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Ahrefs海外イベントで得た最前線のSEO情報をレポート

SEOツールで有名なAhrefsが、シンガポールでカンファレンス「Ahrefs Evolve Mini」を開催しました。

私自身、Ahrefsを愛用している一人として現地へ飛び、参加させていただきました。

2025年5月15日、シンガポールのGuoco Midtown Network Hubで開催されたこのイベントは、約200名のトップマーケティング担当者が集う熱量の高いものでした。

トップマーケターが集う会場は熱を帯びていた

一日という凝縮された時間でしたが、世界のSEOの最新動向、特に海外での考え方やAIとの向き合い方について、非常に多くの学びを得ることができたと感じています。

この記事では、私がカンファレンスで得た情報と、そこから考えたことをレポートとしてお話ししたいと思います。

会場の注目は「AI × SEO」

会場で最も強く感じたのは、やはり「AI × SEO」に対する関心の高さでした。これは日本国内でも大きな話題ですが、海外でも状況は同じようです。

AIとSEOに関する議題も多かった

「AIはSEOにどう活用できるのか?」「AIによって検索流入は奪われてしまうのか?」会場では、AIに対して期待と不安、そしてチャンスを見出そうとする様々な視線が交錯していました。

この状況は、日本も海外も変わらないという印象を受けました。

AIはSEOを「殺す」のではなく「変える」

カンファレンスの冒頭、AhrefsのCMOであるTim Soulo氏の講演がありました。

その中で、私の心に最も強く残ったのは、「AIはSEOを殺している(Killing)のではなく、変えている(Changing)んだ」という言葉です。

AIはSEOを変えるものとティム・ソウロ氏は捉えている

AIの登場で、「AIOに流入を取られる」「コンテンツはAIが作るものになる」といったSEOの終わりを悲観する声もあります。

しかし、Tim氏はこれを否定し、AIはSEOの「変革」であると強調しました。

AIOの出現率は?

Tim氏は、Ahrefsが独自に行った調査データをいくつか示してくれました。

まず、AIOがどれくらい表示されているのか。
なんと1億5000万キーワードを調査した結果、AIOが表示されたのは全体の11%だったそうです。

つまり、88%のキーワードでは、まだ従来の検索結果が表示されているということです。

約9割の検索でAIOは表示されない

さらに、表示された11%のうち、実に98%がインフォメーショナルクエリ(情報収集目的)でした。

このデータから、AIOは現時点では、主に情報収集段階で活用されている傾向が強いようです。

AIOの表示はインフォメーショナルクエリに集中している

AI検索エンジンからの流入は?

ChatGPT検索やPerplexityといった新しいAI検索エンジンからの流入についても調査結果が示されました。

Ahrefs社自身のデータによると、これらのAIチャットボット経由の流入は、全体の0.1%に満たないそうです。

まだまだGoogle検索からの流入が圧倒的に多いようです。

AIチャットボット経由の流入は微々たる状況にある

コンテンツ制作の実態

AIによるコンテンツ制作の実態も興味深いものでした。

Ahrefsが90万ページ以上を調査したところ、71%が「人間とAIの共同作業」で作られていました。

コンテンツ制作、7割が人とAIの共同作業

完全にAIのみで作られたコンテンツは2.5%、人間のみは25%だったそうです。

人間との共同作業が主流であるという点が重要だと感じました。

LLMO/GEOの考え方

LLM上で自社ブランドが言及されることを目指すLLMO/GEOについて、Tim氏は「流入(トラフィック)ではなく、メンション(言及)されることに主体を置くべきだ」と語りました。

LLMに言及されることが大切となる

Ahrefsも今後、ChatGPTなどの調査機能を追加予定とのことで、この分野の動向にはますます注目が必要だと感じています。

ChatGPTやPerplexityの解析も今後は出来るようになる見通し

パネルディスカッション

ディスカッションのタイトルは「Navigating SEO in the Era of AI and Reduced Clicks(AIとクリック減時代のSEO航海術)」です。

「AIとクリック減時代のSEO航海術」をテーマに議論

まさに私たちが今直面している核心的なテーマでした。

モデレーターはTim Soulo氏が務め、Sebastien Edgar氏 (SEOSeb, LLC)、YG Yichen Guo氏 (CapGo.ai CEO)、Glenn Gabriel Bona氏 (TripleDart) が登壇しました。

パネルディスカッションの内容からは多くの実践的なヒントが得られました。

流入減への懸念とGoogleの地位

やはり海外でも、AI Overviewsによる流入減への懸念は強く、実際にSaaS企業やECサイトで流入が落ちているケースもあるとのこと。

これは万国共通の悩みだと再認識しました。

しかし、パネリストたちの見解は、基調講演のティム氏と同様に「Googleの検索エンジンとしての地位は揺るがないだろう」というものでした。

検索回数の桁が違うことからも、依然としてGoogleが圧倒的であると述べています。

Googleの検索ボリュームは1日140億回ある

それよりも「AIが統合されたGoogleにどう向き合うか」が重要であり、特にAI Overviewsの登場を機にミドルからボトムファネルへの対応に影響してくるのではないか、という点が議論されていました。

AI時代のコンテンツ戦略

このパネルで特に議論が深まったのが、AI時代のコンテンツ戦略です。

AIOは情報系クエリが中心である、というデータに基づき、「成約に近いミドル・ボトムファネルのコンテンツを強化することが得策だ」という点では意見が一致していました。

