昔のものが残っている場所で、少しだけ時間がゆっくりになった
ふと足を止めたくなる場所に出会うことがあります。
目的地へ向かって歩いているだけなのに、
なぜか気になってしまう。
「なんだろう」と思って立ち止まってみると、
そこには、今の暮らしの中では少し珍しくなったものがありました。
たくさんの風鈴が吊るされた、木造の通り。
風が通るたびに、ガラスの風鈴が揺れて、
それぞれ違う音を鳴らしている。
同じ風鈴でも、音は少しずつ違う。
透明なもの、色のついたもの、
小さなもの、大きなもの。
一つひとつを眺めていると、
「風鈴って、こんなにいろいろあるんだな」と、
普段なら気にも留めなかったことに気づきました。
そして、もう一枚の写真は、昔ながらの手押しポンプ。

今では蛇口をひねれば簡単に水が出てくるけれど、
昔はこうやって手で動かして、水を汲んでいたんですよね。
こういうものを見ると、
便利になる前の暮らしを少しだけ想像してしまいます。
誰かがこのポンプを使っていた時間。
暑い日に水を汲んだ人がいて、
その水で何かを洗ったり、植物に水をあげたり、
あるいは子どもが珍しそうに触っていたのかもしれない。
もちろん、その場にいたわけではないので、
本当のことは分かりません。
でも、昔からそこにあるものを見ると、
そんなふうに「ここにはどんな時間があったんだろう」と
想像するのが私は好きです。
新しいものには、新しい魅力があります。
きれいで、便利で、使いやすくて、
今の生活には欠かせないものもたくさんあります。
それでも、古いものには、
新しいものとは違う魅力がある。
傷がついていたり、少し錆びていたり、
色が変わっていたり。
長い時間を過ごしてきたからこそ出る表情があります。
そして、そういうものが今も大切に残されているのを見ると、
少し嬉しくなります。
毎日を過ごしていると、
つい「もっと新しいもの」「もっと便利なもの」に目が向いてしまうけれど、
たまには立ち止まって、
昔からそこにあるものを見るのもいいのかもしれません。
風鈴の音を聞きながら歩いたり、
昔の道具を眺めたり。
そんな何気ない時間が、
思っていたよりも心に残ることがあります。
写真を撮るようになってから、
以前なら通り過ぎていたものに気づくことが増えました。
「これ、なんだかいいな」
そう思ってシャッターを切った一枚が、
あとから見ると、その日の空気まで思い出させてくれる。
写真って、景色を残すだけじゃなくて、
そのとき自分が感じた小さな気持ちまで残してくれるものなのかもしれません。
