子どもの声を聴ける大人を増やしたい
不登校の保護者支援活動を続けていると、
「杉浦さんは、不登校をなくしたいと思って活動されているのですね」
そう言われることがあります。
でも、私の答えは少し違います。
私が願っていること
私は、必ずしも不登校をなくしたいとは思っていません。
学校へ行けなくなることは、その子にとって決して望んで選んだことではありません。だからこそ、その出来事だけを「なくすべきもの」と考えてしまうと、その子自身の苦しさや、その背景にある思いが見えなくなってしまう気がするのです。
私が願っているのは、子どもが学校へ行けなくなったときにも、
「この子は大丈夫」
そう信じられる社会です。
学校へ行けなくなったから人生が終わるのではない。少し立ち止まる時間があっても、その子らしく育っていける。親が一人で抱え込まなくてもいい。学校だけが支えるのでもない。
地域や周りの大人たちが、「一緒に考えよう」と寄り添える、そんな社会であってほしいと願っています。
子どもの小さなSOS
でも、その一方で、子どもたちが一人で苦しみ続けることは減らしたい。
だからこそ、私たち大人が目を向けてほしいのは、「不登校」という結果ではなく、その前にある子どもの小さなSOSです。
実は、これは私自身が娘から教えてもらったことでもあります。
娘の「お腹が痛い」
娘が不登校になる前、よく「お腹が痛い」と言っていました。
私は心配になり、病院へ連れて行きました。診察の結果は、「異常はありません」。
その言葉を聞いて、私はホッとしました。
でも今思えば、安心していたのは私だけだったのかもしれません。
私は「病気ではなかった」ということに安心して、その言葉の奥にあった娘の気持ちを聴こうとしていませんでした。
「学校で何かあったのかな」 「何がそんなにつらいのかな」 「どんな思いで『お腹が痛い』と言ったのかな」
そんな問いを持つことができていなかったのです。
本当に求めていたもの
当時の私は、お腹が痛い「原因」を探していました。
でも娘が本当に求めていたのは、原因を見つけてもらうことではなく、自分の気持ちを受け止めてもらうことだったのではないかと、今では思います。
もちろん、体の不調を訴えたときに受診することはとても大切です。でも、「異常はありませんでした」で終わるのではなく、そのあとに子どもの心にも目を向けることが大切なのだと、私は娘から教えてもらいました。
これまでも、たくさんの親御さんのお話を聴かせていただく中で、同じような経験を何度も耳にしてきました。
「学校へ戻す方法」ではなく
だから私は、「学校へ戻す方法」を伝えたいのではなく、「子どもの声を聴ける大人」を一人でも増やしたいと思っています。
私たちは、つい子どもに、「大丈夫?」と聞いてしまいます。
もちろん、その言葉にも優しさがあります。でも、ときには、
「何か話したいことある?」
そんな問いかけをしてみませんか。
そこには、「あなたの気持ちを知りたい」「どんなあなたでも大切に思っているよ」というメッセージが込められていると思っています。
一人で頑張らなくていい
子どもは、自分を信じてくれる大人が一人いるだけで、少しずつ自分の力を取り戻していきます。
そして、その大人もまた、一人で頑張る必要はありません。
支え合える人がいて、安心して話せる場所があることで、親も「この子は大丈夫」と思えるようになっていくのだと思います。
皆さんと一緒に
なので、私は不登校をなくしたいと思って活動をしているのではありません。
子どもが学校へ行けなくなっても、親が自分を責めなくても、周りの人が温かく支え合える。そんな社会を、皆さんと一緒につくっていきたいのです。
そのための第一歩は、子どもを変えようとすることではなく、子どもの声に耳を傾けること。
今日このブログを読んでくださった皆さんが、周りのお子さんに、
「何か話したいことある?」
そんな一言を届けるきっかけになれば、とても嬉しく思います。
