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ケルト文化に由来するハロウィーンとワルプルギスの夜 (2026年改稿)

 ケルト民族は、1年を寒期と暖期に分けてその境の日を祝いました。ケルトとは、ゲール語を話し、紀元前はヨーロッパ大陸の北西部(現在のフランス・ドイツ・スペインなどの地域)に居住し、その後アイルランドにも移住した民族を指します。

 ケルトの祝祭のひとつは、春の訪れを祝うワルプルギスの夜祭 (4月30日)で、もうひとつが、秋の収穫を祝うハロウィーン祭 (10月31日)です。これらは、対を成している行事で、そこには根源的な共通点があります。

 その二つの祭日は、どちらも、この世界が死者の住む異界とつながる日とされていて、その夜は、こちらの世界にやってくる死者を偲びました。しかし、異界からは善き故人だけでなく悪しき何かもやってくるのです。

 そこで人々は、精霊・魔法使い・モンスターに仮装し、あるいは、たき火をして踊ることで、彼らに敵意が無いことを示しました。そして、彼らを温かく迎え入れることで、邪悪から身を守ったのでした。

 二千年以上も前から行われていたケルトのお祭りは、現在では、様々に形を変えて世界に広まっています。

近代・現代のファンタジーとの接続

 異界の扉がゆるんで妖精や怪異が現れるという設定は、現代のファンタジー作品でも頻繁に現れます。

 ハロウィーンもワルプルギスの夜も、民俗行事であるだけでなく、幻想文学やゲームやアニメでも繰り返し引用されます。

 文学では、ゲーテの『ファウスト 第一部』*が「ワルプルギスの夜」を魔女たちの集会として扱った最初の作品と言えます。

 アニメでは『魔法少女まどか☆マギカ』**が「ワルプルギスの夜」という名の魔女を最大級の脅威として描いています。

民俗学的考察

 ハロウィーンの背景にある古いケルトの祭りはサウィンです。10月31日から11月1日にかけて行われ、寒期の始まりを告げる節目でした。

 これに対して、ワルプルギスの夜に相当する祭りがベルテインです。4月30日から5月1日にかけて、暖期の始まりを祝いました。

 つまり、古代ケルトでは、サウィンとベルテインが、寒期と暖期の切り替えの境をなす対の祭りです。

 ここで少し整理が必要です。ハロウィーンも、ワルプルギスの夜も、古代ケルトの祭名ではありません。では、この名前の由来は何でしょう。

 ハロウィーンは、キリスト教の暦の中で定着した名称「万聖節の前夜 (All Hallows’ Eve)」から変化した名称です。「夜」は名前のなかに組み込まれています。

 ワルプルギスは、ドイツでキリスト教の布教をした修道女、聖ワルプルギス (Saint Walpurgis) に由来します。

 これらは、キリスト教の伝搬とともに、元の祭りを禁止せず、教義に合う宗教的な儀式として存続させるため、名前を上書きして現在に到ったものと考えられています。

おわりに

 ケルト暦では、5月1日が暖季の始まり、11月1日が新年の元旦になります。


*ゲーテ『ファウスト〔一〕』(1808年)版元:テュービンゲン、訳本:新潮文庫・集英社文庫。
**『魔法少女まどか☆マギカ』(2011年)原作:『Magica Quartet』、監督:新房昭之、脚本:虚淵玄(ニトロプラス)、キャラクター原案:蒼樹うめ、キャラクターデザイン:岸田隆宏、シリーズディレクター:宮本幸裕、音楽:梶浦由記、異空間設計:劇団イヌカレー、アニメーション制作:シャフト。


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