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どこまでも〜昭和100年東京地図 今年の写真展について

さて、8月だ。

ということは写真展だ。

もう今年で22年目。
毎年、8月に写真展をやっている。

もともと写真が趣味で始めたわけじゃなくて、
たまたま通っていた飲み屋が写真の展示を始めて
やる人が集まらないという理由で誘われて始めたことだった。
(いまはやりたい人が殺到して抽選みたいだけど)

なので「撮りたいもの」がなかった。
何を撮っていいかわからずにはじめて、もともと団地の風景が好きだったので、初期は団地の写真を撮って展示して、そのうちに日常にあるものを自分なりに切り取っていくということが何となく続いて…

結局「これが撮りたい」なんてものがほとんどないまま、
「飲み屋の壁紙」というコンセプトでずっとやってきた。

22年目にあたる今年。
初めて「これを撮ってみたいな」というものが見つかった。

なので今回の展示は初めて「テーマ」のある写真展になっている。

きっかけは、昨年末に本を読んだ本。
タイトルは『昭和二十年東京地図』。
何十年も本棚に並んだまま、一度も開くことのなかった本だった。
父・西井一夫が書いた本である。
父はもうこの世にいない。亡くなったのは2001年。
もう20年以上も経つ。
写真評論家だった父。
最近は、父の命日になると父の著作を読むようにしていて、
昨年手に取った本がたまたまこの本だった。

『昭和二十年東京地図』西井 一夫 (文)/平嶋 彰彦(写真) 筑摩書房

この本は1986年に出版された。
初版は1986年8月15日とある。終戦の日だ。

わたしが12歳、中学1年生のときだ。
刊行してすぐに父から贈呈されたものだったが、
結局、それから一度もページを開くことはなかった。


それから約40年が経ち、ようやくこの本を開いた。
最初に目に飛び込んできたのは、
見返しに記された父の手書きの献辞だった。

「新八君へ 父 西井一夫 昭和六十一年八月二十三日」

まるで40年前の父からの贈り物のように感じた。

本の内容にも驚かされた。

1985年、当時40歳だった父が、その40年前、
終戦の年、昭和20年(1945年)の東京の地図を手に、東京の街を歩き、
その土地の記憶を文章と写真でたどっていく内容だった。

40年前の父が、さらにその40年前の東京を探し歩いて記録した本。
それを40年後の私が受け取り、読む。

時を越えた「記憶のリレー」のように思えた。

今年は戦後80年、そして昭和100年にあたる年。
そんな節目の年に、偶然手に取った1冊。
「バトンを受け取った」気がした。

──40年前父が歩いた場所を、今のわたしが歩いてみよう。
そして父が見た景色の40年後を写真に収めてみよう。

そう思いたって今年の1月から、本を片手に、
40年前に父が歩いた場所を探しながら、
東京の街を歩き回った。

これが想像以上に楽しかった。

例えば本の中にあるこの写真

北品川一丁目…天王洲運河
『昭和二十年東京地図』(P77)

この景色を住所を頼りに探してみると…

北品川一丁目  2025年1月

いまもあるのだ。周辺の建物が少し変わったけど、景色はほぼそのまま。

40年前と変わらない場所。
40年前の面影を残す場所。
そして、まったく変わってしまった場所。

都内に用事があって出かけては、その近くに関連する場所を探して写真を撮って回った。

事前に「ここを撮る」ということをはっきりと決めて行かずに、例えば池袋周辺を撮ると決めたら、とりあえず行ってみてから、そこで本を開いて、写真のキャプションを見て行けそうな所へ歩いて行くという非効率な回り方をした。

さっきまでいたところが実は次の目的地だったなんてことはよくあって、非効率きわまりない回り方をした。

なぜなら、その方が楽しいからだ。

事前に調べて行くとそれはただ目的地を回るだけの作業になるけど、行き当たりばったりでいくとひとつの冒険になる。
恐らくその時の父も地図と文献だけを頼りにその地をただ歩き回ったに違いない。

本に書いてあるざっくりとした住所から、だいたいの場所に行って、似た景色がないかを歩いて探し回る。

すんなり見つかることもあれば、まったくわからいときもある。
探している場所がなくなって、すでに別の名前に変わっていたりした場合は、「かつてこう呼ばれた場所はどこ?」というようにAIに聞いてみたりもした。
3回に2回はウソを教えられて道に迷ったりもしたけど、歩きながらときどき立ち止まって、場所にまつわる情報を調べながら「40年前と同じ景色を探す」というのは、まるで宝探しをしているようで、とてもとても楽しい時間だった。

上野、浅草、渋谷、新宿、神田、品川、池袋、麻布、本郷…
もともと激務で全く時間はないし、このためだけに時間を作るというのが難しかったけど、限られた時間の中で、できるだけ回った。

今回の写真展ではその中の一部、30点ほどを
《どこまでも 昭和100年東京地図》として展示することにした。

《どこまでも》は、私が22年間続けている写真展のタイトル。
《昭和100年東京地図》は、父の本のタイトルにちなんでいる。

毎年、写真展の時に配布している写真集も今年は気合いが入っている。

まず例年よりページ数が多い。
なんとフルカラー48ページ!
展示する作品のキャプションと、父の書籍に掲載された40年前の写真との比較も掲載している(なお、書籍の写真の引用に当たっては撮影者の許諾をいただいた)。
全ページ、デザインもしっかりした。
我ながらめちゃくちゃよくできてる。
これを無料で配るというのは…正直どうかしてると思う。

ただ、冊子を見ないと写真の意味がわからないというのもあるので、配ることに決めた。
限定200部で、先着順でなくなり次第終了。
まずなくなることはないと思うけど、どうしても「欲しい!」って人は早めに来ていただいた方がいいかもしれない。
万が一なくなっても、店に閲覧用のサンプルは残すので、なくなったらそっちを見てくださいね!

ちなみにこんな冊子です。

表紙
中はこんな感じです

いま、絶賛、写真をプリント中です!
今回は1枚1枚色味を調整しながら、自分でプリントしてます!
というわけで、まだ準備は続いてます!!

毎年思うけど「大変だーーー!!!!!」
こんなことを22年も続けてます。
年に一度とは言え、大変な習慣です。
これぞ習慣家!な一大行事と言えます。

今年の写真展は8月16日(土)からです!!
例年通りゴールデン街の「こどじ」という店でやります!
飲み屋での展示なのでドリンクのオーダーをお願いします!


■井上新八写真展(22年目)『どこまでも昭和100年東京地図』
■展示日程 2025年8月16日(土)~8月30日(土)
営業時間/19時~ 日曜定休
■場所新宿ゴールデン街 「こどじ」地図
     新宿区歌舞伎町1-1-9 2F
     TEL:03-3205-1373


在廊予定日(変わるかもしれません)
初日16日(土) 18日(月) 20日(水) 22日(金)
27日(水) 29日(金) 最終日30日(土)

同じようなことを話している「続いてる」ラジオです!


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