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やんちゃな子の目に涙

Rくんは3歳の男の子。やんちゃな子でした。
2つ上のクラスにお兄さんがいるんですが、お兄さんを引き連れて遊んだりするほどです。

Rくんの家は母子家庭。
男のボクには飛び掛かってくるように遊ぶ元気な子です。

ある日の午後の自由遊びの時間。
いつものようにやんちゃに遊んでいました。

それがその日はボクの膝の上にやってきたんです。

ボクは近くにあったレゴブロックの鴨の人形を持って、人形劇のように
「おい、Rくん、どうしたんだい?一緒に遊ぼうよ!」
と声色を使って言うと、
「うん」と言って、もう一羽の鴨の人形を持って遊び始めました。

ところが人形をドンドンとぶつけてくるので、
「Rくん、痛いよ。やめてやめて!」と言うと、
「痛かった?」と聞くので、
「痛かったよ~」と言ったら、
「ごめんね、鴨さん」と言ったんです。

なんだか、いつものやんちゃなRくんとは別人のような、優しいやり取りになりました。


翌日も膝の上にやってきました。
この日も人形を使って遊びました。
単なる気まぐれかなと思っていましたが、いつものやんちゃなRくんとは違う、別の世界が広がったようでした。

またその翌日も同じような遊びをしました。
いつものやんちゃなRくんの姿を思うと「どうしちゃったの?」と言う感じです。

そして、17時。
ボクの帰る時間です。

すると、「先生、帰っちゃうの?」と聞くんです。
「うん、時間だからね」と言うと、
その目からぽろぽろと涙を流すではありませんか。

えっ? いつものやんちゃなRくんが涙を流すなんて。
そして、「帰らないで」と言うのです。

ほかの先生に泣かせたと思われるのは嫌だなとも思いました。
でも、ぽろぽろ、ぽろぽろ、涙を流すんです。
その涙はとても綺麗でキラキラしていました。

「わかった。もう少しいるよ。大丈夫。」
と抱きしめました。
Rくんも安心したようです。

しばらくするとRくんが、
「先生、さようなら、また明日ね」
と言いました。
「うん、明日ね!明日も一緒に遊ぼうね!」
「うん。」

Rくんの気持ちを思うと切なくて、後ろ髪惹かれる思いでしたが、その日はそれで帰りました。

次の日の夕方の自由時間もRくんはやってきました。
また人形で遊んで、この日はそれ以外のブロックでも遊びました。


やんちゃなRくんだけが、Rくんではなかった。
そんなRくんの別な一面を見た数日間でした。

今でも、あの日のRくんの涙が心に残っています。


執筆:あこぎひと