シューマン
幻想曲 ハ長調 作品17
茜色の崖に立ち
激しく打ち寄せる波を抱きしめる
指先から溢れ出すのは
純粋すぎる狂気と、消せぬ貴方の面影
一閃のひらめきと惑いの中で
密やかに奏でられるモチーフ
嵐の切れ間に射し込む光は
貴方の名前を何度も繰り返す
雲が割れ、突如として開ける視界
古城の石畳を鳴らす
誇り高き行進の足音
つまずきながらも前へ、
崩れそうな城の上で跳躍する旋律
無邪気な情熱と狂気を抱えたまま
眩しい凱歌となって空へ届く
一瞬の静寂の後、
世界は深い夜の底へ
波紋を広げる透明なアルペッジョ
やわらかな月明かりが
傷ついた心をそっと包み込む
届かなくても、結ばれなくても
ピュアな祈りへと形を変えた情熱は
消え入る和音の余韻を残して
星々の闇へと溶けてゆく
いすみん
