千葉で、お母さん系なご当地ラーメン
一念発起して、千葉へ
ちょっと前のお休みに、アクアラインを通って千葉に遊びに行きました。出不精の私には、一念発起の外出です。
今回の千葉旅の目的の一つは、ご当地ラーメンを食べること。
目指すは、梅乃家。ご当地ラーメン「竹岡式ラーメン」の発祥・元祖として知られるお店です。
70年以上前に創業。
豪快で中毒性の高い、唯一無二のローカルラーメンと聞いていて、気になっていました。
なんでも、漁師町でお母さんが作る系ラーメンだそう。
漁師町のラーメンは、想像できる。
お母さんが作る系とは?
ラーメンって、お父さんが作るイメージだよね。
今どきのラーメン屋さんなら、ちょっと派手目なお兄さん。昔ながらのラーメン屋さんでも、お父さんが麺を茹でて、湯切りして、お母さんがお会計してる図が思い浮かぶけれど。
どういう図になるんだろう。
都内から2時間半くらいで到着しました。
梅乃家は、いい感じの田舎にあります。
千葉の海は、なんか違う
千葉の海辺の田舎って、神奈川の海辺とは違う雰囲気。
私は神奈川生まれ。海のドライブにはサザンと思って育ちましたが、千葉の海はなんか違う。
東京を挟んで、海岸線の印象がずいぶん違うなと思いました。
空が曇り空で、今にも雨が降りそうだったからかも。国道が海ギリギリまで迫ってるからかな。東京湾に面していて、波が柔らかいからかな。
根っこの部分で違う気がする。
それは、神奈川の海辺は漁師町に別荘地として上書きされた歴史があり、千葉の海辺は、ノスタルジックで手つかずの漁師町的な日常が残る。そんな景観が残っているからかもしれません。
好きですよ、この感じ。
行列の前後には、50代男子
1時前に、行列。15人くらい並んでいました。
私たちの前には、大学生グループ、お父さんと息子の組み合わせ、私と同年代くらいの男性の2人連れが数組。
並ぶ人たちから、男が食べるラーメンを想像しました。
私たちの後ろに並んだのは、男性3人組。50代だと思われます。ちょっとギラギラした感じで勢いのある方々。
会話が全部聞こえてきます。
3人は、ゴルフ仲間のようです。
千葉生まれ、千葉育ち。たぶん子どもの頃の野球チームが一緒だった。でも竹岡式ラーメンは、食べたことがない模様。
「大盛りにする?」
「俺は、焼豚丼を頼もうかな」
「俺も。腹減ったよ」
「朝、ちょっと食っただけだからな」
聞こえてくる3人の会話がおもしろい。私は、全身を耳にして聴く。
子ども時代の思い出から、先週のゴルフ、高校の同窓会、野球チームの飲み会へと、話が縦横無尽につながっていく。
だれそれは、JALのチーフパーサーと再婚して、その女性の持ち家の成田のマンションに住んでる、うらやましいよなとか、昔馴染みの後輩が最近、義理を欠いた行動をしてておもしろくないとか、ゴルフで雑魚寝は辛いとか、たぶんサーフィンの話とか。
アラフィフの私たちが女子会で話していることの、50代男子版。
行列の時間中、ずっと聞いてしまいました。
話題が、ちょっと遊んでる先輩の話に切り替わり、めちゃ下世話なことを話し始めます。
やっぱり若い女と遊びたいよな、かわいいんだよな、若い子は素直だよ、みたいな。
そこで、突如、「女体盛り」の話が始まります。
その先輩が実際したとかしないとか。
日中にお酒なしで「ワカメ酒したのかな」で盛り上がっていました。
それが現実なのか、妄想なのか。
聞き耳を立てて聞いていましたが、私たちは店内に案内されてしまって、おもしろい話は途中で終わりました。
いよいよ竹岡式ラーメン
さて、竹岡式ラーメンです。
どん!と提供されます。
大きい焼豚、濃いスープ、白い麺、山盛りの玉ねぎの薬味。
食べたことがない味でした。
既視感はあるのに新しい味。
スープは、焼豚の煮汁を麺の茹で汁で割ったもの。出汁をとらず、豚肉を醤油で煮込んだ「煮汁」が主役です。
麺は、生麺ではなく、乾麺を使用しています。この茹で汁をスープに活用しているのです。
乾麺ならではの独特なちぢれと歯ごたえが、濃いめの醤油スープによく絡んでいるような。でも、知っている麺とスープの絡みとは違う。
スープにアクセントを加えるのが、山盛りの刻み玉ねぎ。
焼豚はボリュームがあります。分厚くカットされた煮豚がゴロゴロと入っており、噛むほどに醤油と豚の脂の旨味が広がります。
お母さんが溢れてる
作っているのは、お母さんたち。おばさんではなく、お母さんです。
地元のお母さんが7人がかりで、ラーメンを作って、お客さんを回して、お会計をしていました。
お店に、お母さんが溢れてる。
これが、お母さん系ラーメンか。
うん、納得。
お母さんたちの連携は、長年一緒に働いてきた阿吽の呼吸がありました。
「次は何人?」
「2人よ、赤い服着てる。その次はお子さんもいるわよ」
「はいはい。じゃあ席は、こっちは空けてあっちが先ね」
「あっちは、片付けたからね」
「あら、私の番ね。玉ねぎ切りに行ってくるわ」
「あら、これも持って行って」
「雨が降りそうよ」
「降る前に行ってきちゃう」
この雰囲気、なんか知ってる。
子どもの頃に見た法事の親戚の会話みたい。
お母さんたちの間に、狭いキッチンが見えました。
七輪がある。
どうやら乾麺を七輪の鍋で茹でているらしい。
懐かしさを通り越す七輪の登場に、ノスタルジアが極まりました。
私が見たことがない昭和の景色。
たしかに、お母さん系ラーメンだわ。
私も、昭和のお母さん側だった
満腹。
乾麺がお腹の中でさらに膨らむようです。
会計のときに気がつきました。
私、このお母さんよりたぶん年上だわ。
お母さんたちの輪に、すんなり入れるな、たぶん。
いや、私はおばさんだから、お母さんとは違う…?郷に入りては郷に従え。きっと馴染める。
初めて食べたのに、懐かしいラーメン。
お母さんたちの懐かしい雰囲気。
懐かしい昭和を感じました。
そして、私は客席から見ているだけじゃなく、演者にもなれることに気がつきました。
いつの間にか、懐かしい昭和のお母さんを演出できる側になっていたのです。
ワカメ酒の続きが気になる
あ、ワカメ酒の続きが気になります。
あの人たち、ずっと同じネタを話してるんだろうな。
40年以上語って、たぶん誰も見たことがない女体盛りとその先の景色。
くだらないことを妄想しながら話しているのは女子だけかと思ってたけど、男子も同じなのね。
彼が「男はみんな同じ」と言っていました。
しょうもない50代男子の会話、7人のお母さんたちが作るお母さん系ラーメン。
無骨な千葉の海岸線。
忘れられない夏の記憶になりそうです。

いいなと思ったら応援しよう!
応援ありがとうございます。とっても励みになります:)