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「お金が集まる経営者」と「お金が集まらない経営者」を分ける、たった一つの差

「事業のロジックは完璧なはずなのに、なぜか人が動いてくれない
「丁寧に伝えているつもりなのに、現場との温度差がいつまでも埋まらない

事業を前に進めるために、本当に必要な力とは何でしょうか。

私自身、企業研修の講師として12万人を見てきました。
そして経営者としても12年以上、現場に立っています。

その中で一つ、ずっと不思議だったことがあります。

事業の筋もいい。プロダクトも光っている。話もうまい。
なのに、なぜか資金が集まらない経営者がいる。

一方で、話し方は淡々としているし、スライドだって特別凝っていない。

なのに、なぜか投資家を前のめりにさせ、その場で「次、いつ会いましょうか」と熱心に迫られる経営者がいる。

この差を僕はずっと「経験の差」だと思っていました。

場慣れしているとか、人脈があるとか、運がいいとか。

でも、12万人を見てきて、はっきりわかったことがあります。

これは、経験の差じゃない。ある一つの能力の差だったんです。


リーダーシップも、判断力も、対人解像度も、「数字にならない力」が実は最も成果を左右している。それを構造で可視化するのが、非認知能力です。

IQ・EQに次ぐ第三の指標として、僕はMQ(非認知能力)を提唱しています。スキルや経歴では拾われなかった力を、誰もが正しく証明できる時代へ。

見えない力を、構造で証明して、正しく機会を得られる社会を作ります。

白石慶次


「話がうまい」のと「相手が動く」のは、別の話だった

知り合いに、本当にプレゼン上手な経営者がいます。

仮にAさんとしておきます。

スライドは綺麗。
話の構成も完璧。
15分の打ち合わせで、事業の魅力を余すところなく伝えきる。

打ち合わせを終えて会議室を出たあと、本人はエレベーターの前で「いやー、今日は完璧に話せた」と満足そうにうなずく。
 
でも3週間後、相手から丁寧な断りメールが届くのです。

Aさんは首をかしげる。「あんなにウケてたのに、なんで?」 

Aさんには、何が足りなかったのか。

スキルの問題ではありません。
Aさんは話がうまい。事業のロジックも筋が通っている。

足りなかったのは、たった一つの視点。

打ち合わせの15分間、Aさんは「自分が話したいこと」を完璧に話していた。

プロダクトのすごさ、市場の大きさ、チームの優秀さ。

ただ、目の前の相手が「今、頭の中で何を考えながら聞いていたか」については、ほぼ想像していなかったのです。

ここが、決定的な分かれ目です。

たとえば資金調達の場面で、なぜかお金が集まる経営者は、目の前の投資家を見ながらこんなことを考えています。

「この人は今夜、社内のミーティングで、自分のボスにこの案件を説明することになる」
「そのときに、ボスが部下にいちばん聞きそうな質問は何だろう」
「その質問に、目の前の投資家がスムーズに答えられるような材料を、今この15分で渡しておこう」 

そして、自分の事業のすごさを語るのではなく、相手が社内で使える"言葉"を会話に織り交ぜていきます。 

「この市場、3年前にプレイヤーが12社いたんですが、今は4社まで減っています。残った4社の決算を並べると、こういう構図になります」
「うちが今この事業を立ち上げる理由は、ここで使える人材が市場に放出されたタイミングだからです。1年遅れたら、この採用はできません」

