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suzuki_ma
エルガー チェロ協奏曲 シノーポリ マイスキー
黄昏の深淵で、音は咽び泣く
冒頭の重い一撃。
チェロが深く弓を沈めるとき、
大地は一瞬で霧深いセピア色に染まる。
楽譜に閉じ込められた孤独。
去りゆく時代の冷たい残照。
シノーポリのタクトが黒雲のように湧き、
重厚で濃密な夜の帳を編み上げてゆく。
その巨大な音の海へ、
マイスキーのチェロが裸足で飛び込む。
荒れ狂う波飛沫のなかで叫ぶ一音一音。
それは嵐のなか、命を削り出す美しき慟哭。
凍てつく静寂のアダージョ。
雲の切れ間から射し込む一筋の光。
ため息のように紡がれる旋律は、
誰もいない砂浜へ宛てた、遅すぎた手紙。
冷たく完璧な大理石の伽藍を、
熱き情熱の炎が内側から焦がしてゆく。
崩れゆく幻影のなか、痛切な回想へ。最後の一音が、凪いだ闇へと溶ける。
静寂が、すべてを連れ去っていく。
あとにはただ、震える余韻だけが響いていた。
いすみん
