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『Threads of Beauty 1995–2025––時をまとい、風をまとう。』写真家・高木由利子×グラフィックデザイナー・長嶋りかこ スペシャル対談<前編>

こんにちは、青幻舎・広報室です。

写真家・高木由利子が世界13カ国、30年にわたる旅で出会い撮影した「“日常的”に民族衣装を着ている人たち」を収めた最新写真集『Threads of Beauty 1995–2025―時をまとい、風をまとう。』。今年3月に開催されたBunkamura ザ・ミュージアムでの展覧会も連日大盛況となり、多くの人々に鮮烈な印象を残しました。

青幻舎・広報室では印刷会社での写真集の印刷立ち会いに同行し、著者の高木さんと、本書および展覧会のグラフィックデザインを手掛けられた長嶋りかこさん(village®)とのスペシャル対談を実施。弊社の公式YouTubeチャンネルでも公開されたばかりのお二人の貴重な対談の様子を、こちらのnoteでもお届けいたします!

(※本記事は前編です。後編はこちら。)


写真家・高木由利子×グラフィックデザイナー・長嶋りかこ スペシャル対談<前編>



–––まずはお二人の出会いからうかがえますか。

高木由利子(以下、高木):イッセイの仕事ですかね。

長嶋りかこ(以下、長嶋):最初はイッセイ ミヤケ HaaTさんのお仕事で、私がデザイナーとして、高木さんが写真家として入られていました。お仕事自体はその時が初めましてだったんですが、それより前に一度お会いしたことがありましたね。

高木:チラッとね。不思議な出会いで。

長嶋:ハプニング的に。

高木 :そう。そこから少し経って、私が名刺をリニューアルしようと思った時に、りかこさんに依頼したんです。出会った時は、りかこさんのことをどんな人なのかそんなに知らなかったのだけど、「この人だ!」と思ってお願いをしました。

長嶋:そうでしたね。すごく嬉しかったです。

高木:強い絆が必要というか。名刺はその人の顔になるから、とても重要ですし。名刺は今でもすごく褒められます。

長嶋:わあ、嬉しい。

高木:誰にお渡ししても「はっ」ていう反応がある。なにか際立ってるみたいで。

長嶋:デザイナーとしても、大事な人から名刺を頼まれるというのはけっこう嬉しくて。今おっしゃっていたように、名刺はその人の顔になりますから、信用してくれているのだなと感じますし。

高木:重要よね。

長嶋:そう、重要。だからこそ信頼して依頼してくれたのは嬉しかったです。

–––それがあって、今回の《Threads of Beauty》のシリーズをまとめようと思ったタイミングで長嶋さんに依頼を?

高木:その前にGYRE GALLERYでの展示がありました。

長嶋:高木さんの《chaoscosmos》というシリーズをGYRE GALLERYで展示するお話があって。他にも撮り溜めておられるシリーズがあり、何回かに分けて展示を行う予定で、そのグラフィックデザインをお願いしたいとお話をいただきました。そのあとに、ちょうど今コアなシリーズをやっているんだと、《Threads of Beauty》を見せてくれた覚えがあります。

高木:いろいろあって実現するのにも時間がかかったんですけど、結果としては作品も熟成されてきて、一番いいタイミングが今だったと思っています。りかこさんにデザインをお願いすることもできましたし、展覧会と出版が同時であることが一番理想的だなとなりました。

–––ブックデザインは、どういうところから組み立てていかれたんでしょうか。

長嶋:やっぱりこの高木さんの紙焼きの存在感がもつプリミティブさが写真のテーマと相まっていてポイントですかね。デジタル作品もあるけど、ほとんどを紙焼きで保管されていたんです。

高木:90%がオリジナルプリントで、箱に入れて、彼女にお見せしたのね。箱の表紙には写真を貼っていて、そこに手書きでシリーズタイトルを入れていました。その感じをりかこさんがすごく気に入ってくれて。「これをそのままデザインにしたらどうか」と提案されました。箱を開けて、1枚ずつオリジナルプリントを取り出すようなデザインにしたいと。

長嶋:写真によってサイズを大きくしたり小さくしたりせずに、今回は全部同じ大きさで、まるでオリジナルの紙焼きを見てるかのような写真集を目指しました。私が紙焼きを手にとり一枚一枚見た時の体験がとてもよかったので、その体験をそのまま届けた方がこの写真のテーマ的にもいいんじゃないかなっていう提案をさせてもらいました。