 これは「自分のすごさ」の話ではありません。

投資家が社内に戻ったときに、上司や同僚を説得するための"カード"を、丁寧に手渡しているのです。
 
聞いている投資家は、無意識のうちに気づきます。

「あ、この経営者は、自分が抱えている事情を分かってくれている」と。

その安心感が、最後の意思決定を動かします。

Aさんに足りなかったのは、まさにこの「相手は今、頭の中で誰のことを考えているか」を読み取る力でした。


採用面接でも、1on1でも、同じことが起きている 

ここまで読んで「いや、投資家に限った話だろう」と思ったかもしれません。

違うんです。
実は同じようなことが、あらゆる経営シーンで起きています。

たとえば採用面接。

CTOクラスの経験者を口説く場面で、経営者は熱を込めて語ります。

「うちは挑戦を歓迎する会社です。技術選定も組織体制も、好きに作ってもらって構いません

それに対して、候補者は笑顔で返します。

「素敵ですね、ぜひ働きたいです」

経営者は「よし、決まりだな」と思って、その日のうちに内定を出します。
しかし3ヶ月後、その候補者は退職してしまいました。

その際、退職面談で出てくる理由は、こうです。

「開発の方向性を決めようとするたびに、社長から『それ、本当に正しい?』と聞かれて。結局、最後は社長の意見に寄せていく形でしか動けませんでした

経営者の「裁量がある」は「議論を尽くしたうえで、最後は任せる」。
候補者の「裁量がある」は「自分の判断で決めて、事後報告でいい」。

同じ言葉なのに、お互いがまったく違う意味を込めていた、というすれ違いです。

こうしたすれ違いも、「裁量という言葉を、前職ではどんなシーンで使っていましたか?」と一つ踏み込むだけで、面接の段階で防げたはずなのです。

さらに、たとえば社員との1on1の場面。

経営者が「最近どう?」と聞くと、3年目の若手エンジニアがこう答えます。

「特に問題ないです」

ここで経営者は「よかった」と安心して、次の議題に移る。

しかし実際には、その若手は2週間前から転職エージェントとの面談を始めていました。

半年前に出した新機能の企画を「考えとくよ」のまま放置されたのが理由です。

彼の中ではもう、目の前の社長に正直に話すこと自体を諦めてしまっているのです。

経営者の「最近どう?」は、「困っていることを吸い上げよう」とする問いかけ
若手にとっての「最近どう?」は、「答えてもどうせ何も変わらないだろう」という儀式。

ここでも、同じ言葉が、お互いの頭の中で違う意味を持っていました。

「特に問題ないです」と返ってきた瞬間に「半年前のあの企画、今どうなってる?」と一つ踏み込めば、若手の表情は確実に変わります。

これらの場面で起きているのは、経営者の能力不足ではありません。

・事業の見立ても鋭い
・論理的にも考えられる
・お金の計算もできる
・判断のスピードも速い

ただ、「目の前の人が、今、頭の中で何を考えているか」を拾う解像度が足りていないだけなのです。

僕の会社で開発しているMQ(非認知能力)アセスメントツールでは、この力のことを「視点取得」と呼んでいます。

ものすごく簡潔に言うと、「相手の頭の中に、どこまで降りていけるか」という力です。


「人の気持ちが分かる方だ」と言う経営者、ほんと? 

視点取得という力が厄介なのは、低い人ほど「自分はできている」と思い込みやすいところにあります。

「自分は他人の気持ちが分かるタイプだ」
「コミュニケーションは得意な方だ」

そう語る経営者ほど、周りの社員から「あの人は人の話を聞かない」と陰で言われていたりします。

なぜこうなるかというと、視点取得は「自分が見えていないもの」を扱う能力だからです。

見えていないものは、本人にとって最初から存在しません。

だからこそ、自分の力で「自分の視点取得は今どれくらいか」を正確に測ることは、原理的にできないのです。

これが、ピッチや採用や1on1で、ずっと同じ失敗を繰り返してしまう経営者が後を絶たない理由です。

本人は「やり方を変えた」つもりでも、結局はまた同じ景色を見てしまっている・・・

ここで多くの経営者が、もう一つ誤解をします。

「これって、もう性格の問題でしょ。自分は理系だから」
「もともと一人で考えるタイプだから無理」

これも違うんです。

視点取得は「性格ではなく、後から鍛えられる能力」です。

僕がこれまで関わった経営者の中にも、「人の気持ちなんか考えたことなかった」と言っていた方が、半年後にはチームの空気を読み解ける人に変わっていく場面を何度も見てきました。

そのとき、彼らがやっていたのは、たった一つのことだけです。

「自分が"わかった"と思った瞬間に、もう一度立ち止まる」

相手の言葉に「わかった」と返したくなる瞬間に、半秒だけ間を置く。

「いま自分が分かった気になったのは、相手の言葉の表面か。
それとも、その下にある意図か」と、自分に問い直してみる。

これを繰り返した人だけが、半年後にまったく違う景色を見られるようになります。


経営者のあなたが、明日からできる3つの問い

最後に、ピッチでも採用でも1on1でも、明日からそのまま使える3つの問いを置いておきます。

①「相手は今、自分の話を聞きながら、頭の中で誰に向かって説明することを考えているか?」

投資家ならお金を預けている人。候補者なら家族や仲のいい友人。社員なら自分の部下。

みんな、自分の背中側にいる誰かに対する説明責任を抱えながら、目の前の会話に座っています。

② 「相手が3週間後に、この会話のどの部分を覚えているか?」

その場の表情は、平気で嘘をつくものです。
本当に効いたかどうかは、相手の中に何が残ったかで決まる。

「自分が話したかったこと」ではなく「相手の記憶に残るべきこと」から逆算する。これだけで、伝え方は大きく変わります。

③ 「自分が"わかった"と思ったのは、相手の言葉の表面か、その下にある意図か?」

すれ違いのほとんどは「わかった」と思い込んだ瞬間に生まれます。

ほんの半秒、立ち止まってみる。それだけなのです。


「あの経営者、何かが違うな」の正体について 

20年間、約12万人を見てきて、はっきりと言えることがあります。

「あの経営者、何かが違うな」と感じさせる人は、特別なカリスマを持っているわけでも、人脈が広いわけでも、運がいいわけでもない。

学歴でも、肩書きでも、話のうまさでもありません。

ただ目の前の人の頭の中に、ふっと降りていける。
それだけです。

そして何より、この力は生まれ持った性格でもない。
後から、しっかりと鍛えられる能力です。

僕は今、この「見えない力」を見えるようにする仕事を本気でやっています。

なぜかと言うと「あの経営者、何かが違うな」の正体が、ずっと言葉にされてこなかったせいで、たくさんの優秀な人が「自分には才能がない」と勘違いしてきたからです。

その入り口となる話を、 毎週お笑い芸人のトンツカタン森本さんと一緒に、Podcastで楽しく言葉にしています。

番組タイトルは【白石のPodcast】
学校では教えてくれない見えない力の授業:大人の非認知能力

ビジネス部門で1位をいただいた番組です。

森本さんが「それって、こういうことですか?」と素朴に聞き直してくれるたびに、僕の中の堅い言葉が、もう一段やさしい言葉へと翻訳されていきます。

30分の番組ですので、通勤中や家事の合間などに、よかったらぜひ聴きにきてください。

▼ Podcastはこちらから:全配信プラットフォームのリンクをまとめています。
 https://linktr.ee/hininchinouryoku



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