休職したのに、心は休んでくれなかった
休職したのに、心は休んでくれなかった。
「やっと休める。」
休職が決まったとき、私はそう思った。
仕事に行かなくていい。
上司の顔色を気にしなくていい。
毎日、緊張しながら仕事をすることもない。
これで少しは楽になれる。
そう思っていた。
でも――
心は、仕事から離れてくれなかった。
休職した次の日くらいから、頭の中は仕事のことでいっぱいだった。
「仕事に戻れるかな」
「私、大丈夫なのかな」
上司に言われた言葉も、頭から離れない。
仕事には行っていないのに、頭の中ではずっと仕事をしているような感覚だった。
そして、体調は悪いまま。
「私、何してるんだろう」
そんなことも思っていた。
⸻
休んでいるのに、休めない
私はシングルだから、家事も子どものこともある。
どれだけしんどくても、
「ご飯を作らなきゃ」
「子どものために、ちゃんとしなきゃ」
そう思っていた。
休職したからといって、母親を休むことはできない。
体調が悪くても、ご飯を作った。
家事をした。
子どものことをやった。
でも、今まで普通にできていた日常生活が、うまくできない。
それがまた苦しかった。
「なんでこんなこともできないんだろう」
できない自分を責めていた。
誰かに「しんどい」と言うこともできなかった。
だから、ひとりで抱えていた。
⸻
子どもが眠ったあと
一番苦しかったのは、夜だった。
子どもを寝かせて、ひとりになる。
家の中が静かになると、それまで考えないようにしていたことが、どんどん頭に浮かんできた。
「仕事に戻れるかな」
「いつになったら元気になるんだろう」
そして一番強かったのは、
「適応障害になる前の私に、いつ戻れるんだろう」
という不安だった。
私はずっと、病気になる前の自分に戻ることを目指していた。
元気だった頃の私。
仕事を普通にできていた私。
何でも頑張れていた私。
そこに戻れれば、きっと大丈夫。
そう思っていた。
でも、今になって思う。
元の自分に戻ることが、正解じゃなかったんだと思う。
⸻
「できない自分」を責めなくてよかった
休職しているのに何もできない。
家事ができない。
気持ちがついてこない。
そんな自分を、私は何度も責めた。
でも、本当は責めなくてよかった。
それだけ頑張ってきたから、今はできないだけだった。
心も体も、
「もう少し休ませて」
って、私に教えてくれていたのかもしれない。
もし、あの頃の私に今の私が声をかけられるなら、
「何もできないことを責めなくていいよ」
と言いたい。
そして、
「元の自分に戻ることが正解じゃないよ」
とも伝えたい。
病気になる前の自分に戻ることではなくて、
今の自分にできることを少しずつ見つけていく。
無理をしない自分を受け入れていく。
それも「回復」のひとつなんだと思う。
休職したからといって、すぐに心が休めるわけじゃない。
仕事から離れても、不安は残る。
焦りも残る。
自分を責める気持ちも、すぐには消えない。
でも、それでいい。
休むことに慣れるまでにも、時間が必要だった。
あの頃の私は、それを知らなかった。
そして今の私は、少しだけ知っている。
「頑張れない自分」も、ちゃんと自分だったんだと。
