見出し画像

誰にも忖度しない、最強の存在


大人の社会科見学を終えて

イタリアから帰国してしばらく経過しました。
 帰国して以降、新店舗のオープンや溜まっていた日常業務に終われながら、移動教室で受け取った言語化できない学びを身体に浸透させています。
 

一緒に移動教室に参加した泉さんと、現地に足を運んで、見て、聞いて、感じたことから印象に残っているものについて、話してみたいと思います。

 道化師との出会い

今井:帰国して1週間ほど経ちましたが、蓄積していた疲れは取れましたか?
 
泉:まだ疲れが抜けきらなくて、瞼の奥が重い感じがします。習慣になっていた早朝のランニングも、今週は1日しか行けませんでした。
 
今井:私も疲れが取りきれず、食事も十分に取れていません。ランナーズハイじゃないけれど、まだ興奮しっぱなしなのだと思います。
 
泉:僕はむしろ、いつも以上に食べてしまっていますが、疲れが抜けていないのはお互い様みたいですね。それでも、ハードな旅ではありましたが、参加してよかったです。
 
今井:今回の移動教室は、私が今まで参加した4回の中でも最もハードでしたが、実り多い時間でした。泉さんが印象に残っている出会いはなんでしたか?
 
泉:道化師のジネーブラさんとの出会いです。クラウンと呼ばれる道化師の格好をして、紛争地域の子どもたちや病気の方のもとを訪れて笑顔にする。彼女の活動そのものにも感銘を受けましたが、道化師という存在そのものに興味が湧いてきました。今は、それに関する書籍を大量に購入して読み始めています。
 
そもそも道化師は、中世ヨーロッパに誕生した、宮廷のエンターテイナーに起源を持ちます。奇抜な格好をした「普通じゃない存在」として認識されるため、君主に対する批判が許される無敵の存在です。
 
ジョークを口にする芸風だったこともあり、トランプの「ジョーカー」に道化師が描かれているのも、そうした背景が関係しているようです。考えてみれば、道化師であるジョーカーがキングよりもクイーンよりも強いカードとして使われていますよね。
 
今井:ええ!まさか泉さんも道化師が印象に残っているとは思いませんでした。実は私も一緒で、帰国してから道化師について調べています。
 
道化師という存在のおかげで、君主が裸の王様にならずに済む。それは、企業経営にも同じではないかと思うのです。忖度せず、同調圧力に流されず、本質に向き合う存在はどんな組織や社会にも必要です。
 
泉:ビートたけしさんや爆笑問題の太田光さんは、道化師の役割を担ってきたように思います。空気の読めないキャラを演じて、本質に突っ込むシーンを、テレビ番組でよくみかけてきました。
 
今井:そういう存在が、社会から少なくなってきていますよね。
 
泉:テレビ番組を例にとっても、放送コードを理由に制限されることがありそうですね。
 
今井:そう考えると、道化師って卓越したスキルの持ち主ですね。ファニーな役割を演じながら、本質を鋭くつくのですから。

社会性と経済性の両立

泉:ジネーブラさんもそうでしたが、そうした社会的に意義のある活動を、誰のためでもなく自分のためにやっているように映ったことも、印象的でした。
 
もちろん、社会的意義を感じてやられていることだと思いますが、それ以上にご自身が楽しんでいるように見えたのです。
 
今井:私も同じように感じました。語弊を恐れずにいうと、日本のNPO団体の活動は少なからず、「自分を犠牲にして活動している」印象を受けることがあります。イタリアで感じた「やりたくて、やっている」印象とは少し違う韓国になることが多くて。
 
泉:社会が、活動に対して説明を求めすぎていることが原因になっているような気もしています。
 
やりたくてやっているという説明だと、なかなか日本では周囲や支援者の納得を得られにくいという面もありそうです。何かパブリックな意義を結びつけないと説明がしにくいから「社会のため」を全面に持ち出すことになるのかもしれません。
 
今井:寄付がなければ成立しないという構造にも、問題があるのかもしれませんね。自分たちだけで活動資金を生み出せていれば、誰に納得される必要もなく、活動そのものに向き合う時間を増やせるように思います。
 
泉:そう考えると、経済を回すことの重要性を再認識させられますね。
 
たとえば、イタリアで訪問したカルトゥージア出版は、小児がんを患っている子ども向けに絵本をつくっています。大きな収益にはならない、人件費を考慮すれば赤字の可能性すらありますが、その活動ができるのは、それとは別の活動で経済が回っているからだと思います。他者の納得や賛同を得ずともやれることだから、「やりたくてやっている」ように映るし、実際そうなのだろうなと。
 
今井:寄付を募ることが悪いことだとはまったく思いませんが、活動の輪を広げ、本当にやりたいことに人生を使うためにも、やはり経済を回していく必要があるのだと思いました。

自分らしさ、の重要性

今井:イタリアで過ごした時間をゆっくり振り返れるほど、まだ心の余裕を持てていませんが、私は泉さんの変化をすでに感じていますよ。
 
泉:えっ、どの辺が変わったように映っていますか?
 
今井:忖度するとか、空気を読むとか、日本人が国民性として持っている性質が抜けてきたなって。自分の目で見て、感じて、それを素直に伝えているシーンを何度か見かけました。なんとうか、“人間らしく”なったなって。
 
泉:自分では全く分かりませんが、「したいこと」と「したくないこと」がよりはっきりし始めているように思います。
 
今井:それが、すごくいいことだと思うのです。自分自身の身体が発するサインを無視したり、気持ちに蓋をしたりしてしまうから、精神的に苦しくなったり、病気になったりすると思うので、誰のためでもなく自分のために生きることが大事だなって。
 
そうじゃないと、社会的に意義のある活動も続いていかないと思います。
 
(編集サポート:泉秀一、小原光史、バナーデザイン:3KG 佐々木信)


いいなと思ったら応援しよう!