高木:その提案はすごく気に入っていて。私の下手くそな手書きも気に入ってくれて、展覧会ポスターから何からメインビジュアルに手書きを使っています。

–––これまでの本作りの経験で言うと、比較的スムーズに進んだケースといえるのでしょうか。

長嶋:そうだと思います。最初に高木さんが作品を見せてくれた時、すでにこの写真集の表紙のように、高木さんご自身で写真を切り貼りされていて、手書きでタイトルが書かれた状態でした。単純にご自宅での保存と整理のためにそうされていたんだと思うんですけど、その状態がとてもよかった。この状態をこのまま読者にも体験してもらいたいなと思いました。写真の被写体自体が持つ土っぽさと、この写真の手触りと、この文字の生っぽさ。それが本の装丁でも伝わるといいなと思いました。

高木:色もちょっとアーシーな感じで。《Threads of Beauty》は少数民族の人たちとの出会いの写真なので、大地に裸足で立って、たくましく生きてる人たちのイメージが伝わるし。色の選び方もすごく気に入っています。

長嶋:今回は展覧会と出版がタイミングが一緒だということもあるので、建築家の田根剛さんが会場構成で使われている色を使っていて。

高木:泥染めのイメージ。キーカラーが泥染めですね。

長嶋:泥染の色は赤茶色でした。写真の被写体とも相性がいい色だと思い、書籍でも使用しました。

高木:大地の色です。

長嶋:併せて展覧会のチラシやポスターも色を揃えたので、展覧会の体験、街中で見るポスターの体験(渋谷の雑踏の中にも異なる被写体の写真を使用したポスターを点在させました)、本の体験と、それぞれ異なる場所で出会う写真の体験が立体的につながるといいなと。

–––写真集ってシンプルな構造になりがちだと思うんですが、レイアウトを見ると、別丁の感じにも長嶋さんらしさがあって、すごくかっこいいなと思いました。具体的にはどんなふうに写真集へ落とし込んでいったのでしょうか。

長嶋:ページの表(オモテ)面にだけ写真が刷られていて、裏面には何も刷られていない、まんま写真がそのまま綴じられている構造を提案していたんです。ただ、何せ写真がすごく多いので、価格に影響が出てきてしまう。なので、どうしたら表裏に印刷しながら紙焼きを見ている感覚になれるのかを考え、些細なことですが例えば写真のページにはノンブルを入れ写真がないページには入れないことで感覚的に表裏の関係を感じさせるようにしました。

また、紙焼きの束の中に高木さんのメモがふと出てくるかのような、ラフで小さな紙に高木さんのメッセージを印刷することで、まんま感を少しでも醸せないかと工夫したり。

–––それがすごく効いてますよね。

高木:すごくシンプルなんだけど、そういった彼女の思いが一味、二味と違う感情を引き出していて。それが《Threads of Beauty》のテーマにも合っています。サラッとしたプロジェクトではないので、そういうちょっとした引っかかりがあるのも重要。300ページをずっと見ていく単調な動きの中で、必ずサプライズ的な要素が入っている。「おっ、また来たよ」と。だから、今度は何が現れるのか楽しみになっちゃう。どこに文章が入っているのか探してみたりして。だから、そういう仕掛けもすごくいいなと思います。

後編へ続く

(聞き手:広報室 S / 文:広報室 O)


【プロフィール】

高木由利子(たかぎ・ゆりこ)

写真家。東京生まれ。武蔵野美術大学にてグラフィックデザイン、イギリスのTrent Polytechnicにてファッションデザインを学んだ後、写真家として独自の視点から衣服や人体を通して「人の存在」を撮り続ける。近年は自然現象の不可思議にも深い興味を持ち、「chaoscosmos」というプロジェクトの映像を含め新たなアプローチに挑戦し続けている。パブリックコレクション:東京国立近代美術館、原美術館、他
◎公式サイト:https://yurikotakagi.com/
◎公式Instagram:https://www.instagram.com/yuriko_takagi_photo/

長嶋りかこ(ながしま・りかこ)

グラフィックデザイナー
1980年生まれ。2003年武蔵野美術大学卒、2014年village®設立。ビジュアルアイデンティティデザイン、サイン計画、ブックデザインなど視覚言語を基軸としながら、芸術や文化的活動・環境活動・福祉活動等の領域において、対象のコンセプトや思想の仲介となり、色と形に翻訳する。
◎公式サイト:https://www.rikako-nagashima.com/
◎公式Instagram:https://www.instagram.com/rikako.nagashima/


【書籍紹介】

■書籍情報

『Threads of Beauty 1995–2025
 ―時をまとい、風をまとう。』

定価:12,100円(本体11,000円)
著者:高木由利子
グラフィックデザイン:長嶋りかこ
言語:日英併記
判型:A4 / 総頁:362頁 / 製本:並製
ISBN:978-4-86152-992-4 C0072

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