーが並んでいる。

ロッカーは個人に割り振られたものではなく、出勤した時に空いているロッカーをランダムに使うことになっている。

社内に余計な物を持ち込んだり、不正を働いたりできなくするための対策として導入されたシステムだ。
 

そのロッカーを終業後に全てチェックするのが、俺の1日の最後の仕事だ。

もちろん、こんな膨大な数のロッカーを1人では捌ききれないので他にも管理係はいるが、

その人数が多すぎても管理しきれないので、最少の人数でやっている。
 

地味に大変な作業だが、慣れれば大したことではない。

各ロッカーに鍵が刺さった状態に戻されているか、中に置き忘れた荷物はないか……

ひたすら、扉を開けて閉めての繰り返しだ。
 

今日もいつものように、開けて閉めて...を繰り返していると、24階で異常を発見した。

床に鍵が落ちていたので、どのロッカーの鍵か探したが、全部のロッカーに鍵が刺さっている。

鍵の消えかけた文字をよく見ると、おそらく『127番』と書かれている。

だが、127番のロッカーはちゃんと、鍵が刺さっている。
 

おかしい……

ふと、俯いた時に見つけた。

ロッカーが少しズレた跡を。
 

しまった...!そうか!

犯人は、『時空制御装置』を使ってロッカーを入れ替えたんだ!

この127番のロッカーは偽物、もしくは、別フロアのものだ!
 

管理係全員に連絡を取り、上層部にも報告した。

企業秘密が持ち出されたりしたら、大事だ!
 

大掛かりな調査の末、やはりロッカーは別フロアのものと入れ替わっていた。

だが、もう一方のロッカーにも特に何も手掛かりは残っておらず、犯人は企業秘密を持って、まんまと逃げおおせたのだろう。
 

警察上部の特別捜査班も巻き込んでの大事になったが、事件は呆気なく幕を閉じた。

“犯人”は、ただ仕事が嫌になって逃げただけだった。
 

自分が働くフロアから出入りするとログが残るので、ロッカーに隠れて別フロアに移動し、人の流れに紛れて出ていったらしかった。

使われた『時空制御装置』は、こいつが研究開発中のものだった。
 

帰りたかっただけなら、そう言えばいいだけなのに。

……だから、頭の良い奴の考えることは、よく分からない。

 
 
#バカSF #SF #ショートショート #掌編小説 #短編 #小説 #SF小説 #ミステリー #SFミステリー #企業 #会社 #ロッカー #時空制御装置 #企業秘密 #勘違い #どんでん返し #オチ #ユーモア #コメディ #ブラックユーモア #くだらない #発想 #創作

いいなと思ったら応援しよう!

saz よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!