ミドル・ボトムファネルのコンテンツに注力すべき

さらに踏み込んだ戦略として「棲み分け」が具体的に語られました。

まず、情報収集段階(トップファネル)のユーザーが検索するようなクエリでは、AIOの表示が増えていくでしょう。

そうなると、この層に向けた集客用の記事は、従来のように多大なコストと時間をかけて作るよりも、「AIを活用して、スピードと量を重視し、低コストで量産していく」アプローチが合理的ではないか、というのです。

多くの情報を網羅的にカバーするための戦略と言えるかもしれません。

一方で、購入や問い合わせに近い段階(ミドル・ボトムファネル)のユーザーに対してはどうでしょうか。

ここは、単なる情報提供だけでは不十分です。

ユーザーに価値を伝え、納得した上で購入という決断をしてもらう必要があります。 パネリストたちは、信頼関係を築き、ユーザーの心を動かすといった側面では、「AIだけではまだ難しい」との見解を示していました。

ここで重要になるのが、「人間の熱量」「具体性」、そして「温度感」です。

例えば、その商品やサービスに対する深い理解を持つ専門家、あるいは実際に利用した人の「体験談」です。

AIでは人の心を動かせずコンバージョンには不十分

こうした内容は、AIには生成できない、人間ならではの価値を持ちます。

人の心を動かし、最終的な決断を後押しするような「温度感」のあるページを作るためには、AIに任せるのではなく、「人の手で、コストをかけてでもしっかりと作り込むべきだ」というのです。

つまり、「全てのページをAIで作ればOK、というのはむしろ適切ではない」ということです。

どのページ(どのファネル)にAIを活用して効率化を図り、どのページに人間の「熱量」とコストを投下するのか。

この「見極め」こそが、AI時代のコンテンツ戦略において非常に重要になる、と私は強く感じました。

ページによりAI、コスト、人などの使い分けが求められる

AIの実務活用例

もちろん、AIを否定するわけではありません。

パネルでは、構造化データの自動生成、競合サイト分析、Excel関数の生成、多言語展開時のローカライズといった、AIを積極的に活用すべき実務についても触れられていました。

AIを積極的に活用すべき実務例

これらをAIに任せることで、人間はより戦略的な業務、つまり「熱量」を込めるべき作業に集中できる、というわけです。

パネルディスカッションから見えたこと

重要なのは、AIを恐れるのではなく、その特性を理解し賢く「使い分ける」ことだと思います。

AIは、情報収集や量産といった「効率化」の側面で強力な武器になります。

しかし、人の感情に訴えかけ、信頼を築き、最終的な行動を促すといった「共感」や「説得」の領域では、まだまだ人間の役割が大きいです。

特に、体験談や専門性といった「一次情報」や「熱量」は、AIには決して真似できない価値を持ち続けるでしょう。

Ahrefsが語る「プロダクトグロース」の本質 

カンファレンスでは、AhrefsのプロダクトマーケターであるConstance Tan氏による「How marketers can help companies achieve Product-Market Fit(マーケターがいかに企業のPMF達成を助けられるか)」というセッションも、私にとって非常に大きな学びとなりました。

タン氏によるプロダクトグロースのセッション

Constance氏は、Ahrefsで6年以上にわたり、多くのウェブサイトの成長を支援してきた経験豊富なマーケターです。

なぜ「プロダクトマーケットフィット(PMF)」が最重要なのか?

Constance氏は、「事業をスケールさせるために最も重要なのは、プロダクトがマーケットにフィットすること(PMF)だ」と強調していました。

事業成長においてマーケットへのフィットが最重要となる

資金や人材よりも、まず「自分たちの商品が、本当にお客様のニーズに応えられているか?」を問うことが重要となります。

これこそが成長の出発点だと、私は理解しました。

PMF達成への道筋 - 顧客の声と市場理解

Constance氏は、PMF達成のための具体的なヒントをいくつか示してくれました。

顧客からのクレームは、宝の山であり、プロダクト改善の貴重なヒントとなります。

「正直なフィードバックを顧客に求める」「顧客のクレームや競合のソリューションをもっとたくさん読む」ことが重要だと語られました。

顧客からのクレームはニーズを知るための大切な情報である

また、顧客が実際に使っている言葉、そしてその裏にある本当のニーズを理解するために、SERPの研究や市場データ、メンションの監視が有効であると述べられました。

さらに、顧客が製品を通して「その先の価値」を得られるよう、ツールだけでなく、コンテンツなどを通じて「顧客の成功に投資する」姿勢が重要だと強調されました。

Ahrefsが単なるツール提供に留まらず、ブログやYouTube、調査レポートといった「価値あるコンテンツ」を惜しみなく提供しているのは、まさに「Be invested in your customers' success(顧客の成功に投資する)」という姿勢の表れだと感じます。

会場で配られたユースケースのパンフレットも、まさにその実践例でしょう。

役立つデータや使い方が惜しみなく書かれた資料

「機能をどう使えば、お客様の事業成長に繋がるのか」を示すことも重要な価値提供なのだと思います。

まとめ

シンガポールで開催された「Ahrefs Evolve Mini」は、非常に多くの学びと気づきを与えてくれました。

AIはSEOを変革しつつありますが、それは「終わり」ではなく、新たな戦略と価値提供が求められる「変化」なのだと、私は感じています。

10月にアメリカで本番のカンファレンスが開催されるとの事。そちらにも大きな期待を寄せたいと思いますし、もし参加できれば、またレポートをお届けしたいと考えています。

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